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記述形その1:漢字が違えば

久しぶりにMARC MANIAX典拠がスタートします。今回は第9回、田辺が担当しますので、どうぞお付き合いください。
その前に第8回の最後の、「新家」には5通りの読み方がありますが、なんと読むのでしょうか?というクイズ(?)の答を書いておきます。五十音順に並べてみます。
アライエ アラヤ シンケ シンヤ ニイノミ の5種類です。全てお分かりになった方はすごい!と思います。4つ目までは何とか読めそうですが、最後のニイノミはお手上げです。いやはや固有名の読み方というのは難しいものです。

さて、本題ですが、今回は記述形のお話です。4回に渡って記述形が続く予定ですが、またわけのわからない言葉を、と一瞬眉をひそめる方も多いでしょう。
まずは典拠IDの形態からご説明します。典拠IDは、以前にもご説明しましたとおり、15桁で構成されていますが、末尾の4桁を形態番号といいます。先頭11桁が同じで末尾の4桁が異なっていれば、それは同じ人であるということになります。末尾4桁の意味合いはこのようになります。

1△△△△△△△△△△-0000      統一形 
1△△△△△△△△△△-0001~4000 記述形
1△△△△△△△△△△-4001~5000 参照形 

記述形とは、統一標目とは異なる漢字形で書かれているものでMARCにでてくるもの、対して参照形とは、統一標目としては採用しなかった形でMARCには出てこないものといったところでしょうか。

そうはいってもなかなかぴんとこないと思いますので、まずは実際の例をご覧ください。

《典拠ID》 11000070717-0000
《漢字形》 長島/茂雄
《カナ形》   ナガシマ,シゲオ
《職業・専門》 巨人軍監督,元・三塁手

《典拠ID》 11000070717-0001
《漢字形》 長嶋/茂雄
《カナ形》   ナガシマ,シゲオ
        注)典拠IDは見やすくするために-を入れてあります。


長島茂雄さんといえば、昔は確かに長島さんだったような?人名事典ではどうなっているかというと、どうやら1994年頃から長嶋になってきたようです。

「現代日本人名録」(1987年刊)       長島茂雄
「現代日本人名録 1990」          長島茂雄
「現代日本人名録 1994」          長嶋茂雄    

「コンサイス人名辞典」(1984年刊)       長島茂雄
「コンサイス人名辞典改訂新版」(1993年刊)  長島茂雄
「コンサイス人名辞典第4版」 (2001年刊)   長嶋茂雄

TRC MARCではどうなっているかというと、
「ネバー ギブ アップ」(1981年 集英社刊)長島茂雄//著
「ありがとう!シノ/名人・篠塚利夫」(1985年 恒文社刊)長嶋茂雄//著
となっています。
このように、同じ人物なのに図書によって書かれている形が異なる場合、図書にあるとおりに記載し、統一標目を立てることで同じ人物だとわかるようになっています。
TRC MARC上ではこの通り。

251$F01 長嶋/茂雄//著
251$Z01 11000070717-0001(記述形の典拠ID)
751$A01 1 ナガシマ,シゲオ
751$B01 長島/茂雄
751$N01 11000070717-0000(統一標目の典拠ID)

このように漢字が違う場合のほかに、絵本だから著者表示もひらがな(渡辺満里奈さんは最近絵本を出されましたが、図書には「わたなべまりな」とあります。)とか、英訳された本なので、著者表示も英語(「我輩は猫である」の英訳版は「Soseki Natsume」と書かれています。)などのパターンがあります。ちょっとおもしろいのは高野長英で、本文がオランダ語で書かれた本には、「Takano Tsjo‐je」とありました。(多分オランダ語ではタカノチョウエイはこういう綴りになるのでしょう。)
一つの名前に対して、これだけいろいろな表示の方法があるわけですが、典拠コントロールされていれば、どんな表記も大丈夫、というお話でした。

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