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こちらは「図書館の本屋さん」こと株式会社図書館流通センター(TRC)の
データ部による、MARCと本に関するブログです。
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orange.gif 一息いれたい方はこんなコンテンツをどうぞ。


2026年5月 8日

版を重ねても大丈夫 ~典拠のはなし~

先日美術展「トワイライト、新版画展」へ行ってきました。
今年初め頃に刊行された図書で目にした、川瀬巴水の作品の構図が今みても斬新で気になっていたので、「小林清親から川瀬巴水まで」という副題にひかれて足を運びました。
西洋絵画の美術展にはときどき行きますが、そういえば版画の展示をじっくり見るのははじめてかも、と作品リストには作者のほかに版元の記載もひとつひとつにあって興味深かったです。江戸の浮世絵だけでなく明治時代にも版元が活躍していたのですね。

解説内など号のみで書かれることも多く、「広重」と出てくれば安藤広重だなとわかりますが、「探景」と言われるとさっき作品を見たどの人だっけ...あ、そうそう安治...井上安治だ、と浮世絵に明るくない自分はなります。

典拠ファイルを調べると「井上/安治(イノウエ,ヤスジ)」で優先名称(統一形)が作成されています。個人名典拠を作成する際に参照する参考資料も、多くがこの形で掲載されていました。資料によっては「井上/安治(イノウエ,ヤスハル)」と記されることもあるようです。そういえば作品のなかにも「安はる」という表記も見かけたような?

典拠ファイルは図書に表記された形は記述形として、優先名称(統一形)のもとにまとめて管理します。今後「井上探景」や「井上安はる」と書かれた図書が出たときは「井上安治」を見出しとしてその引き出しにまとめていくというイメージです。
ほかの例も見てみましょう。
浮世絵師といえば、の葛飾北斎の典拠ファイルはこのようになっています。(一部省略しています)

統一形:葛飾/北斎(カツシカ,ホクサイ)
記述形:北斎(ホクサイ)
記述形:葛飾/戴斗(カツシカ,タイト)
参照形:勝川/春朗(カツカワ,シュンロウ)
参照形:俵屋/宗理(タワラヤ,ソウリ)

多くの号があり、図書に表記された形が記述形として「葛飾/北斎」のもとにまとめられています。
また、図書に責任表示として書かれていないけれど図書中や資料に記載があった形は、ガイド機能として参照形を作成しています。典拠ファイルを使えば参照形の形でも検索することができます。

ただし、ひとつの引き出しにまとめる典拠の方法は近代以前の人の場合。現代の人は別名がある場合はそれぞれの名称を優先名称(統一形)として作成し、互いに関連します。

さらに、「安藤広重」についての典拠ファイルを見てみると...3件のファイルがあります。

統一形:安藤/広重 付記:1代目
統一形:安藤/広重 付記:2代目
統一形:安藤/広重 付記:3代目

これまでは異名同人(別表記を持つ人)の例を見てきましたが、安藤広重は同名異人の例です。典拠ファイルでは同名の別人がいる場合は優先名称(統一形)に世系を付与(付記)して区別しています。
「安藤広重」という文字列だけで検索しようとすると、3人の広重が混ざってしまいますが、典拠ファイルを使うと明治期に活躍した3代目について調べたい、というときもピンポイントで探すことができます。

2026年5月 7日

立体感がたまらない

5月の雑記のテーマは「文房具」です。

1年半くらい前、シールを買うのにハマって買い漁っていました。
今は購入のための整理券が配布されるほど人気のボンボンドロップシールも、当時は「品切れも多いけど、探せば見つかる」くらいの人気度でした。
何歳になっても女児の心が捨てきれず...きらきらしたものに惹かれてしまいます。
学生の頃にガラケーをデコったりしたことを懐かしく思い返しながら、久々にスマホケースやパウダーケースをはじめとするあらゆる日用品をシールやネイルパーツでデコっていました。立体感のあるシールの合間をストーンや小さなパーツで埋めて、レジンで固める作業がとにかく楽しくて楽しくて...フットネイル用のUVライトがこんなところで活躍するとは!
デコった小物たちは友人の子どもや電車で隣に座った見知らぬ女の子(正真正銘の女児たち!)からも大変好評でした。
2ヶ月ほどで自分のなかのデコりブームは過ぎ去ったのですが、しばらくして友達から「前言ってたシールが今入手困難なくらい流行ってるの知ってる?」と聞かれて驚きました。まさかそんなレアものになっているとは。よく似た偽物(?)のシールもよく売っているのを見かけます。

さすがにそろそろブームは過ぎ去ったのでしょうか。欲しいと思っている子の手に渡ればいいなと思います。

2026年4月30日

少年は海を目指す

4月の雑記テーマは「自転車」です。

先日、うちの下の子と同い年の男の子を持つ知り合いから数枚の写真が送られてきました。高層ビル、東京タワー、レインボーブリッジ、海。何かと思ったら、息子さん、親に断りもなく友だちと急に自転車でサイクリング?に出かけ、その先々で撮って送ってきた写真とのこと。突発的な大冒険! ケガもなく無事に帰ってきたからよかったと言っていましたが、自転車で出かけたのに急にそんなところから写真送られてきたらビックリしちゃいますね。

その子と同い年のうちの子はまだそんな冒険旅行に出かけたことはありませんが、現在高校生の上の子は、中学生のときに部活の仲間と自転車で荒川土手をひた走って海まで行ったことがありました、そういえば。なぜ少年たちはみんな海を目指すのか...。海を見ることでゴール!という達成感があっていいのかもしれませんね。反対方向の山に向かって走ったら上り坂になって走るのが辛いのかも。

普段私もよく自転車に乗りますが、完全に移動手段もしくは重い買い物袋を運ぶ手段になっていて、純粋に「自転車で走ることを楽しむ」ということはできていません。猛暑になる前の気持ちのいい晴れの日に、ただ自転車で走るというおでかけをしてみようかな。

2026年4月28日

観察のエクササイズ

本日は「週刊新刊全点案内」2453号の発行日です。
掲載件数は1044件でした。

*こんな本がありました*
ふだんづかいの人類学
ニコラ・ノヴァ(著)
倉地三奈子(訳)
世界文化社(2026.4)

訳者まえがきによると、フランスで刊行されて学生たちの間で静かな熱狂を巻き起こしたという、人類学的な観察眼を養うための手法が紹介された本です。
人類学というと、人類のたどった足跡や各地の民族に関する研究?となんとなく難しそうに感じてしまいますが、
タイトルのとおり、普遍的な人類の日々の生活にまなざしを向け「ものの見方」を19のエクササイズで磨く提案が興味深いです。
たとえば「あるものに対して25の質問をつくる」「あえて意識を集中させず頭の上から足の先までで周囲に対して意識を漂わせる」など、すこしずつ日々に取り入れると面白そうです。
毎日1か所決めて写真やスケッチなどで観察する「定点観測」では庭や公園、冷蔵庫の棚が例に上げられていて、あのメニューを作ろうと思ったら必要な食材がなかったり、すでにあるのにうっかり重複して食材を買ったりすることの多い自分も、冷蔵庫観測をやってみたくなりました。(ちょっと違うか...。)

ともすれば何でもAIに聞けばすぐに答えを教えてくれるこの時代、五感を研ぎ澄ませることで日常の景色、見方の変化を感じさせてくれそうな一冊です。

2026年4月27日

ADEAC2026春の公開情報 その3

先週・先々週に続きADEAC公開情報を紹介します。全3回の最後となる今回は、3月中旬から4月に公開された最新のデジタルアーカイブ5機関をご紹介します。

◇『沖縄県空手振興課/沖縄空手会館デジタルアーカイブ』(3月13日新規公開)
「空手発祥の地・沖縄」を国内外に広く発信していくため構築された、ADEACでは初となる沖縄県のデジタルアーカイブです。
沖縄空手会館で所蔵・保管する沖縄空手にまつわる貴重な資料をデジタル化・公開していて、琉球古武術の武具や鍛錬風景の写真が掲載されています。
特に武具については、デジタルアーカイブでまとまって発信している例が世界的にも珍しく、先進的な取り組みと言えそうです。
今後も関連する書籍・雑誌・新聞等の資料画像や、映像・音声等も追加掲載されていく予定です。
空手に関する新聞や雑誌の索引も掲載されているので、調べものにもご活用いただけます。

◇『神戸女学院/デジタルアーカイブズ』(3月26日新規公開)
学校法人神戸女学院が保有または所蔵する文化財や史資料を保存・公開するデジタルアーカイブです。
「神戸女学院を知る」という観点からいくつか特集ページが公開されていて、「学院史」では150年に及ぶ学院の歴史をたどれる文献や、歴代キャンパス・院長を写した写真や絵葉書、学則類・入学案内等の書類などが紹介されています。
他にも「キリスト教関連」特集のぺージで聖書日本語訳関連や日本語讃美歌の資料が掲載されていたり、第5代院長を務めたデフォレスト院長の特集ページがあったりと、幅広い分野の特色ある資料が公開されています。
神戸女学院岡田山キャンパス内を巡れる360度パノラマ画像のバーチャルツアーも公開されていて、著名な建築家ヴォーリズによって設計され国の重要文化財に指定されている美しい建築をお楽しみいただけます。

◇『特別区協議会/特別区自治デジタルアーカイブ』(4月1日新規公開)
特別区(東京23区)の自治の発展を目的として設立された公益財団法人 特別区協議会の所蔵する資料等を公開しているデジタルアーカイブです。
特別区の制度や歴史に関する資料や、東京区部の各時代の古地図等を掲載しています。
また、現在23ある東京の区がかつて15区・35区だった時代の様子とその変遷をたどれる地図コンテンツも用意されています。
トップページには東京23区のアーカイブを横断検索できる仕組みや、23区に関連するサイトへのリンクページ等が掲載されていて、東京23区について調べものをするための強力なツールとしてもご利用いただけます。

◇『鹿角市/鹿角市デジタルアーカイブ』(4月1日新規公開)
秋田県北東部で青森県・岩手県と接する鹿角市の歴史・自然・文化に触れられるデジタルアーカイブです。
鹿角市史全7冊および鹿角市史資料編全34冊をご覧いただけるほか、本文の横断検索や索引・目次を使った検索、年表の閲覧などが可能です。
また、鹿角市内を記録した写真が掲載されており、一覧画面や地図から探して見ることができます。

さらに、鹿角市内にあり世界遺産にも認定されている特別史跡「大湯環状列石」の空撮360度パノラマや、古くから採掘されて国内産業の近代化を支えた「尾去沢鉱山」のバーチャルツアーなども掲載されていて、様々な角度から鹿角市の魅力に迫れるサイトになっています。

◇『和泉市/和泉市デジタルアーカイブ』(4月1日新規公開)
大阪府南部に位置する和泉市のデジタルアーカイブです。
市内の地域資料・文化財や和泉市教育委員会が永久保存する特定歴史公文書を公開しており、資料群や種類、地域(校区)別に資料を探すことができます。
なかでも特定歴史公文書は、作成・取得した組織を行政機構の変遷図から探せるようになっており、時代に応じた体制の移り変わりと照らし合わせながら資料を閲覧できます。

また、デジタルアーカイブならではのコンテンツ「資料に親しむ」として2つのページが掲載されています。
古地図・遺構配置図を見る」のページでは、地租改正の後に作成された地籍図の解説やそれを現代の地図の重ね、市内の池上曽根遺跡の遺構配置図と現代の地図の重ねが掲載されています。
過去の和泉市の様子を現代の市の地図と比較することができ、自分が住む町の昔の様子に思いをはせることができます。
古文書を読む」のページでは、鎌倉時代の暗号文という非常に珍しい文書を掲載しています。原本画像に翻刻テキストを重ねたり暗号解読方法を表示したりできるビューアが公開されているので、ぜひ暗号解読に挑戦してみてください。

今回の紹介は以上です。これまでと比べても資料の探しやすさや活用に力を入れた事例がどんどん増えていますので、地域の調べものや新年度に新しい物事に出会うための手段として、さまざまなデジタルアーカイブをぜひ使ってみてください。

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