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2008年4月 アーカイブ

2008年4月30日

新刊案内で歴史を感じてみませんか?

昨日は「週刊新刊全点案内」1568号の発行日でした。祝日でしたが、昨日発行しました。
掲載件数は1683件でした。

*こんな本がありました*
新学期・新年度が始まって早1ヶ月。学生の方はもう教科書・資料集に一通り目を通したころではないでしょうか?(などといいつつ、私は好きな教科以外は授業で初見でしたが…)

トマス・ジェファソン
後藤 光男
北原 仁
森下 史郎

成文堂(2008.3)
発送可能時間

この本の注目は著者。歴史上の人物です。高校の世界史などの教科書・資料集にはしっかり登場している人のはずです。
誰かわからない?(そんなことはないと怒られてしまいそうですが…)
そんなときは、典拠ファイルを見てみましょう。職業・専門等を見ると…

米第3代大統領とありました。

ど忘れしていても、典拠ファイルがあれば安心ですね。

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2008年4月28日

たたかいは終わった…

新刊目録 大谷です。

先週月曜日の記事で思いのほか消耗してしまい名乗るのを忘れていました。
(読むのも骨が折れたかもしれません…失礼しました)

さて、5月の連休です。
データ部新刊目録は、3~4月の繁忙期を乗り越え一息ついております。

とはいえ、図書館で働いている皆さんはお休みではない方も多いことでしょう。
ただ「この休みは何も予定がないから図書館にでも行こうかな」
という人が増えるのも、なかなかいいなと思います。
そして「こんな本があったんだ!びっくり」とか
「これ教科書に載っていたお話!なつかしいな」とか
もしかして「人生を変える一冊」にめぐり合えたらなおステキですよね。

MARCもそんな発見のお手伝いをするものです。

ついでに、先週の発見

材料をポリ袋に入れてよ~く揉めばジュースとして飲める。
健康のために、ストレス解消(!)のために。
「その手があったか」という一冊です。

大谷の雑記担当はひとまず本日まで(たぶん)。
おつきあいいただきありがとうございました。


2008年4月25日

背ラベルのあの文字の話 典拠ファイル版

「MARC MANIAX典拠」第12回目です。
今回はMARC MANIAX目録第8回でも取り上げた図書記号のお話です。
皆さんは、図書館で本を探すとき、背ラベルを頼りに本を探すことは、あまりないかもしれません。でも、本を戻す際には、背ラベルをまじまじと見ることもありますよね。
そんな時、「あれ?どうしてシュピリなのに、スの記号?」と思ったりすることがあるかもしれません。

同じ著者の図書はなるべく一か所に集めたいということから、カナ読みの統一をしているのでラベルのカナと本に書いてある著者の名前が不一致なんてことは、実はよくあることなのです。

先日、絵本「ゆかいなかえる
(ジュリエット・ケペシュ著 石井桃子訳 1964刊 90刷)
の奥付に、こんな説明がありました。
“今まで著者名をキープスとしていましたが、ケペシュと表記するほうが本来の発音に近いと判断し、90刷より変更”

この場合、典拠ファイルは以下のようになります。(MARC MANIAX典拠11回参照)
12000015463‐0000 Kepes,Juliet キープス,ジュリエット
12000015463‐0001 ジュリエット・キープス
12000015463‐0002 ジュリエット・ケペシュ ← 今回作成
今回の図書がケペシュでも図書記号は「キ」となり、同じ棚に並びます。

確かに今では、西洋人も東洋人も発音に近いカナで書かれているものが多くなりましたが、昔の本は、発音からは程遠いカナで、書かれていることが多かったかもしれませんね。

こんなふうに、同じ人のヨミがまちまちなら、同じ綴りの別人も、典拠ファイルをながめると、いろいろなヨミ方があることに気づきます。
姓 Weirのヨミ:ワイア・ワイヤー・ウィヤー・ウェアー・ヴィア・ウィーアなど
言語が違えば、発音もやはり違ってきます。

今でも、あまりなじみのない言語の翻訳本の著者に、カナ読みがなかった場合、累積ファイルやWebを参考にしています。それでもわからず、ほとほと困った時は、出版者に聞くこともあります。
あらゆる言語が翻訳出版されていますので、「ン」ではじまる名前の人もいます。
東洋人
11000038226‐0000 ン,ブンヒョン 黄/文雄
11000266934‐0000 ン,インテ   黄/英哲 
11000303043‐0000 ン,シンリン  呉/倩蓮    
西洋人
12000151298‐0000 ンゴイ,チロンボ          Ngoi,Tshilombo
12000162267‐0000 ンドゥール,ユッスー        N’Dour,Youssou
12000180682‐0000 ンデゲオチェロ,ミシェル Ndegeocello,Me’Shell
12000189379‐0000 
ンゲームンガーム,チャルームサック Ngemngam,Chaleumsak
12000230816‐0000 ンディアイ,マリー         NDiaye,Marie
上記の西洋人はザイール・セネガル・アメリカ・タイ人…他にもいろいろあります。

余談ですが、登場人物にカタカナの長い名前がたくさんでてきて、最後まで読みきれなかった子どもの頃を思い出しました。ハリー・ポッターをすらすら読んでしまう今の子は、ハーマイオニーとミス・グレンジャーを別人とは思わないのでしょうか…。

2008年4月24日

長崎市立図書館探訪記・3

実は望月、長崎を訪れるのは3回目なのです。
10年前に1回、去年の夏に1回。
だいたい市内の名所は回ったので、今度は長崎のお祭りがあるときに行きたいなあ。
くんちとか、ペーロンとか、にぎやかなとき。
人出が多くて大変そうですけど。

■つづき■
さて、こどもとしょかんの反対側は大人のフロア。小説や実用書、趣味の本があります。
大きな柱がサインに。天井が高いなあ。
p20080424-1.jpg


一般書の書架。1段目だけこのように斜めにできるようになっているそうです。
p20080424-2.jpg


書架の横のサイン。
「暮らし」とか「旅」とかジャンルがあり、その中をNDCで並べていました。
p20080424-3.jpg


こちらが自動貸出機。
p20080424-4.jpg


2008年4月23日

きょうのデータ部☆ (4/23)

あれ、仕事中なのに、新聞を読んでいる人を発見!

p20080423.jpg
一見、優雅に新聞を熟読してるように見えますが…

いえいえ、これも立派なお仕事。
MARCに新聞の書評に載った本の情報を加えるため、各紙の記事をチェックしているのです。

2008年4月22日

健やかに、と願いを込めて

本日は「週刊新刊全点案内」1567号の発行日です。
掲載件数は1378件でした。

つい先日、年賀状の整理をしたのです。
ここ数年、写真付きで「こどもが産まれました」とか「○才になりました」とかといったものをたくさんもらうようになりました。
やっぱりそういうお年頃なのか、去年産まれた赤ん坊、友人知人親類縁者すべて足したら、なんと7人!ベビーラッシュです。
もうちょっとで野球チームが作れたのにー。


というわけで、今週気になった本はこちら。

マリー=クレール・ジャヴォイ
メ・ジュアン・プロダクション
山内 恵理子
岩澤 雅利

ランダムハウス講談社(2008.4)
発送可能時間

9人の女性の出産を追ったドキュメント。
東京では、映画も公開されているみたいです。

産まれたら育てにゃいかん、というわけで、1567号にはこんな本もありました。

ほりえ さちこ
聖路加国際病院栄養科

主婦と生活社(2008.5)
発送可能時間

ちょっと毛色の変わったものでは、日本の出産、育児の風俗についてまとめた本(昭和50年刊の復刻)も。
ちなみにこの本の件名標目は「産育習俗」でした。

母子愛育会

日本図書センター(2008.4)
発送可能時間

2008年4月21日

その本わたしが持ってます

ご紹介したデータ部でICタグの記事の中
誰がどの本を持っているかがわかる」というお話をしました。
このしくみがよくわからなかった…というご意見をお聞きしたので今回少し補足をしてみます。


まず、前提
・入力システムをメンバー各自が固有のIDでたちあげている
・各自のPCにそれぞれアンテナとリーダ/ライタがつながっている
・ICタグそのものがMARCの内容や位置情報を持っているのではなく
 ICタグのもつ固有番号(UID)とMARCのNo.をリンクさせている

20080421%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%88
※右下の本にはさまっている緑色のカードにICタグが貼ってあります
 その下のベージュの板みたいなのがアンテナになります
 (多少お見苦しい点をご容赦くださいませ)

私が目録チェックをするとき、本を持ってきて、まず自分のアンテナの上に置きます。
私の使用している入力システム用IDと、
本に挟んだICタグがリンクするMARC No.を頼りに
「これこれという本は大谷が持っています」という情報が書き込まれます。
ただ本を持ってきただけでは「私が持っている」ことにはなりませんから
この読み取りを各自きちんと行うよう、キビシく周知されています。

目録チェックが終わったら「リリース」して「持ってる情報」をリセット。
つまり、図書館でやっている貸出/返却の手続きを
新刊目録のメンバーひとりひとりがやっているイメージです。

チェック済の本を置く棚には 棚アンテナ が仕掛けられているので
「何番の棚にあります」という新しい位置情報が書き込まれます。
(棚アンテナがない置き場所も実際には存在しますのでそこは目で探します)

本の位置情報はICテーブルという別の情報タンクの中にあり、
これは私たちが直接のぞくことはできませんが
MARC No.をリンクさせることにより
入力システム上でICテーブルの情報を見せるしくみになっています。
つまりデータ部の入力システムにアクセスできなければ、何もできないICタグ。
お箸があってもお料理が来ない、という感じでしょうか。

ただしここまでくどくどご案内したのはあくまでデータ部の仕事のための使い方。
実際の図書館や書店、はたまた他の業界では、
要求される働き方が違うと思います。

そしてICタグは確かに優れた道具ではありますが
ICを使ってどういう仕事をするのか、コンピュータのシステム、プログラムが
現場の仕事の流れにマッチしていて使いやすく出来ていることが必要です。
現在データ部が使用しているシステムは
社内の電算室という部署で作られました。
あれこれワガママな要望を聞いて対応してくれた電算室メンバーには
感謝ひとしおです。。
(と、おおいに賞賛しつつまた追加のお願いがしたいな~と思っている自分なのでした)


2008年4月18日

記述形その3:子だくさん

「MARC MANIAX典拠」第11回目です。

前回前々回にひきつづき、
人名典拠ファイルの記述形についておおくりします。

突然ですが、
外国語の発音を日本語で表すのってむずかしいですよね。

たとえば、apple
発音記号は 〔ǽpl 〕 ですが、
カタカナで表すと、
「アップル」。
でも、これだと実際の発音とは違ってしまいます。
「アポー」がいいのか?
それとも、「アェッポー」だろうか?

同じ問題が、本の世界でもおきています。


A 「「罪と罰」っておもしろいよね。」
B 「ドストエフスキーの?」
A 「それをいうなら、ドストエーフスキーでしょ。」
C 「いや、正確には、ドストイェーフスキイ なんだな。」
D 「わたしが読んだ本は、ドストイヱフスキーだったけど...。」


この論争、永遠に続きます。


Dostoevskii という言葉を日本語のカナにしたらどれが正しいのか?
正解はありませんよね。


こんな風に、同じ人なのに、いろんな形で表記される西洋人の著者。
典拠ファイルでは、どんな形で記述されていても、それが同じ人物なら、
ひとつの統一形の元にまとめておきます。
(記述形の基本についてはこちらを参照→記述形その1


さて、ここで実例を紹介。
先ほど出てきた、ドストエフスキーの典拠ファイルです↓


12000007709-0000  Dostoevskii,Fyodor Mikhailovich
              ドストエフスキー,フョードル・ミハイロヴィチ

12000007709-0001  ドストイエフスキー
12000007709-0002  フョードル・ミハイロビィッチ・ドストエフスキー
12000007709-0003  フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
12000007709-0004  フョードル・ドストエフスキー
12000007709-0005  ダストエーフスキイ
12000007709-0006  ドストイェフスキー
12000007709-0007  ドストイェーフスキー
12000007709-0008  ドストエフスキイ
12000007709-0009  ドストエフスキー
12000007709-0010  ドストエーフスキイ
12000007709-0011  ドストエーフスキー
12000007709-0013  Ф.M.ドストエフスキー
12000007709-0014  ドストイェーフスキイ
12000007709-0015  ドストイェフスキイ
12000007709-0016  ドストィエーフスキイ
12000007709-0017  ドストイエフスキイ
12000007709-0018  ドストイヱフスキイ
12000007709-0019  Dostoefski
12000007709-0020  ドストイヱフスキー
12000007709-0021  ドストイエーフスキイ
12000007709-0022  ドストィエフスキイ
12000007709-0023  ドストエフスキ
12000007709-0024  ドストイヱーフスキー
12000007709-0025  ドストヱーフスキイ
12000007709-0026  F・ドストエフスキー
12000007709-0027  フィオドール・ドストエフスキー
12000007709-0029  ダスタエーフスキイ
12000007709-0030  F.M.ドストエフスキー
12000007709-0031  ドストェーフスキイ


同じ記述形ができているのでは...?!
と、典拠班のわたしでさえ心配になるほどのよく似た30個の記述形。
どこがどう違うのか(お時間のある方)確認してみてください。
伸ばしたり伸ばさなかったり、大きかったり小さかったり、
それぞれ微妙に違っています。

典拠ファイルの統一形と記述形は、親子みたいな関係です。
主張のはげしい子どもたちをやさしく包み込むお母さん。
実際に典拠班では、
「その子(記述形)は、こっちの親(統一形)にぶら下げた方がいいね。」
なんて言ったりします。

使いやすいデータベースにするには、
たくさんの子どもたちを野放しにしておくわけにはいきません。
しかるべき親元に集めておいてこそ、正しい検索ができるというもの。
どんな表記ででてきても、この子はここの家の子どもだね、
と正しく判断するべく、日々猛進する典拠班なのです。


ちなみに、いま現在、最も子だくさんなのはこの人↓
67の子(記述形)をお持ちです。

12000028494-0000  Stevenson,Robert Louis
               スティーヴンソン,ロバート・ルイス


2008年4月17日

長崎市立図書館探訪記・2

長崎市立図書館を訪れたこの日は、ちょこっと長崎観光をしてその日のうちに博多に移動したのですが。
博多へは、バスを使って行きました。九州での移動にはバスを使うことが多いです。
本数多いし、意外に便利。
電車も、景色が楽しめていいんですけどね。


■つづき■

2.ふれあいのフロア(1階)
長崎市立図書館の1階は、「ふれあいのフロア」と名付けられています。
一般向けの図書とこどもとしょかんがあります。

こちらはこどもとしょかん。
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奥におはなしの部屋という読み聞かせスペースがあり、さらにその奥にはなんとも素敵なスペースが!
ぽこんとあいた隠れ場所に、やわらかめなカーペット(?)が敷いてあり、ねっころがったりしながら本が読めるのです!
これいいなあ。
(写真は撮れませんでした)

こども向けに低い棚。本の表紙が見えるのがいいですね。
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p20080417-3.jpg

2008年4月16日

きょうのデータ部☆ (4/16)

お昼の休憩時間、のこりあと15分。

いまのうちにリラックスしておくか、おかないかで午後からの集中力が違う・・・。

p20080416.jpg
食後のお茶とお菓子で、ほっと一息…

なにぶん、ほとんどのメンバーは、長時間のパソコン作業OR細かい校正作業に従事。
眼と頭を休めるため、軽くお昼寝する人も多いです☆

2008年4月15日

薬膳はマズいのか?

本日は「週刊新刊全点案内」1566号の発行日です。
掲載件数は1415件でした。

*こんな本がありました*
人間の体の細胞は、1年ほどでそのほとんどが入れ替わる、と先日耳にしました。
そんな話を聞くと、やっぱり食べ物って大事だなーとつくづく思うのでした。

食べることで必要なものが適度に取り込まれて、いらないものは大した事をしなくても
自然に出ていってくれるなんて、改めて考えるとすごいことですよね。
病気になるとそううまくはいきませんけど。

病気とまではいかずとも、ちょっと調子の悪いときって結構ありませんか?
そんな時は症状を改善させる作用のあるものを食べてみるのもひとつの手だと
思うのです。

辰巳 洋

東洋学術出版社(2008.4)
発送可能時間

薬膳ってなんだかマズそう、というイメージだったのですが、この本には
普段食卓にのぼる食材を使ったレシピが豊富に載っています。
巻末には食材と中薬の効能一覧表や、症状から選ぶ食材と中薬の表なども
あるので、毎日の食事の食材選びに役立ちそうです。

2008年4月14日

子どもと本との出会い

新刊目録 大谷です。

さきごろお亡くなりになった石井桃子さん。
児童書の世界に大きな業績を残した方です。
まわりのメンバーに聞くと「ノンちゃん雲にのる」をはじめ
エリナー・ファージョンの作品が好きだったとか
思い出話がいろいろと出てきました。

が、私はというと
子どものころの読書量は今のところ人生最大だったハズなのですが
児童書体験があまり自慢できるものではありません。
その時代まだ図書館が身近な存在でなかったため
親が買ってくれていた子ども向け名作全集を主に読んでいて
創作童話とか絵本はあまり接する機会がありませんでした。
友だちの家に「ひとまねこざる」シリーズがあり
遊びに行くとついつい読みふけって友だちにおこられたり
飽きると母の婦人雑誌を読み出してまたおこられました。

もし図書館のやさしいお姉さんが
(超内気なコドモだったためココがポイント)
「こんな本はどう?」と声をかけてくれる環境があったら
自分の読書体験ももっと豊かなものになっていたかも…
と、妄想してみたり。

しかしいつか図書館に並んでいる絵本をかたっぱしから読んでみたい
という野望を抱いています。
(ただしたいていの図書館はカーペットじきの「絵本コーナー」になっていたりして
大人ひとりではなかなか近寄りにくいです…小さい姪をダシにしようかと考え中)

2008年4月11日

記述形その2:法然、またの名は...

今月から毎週金曜日にお届けしているMARC MANIAX典拠。第10回も前回にひき続き、人名典拠ファイルの記述形についてお話をいたします。

4月になって はや2週間。学校も新学期が始まりましたね。新しい教科書の匂い、懐かしいです。
ところで教科書といえば、典拠コントロールの仕事をしていると教科書に登場した人物が思いがけない名前で本を書いている、という出来事に遭遇することがあります。

日本史の授業で中世あたりにさしかかると、宗教とその開祖を習いました。臨済宗、日蓮宗、浄土真宗、浄土宗...それぞれを開いた人を答えなさい、なんていう試験問題もありました。では、このうち浄土宗を開いた人は誰でしょう。答えは法然。そう学校で教わった記憶があります。ちなみに、TRCでの統一標目も「法然」です。
先日のこと、「決定往生秘密義」という作品がやってきました。著者は「源空」と図書にあります。さっそく調査開始。人名事典をいろいろみていたところ「人物レファレンス事典 古代・中世編」(日外アソシエーツ)で「源空 → 法然」という参照を発見。ん...?法然って、昔習ったあの法然...?と、おもいつつ「コンサイス日本人名事典 第4版」(三省堂)で「法然」をひいてみると、なんと本文中に「名:源空」と記されているではありませんか。
そうです、「源空」は法然の別の名、つまりこの二つは同じ人物の名前だったのです。
法然に「法然」以外の名前があって、おまけにそちらの名前でも著作を残していたとは...恥ずかしながら私、このときまで知りませんでした。

さて、統一標目とは異なる漢字形で出てきたもの、これを記述形といいます。前回、長島茂雄と長嶋茂雄の例でお話ししました。(詳しくはこちら)長島さんの例にくらべるとだいぶ見た感じが違いますが、今回の「源空」も同じこと。人名典拠ファイルではこうなります。

11000087853-0000  法然   統一形
11000087853-0001  源空   記述形
             注)典拠IDは見やすくするために-を入れてあります。

このように記述形となるものには、ぱっと見た感じが、統一形とずいぶん違うものもあります。日本人だと、明治時代以前の人名は要注意。一人の人物が使う名がたくさんあって(幼名とか本名とか通称とか号とか...)同じ人の別名だとは気づきにくいのです。たとえば、法然についても、先ほどの「コンサイス日本人名事典 第4版」には「源空」以外に5つ、「国書人名辞典」(岩波書店)にいたっては20近くの別名が載っています。うっかり別の人として統一標目を立ててしまわないように、慎重な調査が必要です。そのため明治時代以前の人名が出てくると、10種類近くの事典類を調査することに。おかげで分厚い人名事典を一度に5冊くらいは軽々持って歩ける(場合によっては走れる)ようになりました...。
 

2008年4月10日

長崎市立図書館探訪記・1

典拠・望月です。
きょうから毎週木曜日は、シリーズ企画として「長崎市立図書館探訪記」をお届けします。
遠い九州まで、はるばる行ってきましたのレポートです。

■はじまり
1月のとある日のこと、データ部内で「長崎市立図書館」と「府中市中央図書館」の美しいパンフレットが回ってきました。
この2つの図書館は、ともにPFIという手法を用いて設立され、TRCが運用を担当している図書館です。
府中市中央図書館は2007年12月、長崎市立図書館は今年の1月にオープンした、できたての図書館。いまTRCが総力を挙げて運営に取り組んでいる図書館でもあります。

この美しいパンフレットを見ているうちに、ムクムクと行ってみたい願望が湧きあがってきました。思い立ったが吉日。
というわけで、早速先月行ってきちゃいました。写真をいっぱい撮ってきたので、少しずつご紹介していきます。

※探訪するんだったら、府中市のほうが近いだろうというつっこみは無しでお願いします。
※実のところ、博多に行く用件があったのです。そのついでに寄れたらいいなあと。「ついで」って距離かどうかは謎ですが。

1.迷子
麗らかな土曜日の長崎。小学生がノースリーブでいます。3月にしては暖かい一日でした。長崎駅から徒歩で図書館に向かったのですが、地図を持たずにいたら案の定迷いました。
親子連れに道を聞き、何とかたどり着いたのがこの図書館。
広い空に映えています。

p20080410-1.jpg


こんなところにブックポストが。
どういう仕組みになっているのかは聞きそびれました。
p20080410-2.jpg


入ってすぐのカウンター。1階は緑色を基調としているそうです。

p20080410-3.jpg


この向かい側に雑誌コーナーがあり、やはりにぎわっていました。タウン誌や長崎ガイドの雑誌が見つけやすいところにあるのは、観光客にはありがたいかも。

次週につづく

2008年4月 9日

きょうのデータ部☆ (4/9)

出版健康保険組合の会報『すこやか』の裏にはヘルシークッキングレシピが載っていて、いつも楽しみ。
今朝4月号が配られたため、お昼休みに早速、熟読しているメンバーがいました。
アサリとソラマメとたけのこを使った料理…美味しそう!

p20080409.jpg
アサリ砂抜きして、新竹の子茹でて、ソラマメの皮むいて、紹興酒用意して…あら、ちゃんと作ろうと思ったら結構大変。

でも、やっぱり旬の物は 面倒でも、手料理のおかずが一番だよね~と話はもりあがります。
(でも、そういいながら、ランチは出来合いのお弁当が多いのでちょっぴり反省…)

2008年4月 8日

ブーム到来?

本日、「週刊新刊全点案内」1565号を発行しました。
掲載件数は1672件です。


MARCを作成をする日々のひそかな楽しみ。それは、世の片隅で生成されるブームを発見できること。
昨年は「布ぞうり」なんていう大ブームもありましたが、個人的にはもうちょっと静かな流行に気づいてフフ…とニヤけるのが好きです。
で、今週気になったのがこちら。

長谷 聰
照井 啓太

洋泉社(2008.4)
発送可能時間

団地本です。
じつはこのテーマ、今年に入ってもう4冊目。

地方の住宅街(まわりはほぼ一軒家)で育った私にとって、「団地」は謎に満ちた空間でした。
角ばった建物が何棟も連なる様、棟名と部屋番号が組み合わさった住所表記(←憧れた)、中庭のちょっとくたびれた遊具やほの暗い階段の踊り場…すべてに独特の雰囲気があって、団地住まいの友だちの家にお邪魔するときには興味津々でした。そういえば「団地妻」という響きにも子供ながらにドキドキしたものですが…あれってもはや死語なんでしょうか?

大山 顕

エンターブレイン(2008.3)
発送可能時間

※「団地さん」は、ページを切り取ってペーパーフィギュアにできるという造りのため「週刊新刊全点案内」には掲載しておりません が、実際の設計図面をもとしているというマニア感がよいですね。

2008年4月 7日

尚五郎さんの本

新刊目録 大谷です。

今日は、先週お話に出した大河ドラマ「篤姫」の関連でもうひとつ。

篤姫の幼なじみとして肝付尚五郎という青年が登場しています。
ふたりが碁を打ちながらおしゃべりをしたり
困りごとを相談したりする場面が時々ありました。

彼は小松帯刀(コマツ,タテワキ)という実在の人物がモデルだそうで
尚五郎は幼名。小松家の養子になり、小松清廉という名も持っています。
(このへんデータ部魂が刺激されます)
国史大辞典を開いてみたら、ドラマのイメージを彷彿とさせる
誠実そうな肖像が載っていました。
若くして薩摩藩家老となり、幕末、明治維新に大いに活躍した人物とのこと。
しかし同じ薩摩藩出身の大スター、西郷や大久保にくらべて
あまり知られていないようです。

と、思ったら最近ちゃんと小松帯刀の本が出ていました。


現在ドラマは篤姫が故郷薩摩を後にして江戸に来たところ。
家族や尚五郎との別れのシーンでは
私もさいたまの実家を離れるときのことを思い出し涙が出ました。。。
(あ、さいたまは通勤圏内です)

2008年4月 4日

記述形その1:漢字が違えば

久しぶりにMARC MANIAX典拠がスタートします。今回は第9回、田辺が担当しますので、どうぞお付き合いください。
その前に第8回の最後の、「新家」には5通りの読み方がありますが、なんと読むのでしょうか?というクイズ(?)の答を書いておきます。五十音順に並べてみます。
アライエ アラヤ シンケ シンヤ ニイノミ の5種類です。全てお分かりになった方はすごい!と思います。4つ目までは何とか読めそうですが、最後のニイノミはお手上げです。いやはや固有名の読み方というのは難しいものです。

さて、本題ですが、今回は記述形のお話です。4回に渡って記述形が続く予定ですが、またわけのわからない言葉を、と一瞬眉をひそめる方も多いでしょう。
まずは典拠IDの形態からご説明します。典拠IDは、以前にもご説明しましたとおり、15桁で構成されていますが、末尾の4桁を形態番号といいます。先頭11桁が同じで末尾の4桁が異なっていれば、それは同じ人であるということになります。末尾4桁の意味合いはこのようになります。

1△△△△△△△△△△-0000      統一形 
1△△△△△△△△△△-0001~4000 記述形
1△△△△△△△△△△-4001~5000 参照形 

記述形とは、統一標目とは異なる漢字形で書かれているものでMARCにでてくるもの、対して参照形とは、統一標目としては採用しなかった形でMARCには出てこないものといったところでしょうか。

そうはいってもなかなかぴんとこないと思いますので、まずは実際の例をご覧ください。

《典拠ID》 11000070717-0000
《漢字形》 長島/茂雄
《カナ形》   ナガシマ,シゲオ
《職業・専門》 巨人軍監督,元・三塁手

《典拠ID》 11000070717-0001
《漢字形》 長嶋/茂雄
《カナ形》   ナガシマ,シゲオ
        注)典拠IDは見やすくするために-を入れてあります。

続きを読む "記述形その1:漢字が違えば" »

2008年4月 3日

新しいこと~雑誌MARCスタート

新年度に入りました。やわらかな日差しに満開の桜…ですが、我々は現在、人相を変えつつ目録作成の真っ最中。ようやっと峠を越えたところです。


さて、今年の冬のことですが、データ部の一隅が少々怪しげな雰囲気になっていました。床や棚の上に積み上げられた沢山の雑誌の山。珍しい学術誌もあれば、悩ましげなお姉さんが表紙を飾るものまであるようです。そしてその山の陰からは、「子どもを作る」「その前に親を作る」とぶっそうな言葉が聞こえてきます…。

こちら、本のMARCに続くデータ部の新しい挑戦、「TRC 雑誌MARC/Tタイプ」を作成している新チームの様子でした。「親」は雑誌の1タイトル全体を表すデータ「親書誌」のことを、そして「子ども」は親書誌にぶら下がる、毎号の内容のデータ「子書誌」のことを指しています。

冬から営々と作成し、現在も日々増えている親書誌の数は、2600タイトル以上になりました。そして、満を持してこの春より、親書誌・子書誌の提供がスタートしました!発売された雑誌をその日のうちにデータ化して毎日提供、図書館のニーズが高いと思われる約450誌については、目次もデータ化いたします。


試行錯誤を繰り返しながら、新しいデータの世界に踏み出す雑誌チーム、静かに青い炎を燃やしているのが私の机からも見えるようです。現場が落ち着いたところで、雑誌のMARCとは?雑誌MARCの作成現場とは?について熱いレポートが届くはず。もうしばらくしてから是非ブログでご紹介したいと思います。

2008年4月 2日

きょうのデータ部☆ (4/2)

今日は期待の新人を紹介。

4月から正式にデータ部(新刊目録部署)社員となった神田です。
いま目録作業の真っ最中。
p20080402.jpg

神田さん、お仕事中すみませんが、今後の抱負をお願いします。

「美しいデータを作れるようになります!」
とにっこり。

満開の桜のような笑顔で部署内も一層華やぎます。

データ部におこしの際はぜひ声をかけてあげて下さい。
応援よろしくお願いします☆

2008年4月 1日

本年度もよろしくお願いいたします

今日から2008年度。本年度もよろしくお願い申し上げます。

本日は「週刊新刊全点案内」1564号の発行日です。
掲載件数は2040件です。

4月の表紙は、タンポポを中央に据えた、暖かい色彩のデザイン。
皆様の身近な場所でもタンポポは咲いておりますでしょうか?

2008.4%E8%A1%A8%E7%B4%99.jpg

*こんな本がありました*

私が学生だった頃に読んだ本の中で、「日本語訳がない幻の作品」として紹介されていた「反三国志」の日本語訳が、なんと文庫でやってきました。
しかも一度に2巻まとめてです!

超・三國志 1
(GAMECITY文庫)
周 大荒
今戸 榮一

光栄(2008.3)
発送可能時間
超・三國志 2
(GAMECITY文庫)
周 大荒
今戸 榮一

光栄(2008.3)
発送可能時間

月日よ、私を置いてどこまで進んでいこうというのか!?などと感傷に浸っていたら、さらにショッキングな事実に直面してしまいました。

なんとこの本、私が「幻の作品」として認識したわずか1年後に翻訳されて、既に14冊も出ていたのです!
どうやら月日に「現在進行形」で「置いていかれている」わけではなく、「完了形」で「置いていかれてしまっていた」様です…

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