読んだことはなくても、世界中の人たちがその存在を知っている本といえば、おそらく「聖書」ではないでしょうか。
先日、自宅の本棚から久しぶりに聖書を手にとってみました。大学での専門が聖書学だったので、我が家には2冊の聖書があります(キリスト教系の大学でしたが、聖書学を専攻する学生は稀で、ちょっと変わった人扱いされていました...)。
どちらも日本聖書協会が発行したもので、1冊は1954年に出版された口語訳聖書、もう1冊は1987年に出版された新共同訳聖書です(その他の翻訳としては、新改訳や共同訳などがあります)。
聖書は翻訳の方針が違うと、表現や意味合いもかなり違ってくるので、どの訳で読むかがけっこう重要だったりします。現在は、プロテスタント教会とカトリック教会が共同で訳した新共同訳聖書がもっとも普及しているように思います(個人的には口語訳が好きですが...)。
さて、日本十進分類法(NDC)新訂9版では、聖書の分類はどうなっているのでしょうか。
聖書の分類は193ですが、193の下には、「193.01 聖書神学」から「193.9 聖書外伝.偽典」まで、なんと52もの分類があります。聖書は多数の文書から成り立っているので、必然的に分類も多くなっています。といっても、すべての文書に分類記号が振られているわけではありません。
たとえば、新約聖書にはパウロという人物が書いた13の書簡が収められていますが、そのうち7つの書簡(4大書簡と呼ばれるもの+パウロが投獄されていた時に書いた3つの書簡)は、「193.71 パウロの書簡.パウロ神学」として、ひとつの分類にまとめられています。これらは、パウロ書簡と呼ばれるもののうち、パウロが伝道先の教会や信徒たちに宛てて書いたものです。
残りの書簡のうち、個人に宛てた手紙である「193.72 牧会書簡:テモテ書,テトス書」(教会のあり方について書いたもの)と「193.73 ピレモン書」(個人的な手紙)は、それぞれ別の分類記号があてられています。これらは前の7つの書簡とは意味合いが違うので、分類が違うのもうなずけます。
また、旧約聖書の分類では、比較的短い預言書(ホセア書、アモス書、ミカ書など)は、「193.46 小予言書[12人の書]」にまとめられています。"小"予言書(預言書)と呼ばれていますが、それぞれ非常に読み応えがあります。
その他にも、聖書の分類で気になるところはありますが、どんどんマニアックな世界に入り込むのでこのへんで...。機会があったら「198 各教派.教会史」あたりの分類にも触れてみたいですね。