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2018年4月 アーカイブ

2018年4月27日

翻訳書の原タイトル ~MARCや検索のはなし~

「ライ麦畑でつかまえて」。
J.D.サリンジャーの有名な長編小説ですね。読んだことがあるという方も、タイトルだけは聞いたことがあるという方もいらっしゃると思います。
わたしは高校生のときに読んだきりですが、先日本屋さんで久しぶりに見かけました。
こんなに古い本なのに平積みされている!と思いながら通りすぎようと思ったとき、すぐとなりに同じように平積みされている「キャッチャー・イン・ザ・ライ」というタイトルの本が目に付きました。訳者は村上春樹さん。
どちらも同じ原著「The catcher in the rye」の翻訳本です。
タイトルが違うこの2冊の本、同じ本の翻訳書なら一気に検索できた方が便利ですよね。
そんなとき使えるのがTRC MARCに入っている「原タイトル」の情報。
翻訳本の原著のタイトルを注記として入力しています。

原タイトル「The catcher in the rye」で検索をかけてみますと...

「ライ麦畑でつかまえて
(白水Uブックス)

J.D.サリンジャー(著) 野崎孝(訳)
白水社(1984.5)

「キャッチャー・イン・ザ・ライ

J.D.サリンジャー(著) 村上春樹(訳)
白水社(2003.4)

上記2つだけではなく、

「危険な年齢

J・D・サリンガー(著) 橋本福夫(訳)
ダヴィッド社(1952)

こちらもヒットしました。
いろいろなタイトルに翻訳されているんですね。

原タイトルで検索をしてみると新しい本に出会えることがありますので、是非ご活用ください。

2018年4月25日

きょうのデータ部☆(4/25)

DSC_0226_20180425080648.jpg

2階のテラスは今こんな感じ。
テラスに置いてあるテーブルと椅子が経年劣化ということで、お化粧直し中なのです。
これから夏までの季節は、テラスが一番活躍する時期なので、綺麗に生まれ変わるのが楽しみです。

2018年4月24日

大物にびっくり

本日は「週刊新刊全点案内」2059号の発行日です。
掲載件数は1326件でした。

~こんな本がありました~
大相撲錦絵

カルチュア・エンタテインメント
(2017.12)

2048号掲載の「大相撲錦絵」が大型化されたものです。錦絵の迫力がさらに増しているように感じました。一人では持てないほどの大きさ、重さ(そしてお値段も...!)のため、二人ががりで慎重に運ばれながらMARCを作成しました。


江戸時代の人も魅了したお相撲。普段はテレビでお茶の間観戦しているのですが、実際に見に行き本物の迫力を味わいたい、という思いが強まりました。

2018年4月26日

2020年までには...

今月の雑記のテーマは「家電」です。

差し迫って必要なものはないけれど、できれば買い替えたいな〜と思っているのがテレビ。

我が家はわりとよくテレビを観る方で、朝出勤前や帰宅してすぐなど、特に観たい番組がなくてもとりあえずテレビをつけてしまうことが多いです。

そんな中湧いてきたのが、もっと画面が大きくて画質も綺麗なテレビがいいな、という欲...。
さらに、去年の夏頃に録画機能が壊れ、とても不便になってしまったため、
いよいよ本格的に買い替えを検討するか!というムードに。

が、いざ家電量販店のテレビ売り場を覗いてみると、実際にどんなテレビが良いのか判断に迷い、イマイチ決め手に欠ける印象...。

4K対応は必須? いやこれからはもう8Kの時代?!
有機ELテレビが良いのか?
結局何インチにしよう...
etc.

タイミング的にも、
オリンピック前におそらく各メーカー新型を出してくるので、その時に型落ちを割安で買うのも一つの手ですよ、
とのお店の人の談あり。

そんなこんなで、2回ほど家電量販店に足を運んでみた結果、
まだしばらくは今のテレビで我慢してタイミングを計ろう、ということに落ち着いたのでした。

「欲しいと思った時が買い時だよ!」と先輩から後押しのお言葉もいただいたのですが、
まったく同じ理屈で我が家は最近車を買ってしまったので(それも、下手したら大きいテレビは積めないような完全なる趣味車を... )、お財布もなかなかすぐには「うん」と言ってくれません。

とはいえ、
せっかくなら今度の東京オリンピックは大画面高画質テレビで鑑賞したいですし、
再来年の大河ドラマは絶対に見逃せない(←先週主役が発表され、好きな俳優なので今から楽しみで仕方がない)ので、
2020年までには必ず買い替えることをここに決意。
それまで色々情報収集してみようと思います。

2018年4月20日

標本を楽しむ~分類/件名のおはなし・82~

毎日さまざまな手法の手芸本に出会いますが、今年に入って初めて目にしたのが「ハーバリウム」の本です。ハーバリウムとは植物標本のことですが、最近はドライフラワーやプリザーブドフラワーをオイルと一緒にビンなどに詰め、インテリアとして楽しむタイプが人気のようです。

分類は594.85、件名は「ドライフラワー」「プリザーブドフラワー」「植物-標本」などを付与していますが、実はこの594.85(押し花.ドライフラワー.プリザーブドフラワー)という分類は10版で新設されました。9版までは押し花は594.9、ドライフラワーとプリザーブドフラワーは594.8を付与してきましたが、10版でめでたく分類項目が新設されたので、植物を使った手芸をまとめて配架できるようになりました。

手芸関係は壊滅的に苦手ですが、花をオイルに沈めるだけなら私でもできそう? 配置にセンスが問われそうなので意外と難しい気もします。来週発行の週刊新刊全点案内(2059号)には、ハーバリウムの本がなんと3冊も掲載されます。涼やかで、これからの季節にぴったりなので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

2018年4月23日

和装本記事リンク集

今回は、和装本に関する記事のリンク集です。
まずは第一弾ということで、一番古い記事をまとめました。
ASで作成するデータから、和装本の巻冊次、責任表示についてまでです。
和装本の目録について、個別に詳しく解説されることはなかなかないので、ぜひ参考になさってください。

巻物を手に~ASで作成するデータについて~

「古い本」~ASで作成するデータについて~

和装本の巻冊次(1)~ASで作成するデータについて~

「一」 とあっても(和装本の巻冊次(2))~ASで作成するデータについて~

おとうとが何人?(和装本の巻冊次(3))~ASで作成するデータについて~

和装本の責任表示(1)~ASで作成するデータについて~

「同」に注意!(和装本の責任表示(2))~ASで作成するデータについて~

お孫さんですか?(和装本の責任表示(3))~ASで作成するデータについて~

そこまでして(和装本の責任表示(4))~ASで作成するデータについて~

「号+姓+名+字」の順番です(和装本の責任表示(5))~ASで作成するデータについて~

「校刊」の役割(和装本の責任表示(6))~ASで作成するデータについて~

三所三様(和装本の責任表示(7))~ASで作成するデータについて~

誰の解釈?(和装本の責任表示(8))~ASで作成するデータについて~

漢籍の王朝名(和装本の責任表示(9))~ASで作成するデータについて~

「孔子著」の違和感(和装本の責任表示(10))~ASで作成するデータについて~

2018年4月19日

家電というより家族?

こんにちは。新刊の入江です。

今月の雑記のテーマは「家電」です。
一口に家電といっても、掃除機・洗濯機・電子レンジのような家事・炊事のおともから、テレビ・エアコン・ドライヤーのように生活を豊かにしてくれるものまで様々です。

先日、そんな家電というジャンルの懐の広さを再認識する体験をしました。

ある週末のこと、テンション高めの友人に誘われて、やってきたのは某家電メーカーのショールーム。かっこいいスポーツカーや最新機種のスマートフォンに目もくれず、奥へ奥へと進んでいくと、縁のついた展示台の上で何かが動き回っています。

そこにいたのは最近大幅なモデルチェンジをした愛玩用犬型ロボット!
記憶にあるヘルメットをつけた宇宙飛行士のような外見は、生き物のような滑らかな曲線・しっぽやまぶたによっても表現される豊かな表情へと進化していて、動きも非常にリアルで愛嬌たっぷりなものになっていました。

一人暮らしの人や動物にアレルギーのある人にとって、擬似的にでもコミュニケーションがとれるロボットはもはや単なる家電以上のもの。中にはルンバをペットのごとくかわいがる人もいると聞きます。この犬型ロボットも、人気がありすぎて購入するには抽選に応募する必要があるそうです。

早速申し込んだ友人は見事当選して「この子はもはや家電ではなく家族」と狂喜乱舞していました。
愛玩用の家電、ペットとしての家電、家電というより家族...ドラえもんのような意思を持つロボットと同居する未来が実現する日も遠くはないのかも知れません。

2018年4月18日

きょうのデータ部☆(4/18)

DSC_0224.JPG

二階から三階への階段。
こうして白い階段を見上げると、何となくSF映画を思い出すのでした。
近未来SFって、大体部屋が白いですよね。なんでだろう。

2018年4月17日

歴史を描く

本日は「週刊新刊全点案内」2058号の発行日です。
掲載件数は1541件でした。

~こんな本がありました~
歴史画 人間のものがたり
(ART GALLERY テーマで見る世界の名画 8)

集英社
(2018.4)

テーマ別画集シリーズ「ART GALLERY」の最新刊は歴史画でした。
収録作は、死、処刑、戦争など、怖めの主題のものが多そうです。

解説によると、歴史画は、印象派が台頭するまで
西洋絵画の最高峰とされてきたのだそうです。

画力はもちろんのこと、
◎どんな出来事を主題に選ぶか
◎どの場面を選ぶか
◎脇役たちをどこまで描きこむか
◎主人公をクローズアップするか、それとも全体を描くか
◎照明は主人公・敵役に当てるか、それとも均質に照らすか
...等、画家の総合力的判断力が求められるからだとか。
教養・知性がそのまま出てしまうとは、えらいことです。

見るほうも「マラーの死か...お風呂で死んじゃったのね~」
で終わらせては、もったいないのかもしれません。
画集の解説をじっくり読み込んで、
鑑賞するのに良い分野かと思いました。

2018年4月13日

典拠ファイルの作成手順~典拠のはなし~

こんにちは、典拠の望月です。
昨年典拠班に異動して典拠ファイル(人名と団体名)の作成に携わるようになったのですが、それ以来毎日「仮ファイルリスト」というものを作っています。
なにが「仮」なのかというと、典拠ファイルを仮に作ったうえで、改めてそれが適切かどうか、入力ミス等ケアレスミスがないか確認するためのリストということで、完成一歩手前の「仮」段階ということなのです。
このように、典拠ファイルの作成はいくつかの段階を経て行われます。今回は典拠ファイルの作成手順についてご説明したいと思います。

初めて執筆を行った人の本が刊行されたとします。
初めてなので、典拠ファイルがありません。そこで、「ファイルが必要です」と典拠班に連絡が来るところからスタート。
ここからは、ファイル作成担当者の作業です。
まずは図書をじっくりとみて、著者の表記にワレがないか、ヨミがあるかどうかを確認します。同時に著者紹介もざっくりと把握。それから、本当にまだファイルがない人かどうかを確認。そのためにはよく検索を行わなければなりません。漢字の形ではヒットしなかったけれど、じつはひらがな、アルファベットの形でファイルがあったりするかもしれません。同姓同名の別の人かと思いきや、よく見たら似たようなジャンルの本を出しているなんてこともあります。

そこから
漢字形 カタカナ形
専門分野、職業、肩書、生没年
など、ファイルの統一形を決め、ほかの人と区別がしっかりできるような情報をまとめて典拠ファイルの形に整えます。

ファイルを整えたら、チェック担当者にバトンタッチ。必ず別の人の目で確認してもらいます。
統一形は本当にこの形でよいか、過不足なく情報が整えられているか、入力ミスはないか、図書の情報と付き合わせながらチェックします。いつも眼を皿のようにしてやっています。
OKが出たらファイルは仮に完成した状態へ。そして翌日仮ファイルリストとして出力されます。

仮ファイルリストは、主な担当者が見た後、チェック者全員で回覧します。疑問点があると、すかさず付箋がつけられます。
担当者は付箋がクリアされるよう見直し作業を行います。ときには全員で話し合って決めることも。
全ての見直しが終了したら、典拠ファイルは完成となります。

※統一形の決め方、などをより詳しく知りたいときは、
企画記事の「人名典拠」「MARC MANIAX 典拠
カテゴリーの「典拠ファイル
をどうぞ!

2018年4月16日

春のおさらい会-目次情報

先週の「内容細目」に続いて、今週は「目次情報」です。

「目次情報ファイル」って何でしょう?
どんな図書が「目次情報作成対象」なのでしょう?
あらためておさらいしてみます。

研究者向けと大学生向けの図書、児童書ノンフィクション、そして楽譜が対象です。
分類、件名だけではとらえにくい内容も、目次を見ればよくわかることがあります。

たとえば、こちらの大学生向けテキスト。

『マクマリー生物有機化学 原書8版 生化学編』

図書の分類は464、件名は「生化学」「有機化学」と、かなり広い領域をカバーしているよう。
目次を見ると、おお~、長い!
アミノ酸とタンパク質から、ゲノム科学まで、いろんなことを扱っている様子。
知りたいことが載っているかどうか、わかりますね。
逆に、「この内容だと違うな...」ということもあるでしょう。
目次情報を確認して、図書を選んでから図書館へ行く、あるいは図書を予約する。
宿題やレポートの準備がスマートにできますよ。


児童書ノンフィクションの例もご覧に入れます。

『学校にある道具使い方事典』

道具といってもたくさんあります。
懐かしの「アルコールランプ」や、「糸ノコ」「上皿天びん」はあるでしょうか...?

ありました!!

「デジタルはかり」「モニターつき顕微鏡」といった、新しそうなものもありますね。
おお、「消火器」「ライン引き」の使い方も知りたいです!

という具合に、お目当てのモノが調べられるかどうか、しっかり確認できます。


最後に楽譜の例を紹介します。

『J−POPのすべて 2018新曲増補版 ベスト339』

うーむ、壮観!
「この曲を弾きたい!」「この曲が必要!」に応えるため、
収録曲のタイトルを一つ一つ、コツコツと入力しております。


小学生の「調べ学習」にも、本格的な研究にも、演奏したい音楽ファンのためにも、目次情報はレファレンスのお役にたちます。

2018年4月11日

きょうのデータ部☆(4/11)

先週のテラスのお花は芝桜だということが判明しました。
教えて下さった方、ありがとうございました。
芝桜を羊山公園まで観に行ったこともあったのに、全然気付かなかったという...。

IMG_20180411_075733.jpg

こちらは台所に置いてある瓶。
お土産の残りなどを入れておくと、欲しい人がいただいていくというシステムになっていて、結構便利です。

2018年4月10日

BBQ!

本日は「週刊新刊全点案内」2057号の発行日です。
掲載件数は1240件でした。

~こんな本がありました~

5行で作れる!バーベキューレシピ100選!
(NEKO MOOK)

ネコ・パブリッシング
(2018.4)

昨夏、久しぶりにバーベキューをしました。
青空の下、ワイワイやりながら食べたお肉、とても美味しかったです。
行楽シーズンになってきたし、今年も行きたいなぁ...と思っていたところ、今週号でこちらを発見。

バーベキューレシピ。
バーベキューって、切って焼けばいいんじゃないの?という、バーベキュー好きな方から本気で叱られそうな発言をしてしまう私ですが、こちらの本をひと目見てワクワク!

大胆なお肉料理から、おしゃれなもの、そして甘味まで。
バラエティ豊かなメニュー!しかも本当に5行で書いてある!

ただ焼いて食べるだけでも楽しいけど、調理するメニューがあればもっと楽しくなるに違いない!
「気軽にチャレンジできるものから、本格的な道具が必要なレシピまで」とあるし、素人にもできるものがあるはず!5行だし!

と本を開いた私の目に飛び込んできた「ツーゾーンファイア」の文字。

??????
なんだろう...技名?

おいしい料理にありつけるよう、巻頭の用語解説はしっかり読まないといけませんね。

2018年4月12日

ないない尽し

こんにちは。典拠 小松です。

4月といえば新生活!
雑記のテーマは「家電」だそうです。

家電をイチから揃える時、ワクワクしますよね。
私も初めての時には、少しでも安くて機能が良いものを!とカタログを吟味し、足を棒にして頑張りました。

しかし独立して10年。家電が寿命を迎え始めると、今度は「なくてもいいのでは?」という方向で検討するようになりました。

なぜなら、気にいって住み始めた家が1Kの狭小住宅だったのです。狭小住宅のキッチンはミニサイズ。食器棚なんてありません。

最初に槍玉に挙がったのはトースター。なぜなら、朝ごはんはご飯派。「トースト」はめったに食べず。たまのお餅は魚焼き器、なんならフライパンでも焼けるからです。

次に電子レンジ。機能にこだわって買ったレンジは大変重たく、大地震の後は「落ちてきたらどうしよう」と頭痛の種に。捨ててみれば、たいがいのものは茹でたり、蒸したりでどうにかなり、これも捨ててOKでした。

最後に冷蔵庫に魔の手?が及んだ時、さすがに家族から「待った」がかかりました。

「頼むから、夏場のアイスクリームだけは奪わないで!」

野望は潰えて、我が家の冷蔵庫は若干小さめに代替わりした今も冷凍庫、野菜室つきです。

こんなことをやっているのは私だけかとおもいきや、ミニマリストブームのせいか、いらないもの、やらなくていいこと探し流行っていますね。

昨年入荷した本、半分以上が我が家にも当てはまりました。

その家事、いらない。

山田綾子(著)
ワニブックス(2017.11)

私の場合は、単純にズボラなだけともいいます。
それでも、電気代も減るし、部屋も(若干)広くなって、家電の少ない生活おすすめです。

2018年4月 6日

「官版」さまざま

こんにちは。AS 伊藤です。主に和漢古書を担当しています。

江戸時代の日本は商業出版が盛んだったことが一大特徴ですが、もちろん公的機関が刊行したものもたくさんあります。寺社や諸藩によるもののほか、江戸幕府が刊行したものも多数あり、そのうち寛政11年以降、江戸湯島の昌平坂学問所(「御學問所」)が刊行したものを「官版」(かんぱん)と言います(広い意味では江戸幕府の刊行物全体を指すこともあります)。
官版の大多数は漢籍の翻刻ですが、表紙や装丁がほぼ統一されており、おおむね判別しやすいです。表紙は型押し模様のある濃い小豆色で、題簽上部に「官板」または「官版」の二文字が横書きに刷られている一方、出版者を記した刊記はなく、最終丁の欄外に「天保二年刊」といった年記だけが、やや縦長の文字で彫られています。本文はたいへんすっきりしたほぼ正方形の字様で、返り点や句点は付されていますが、送り仮名は付されていないものが多数派です。

こうした図書については、出版にかんする注記としてただ「官版」とするか、あるいは「題簽に「官板」とあり」などと注記した上で、出版者としては「[昌平坂學問所]」と補記で記録するのが適当です(出版地はむろん「[江戸]」となります)。
このとき、題簽の書名として「官板○○」という具合に記録するかどうか、ほんらいからすると、この題簽の「官板」は、学問所の刊行物であるということを示している、という意味合いなので、書名の一部とすべきではないように思われます。ただ、検索の便宜をはかって「官板○○」でも検索できるようにしておく何らかの工夫はあっていいかもしれません。
一方、中国で中央あるいは地方の官庁が刊行した図書にも「官板」「官刻」などを書名に含むものがあり、これはもちろんそのまま書名の一部とすべきです。ただ中国の場合、民間の出版者が箔付けのために勝手にそうした語を冠することもままあり、かなりいい加減なものやあやしげな内容のものでも「官版」をうたっていたりします。

さてこの官版ですが、しばしば刊行後すぐに版木が須原屋や出雲寺といった有力な版元に貸与され、町版(まちはん)として印行されました。これらの後印本は、多くの場合表紙を取り替えた上で奥付を付け加えて発行されており、「官版」の表記は現物のどこになかったりしますが、表記の有無にかかわらず「××年刊官版の後印」と注記すべきものです。
明治期に入って、この官版の版木は火事で焼けてしまいましたが、一部が伊達家の手に渡り、補修の上、明治42年(1909)に「昌平叢書」65種として刊行されました。このときの印刷・製本の実務を担当したのは松山堂(藤井利八)という書店で、後にこの版木は京都帝国大学に移管され、聖華房(山田茂助)という書店から再印されました。ということで、「昌平叢書」としては、松山堂発行のものと聖華房発行のものとの2種類がある、ということになるのですが、どちらも表紙は初版のときと同じ、型押し模様のある濃い小豆色のものを使っています(出版者は裏見返しに朱印が捺されています)。
「昌平叢書」の文言は表紙に貼られた印刷紙片にありますが、題簽等の常としてしばしば剥落しています。となってしまうと、初版の官版と区別がつきにくかったりするのですが、出版者が藤井さんや山田さんの場合、江戸時代の印行であることはありませんので、その場合は、巻末にある初刊時の刊年は、やはり書誌的来歴の注記として記録することになります。これを出版年としてそのまま記録してしまうと、こうした経緯に無知なことが一発でバレてしまいますので、注意しましょう。

なお、この「官版」と区別が必要なものとして「官許」とか「官版御用」といった表記があります。前者は見返しや奥付その他でよく目にしますが、文字通り「お上から出版許可が出たものである」、すなわち「海賊版(偽刻)ではない」ということを宣言しているものであって、それ自体として幕府や公的機関の出版物であることを示しているわけではありません。
また後者は奥付でよく見ますが、須原屋茂兵衛や村上勘兵衛といった書肆が、自らが官板の印行を手がける「格の高い」出版者であることを強調しているだけの文言であり、そうした記載が奥付にあるからといって、その本自体がお上の刊行物であるかどうかは、まったくの別問題です。刊行主体をそのタームで明確に示す「官版」そのものとは意味合いがまったく違い、まあ「宮内庁御用達」のようなものですので、記録する必要性は乏しいと言ってよいと思います。

2018年4月 5日

通勤のお供

4月の雑記のテーマは「家電・電化製品」です。

通勤中に音楽を聞くためイヤホンを持ち歩いていますが、いまいち音が良くない...。
ふと長女が使っているイヤホンを見ると、いつの間にか高級そうなのを使っていることに気づきました。
お小遣いでがんばって買ったそう。
家電量販店のイヤホンコーナーで、試せるように展示してあるものを片っぱしから自分のiPodにつなげて、1つ1つ聴き比べたのだとか。
誰が試したか分からない展示品を次々直に耳に入れて、ばっちくないのか?という疑問はさておき、おかげで納得のいくものが買えたようです。
ちなみに値段は私が持っているものの3倍以上でした。
さすがにすごく音が良くて、うらやましいです。

イヤホンといえば新人のころ、地獄の様な混雑の電車で通勤しており、ウォークマン(もちろんカセットテープで聞くタイプですよ)につなげたイヤホンが何度も千切れて壊れました。
文庫本を拡げる隙も無い車輛の中で、辛うじて聞ける音楽と、自分の乗った電車が多摩川の鉄橋を渡るダダンダダンという轟音が混ざったものを聞いていると、「もう途中の駅で降りて帰りたい」と思ってしまったり。
結局ギュウギュウすぎて降りられず、そのままデータ部に通っていたことを思い出します。

2018年4月 9日

春のおさらい会-内容細目

「内容細目」って何でしょう?
どんな図書が「内容細目作成対象」なのでしょう?
あらためておさらいしてみます。

小説集、論文集など独立した作品を集めた形式の図書は、その内容1作品ごとに検索ができるように内容細目ファイルを作っています。
作品ごとにヨミを付し、著者の典拠もおこなって、典拠ファイルにリンクしてあります。
これにより、MARCにあらわれない作品の一編一編のタイトルを探すことができます。
またMARCに責任表示として採用されていない著者の作品も、典拠ファイルと内容細目ファイルで一網打尽にできます。
ページ数もあるので、作品のボリュームもわかりますよ。

いくつか例をご覧に入れます。


『初版グリム童話集 1』 (白水Uブックス 童話)

どんなお話が収録されているのかがわかります。


『谷崎潤一郎全集 第8巻』

『吉本隆明全集 1』
王道の個人全集です。すべてMARCの著者の作品なので、作品ごとに責任表示はありません。


一方、個人全集のなかでも、こちらのようにいろんな著者が関わっている場合には、作品ごとに責任表示があります。

『定本漱石全集 別巻 漱石言行録』

夏目漱石と交際のあった人たちによる文章がたくさん収録されています。
こんなに細かく 一人一人、典拠されています。
TOOLiでも、ぜひご覧ください。


論文集でよくあるのは「○○先生古稀記念論文集」というようなもの。
弟子筋の研究者たちがこぞって論文を寄稿しています。
それぞれ独立した内容の論文なので、内容細目を作成します。

『現代経済社会の諸問題 渡部茂先生古稀記念論集』


こちらは対談集。ホスト役の高峰秀子さんはMARCの著者、ゲストの方々は内容細目のほうに著者として記録されます。
『高峰秀子と十二人の女たち』


単行本としては、絶版や品切れで入手不可能なものも、全集なら読めます。
この著者のことを全て知りたい!にも応えます。
内容細目ファイルは、読書や調べ物をディープにしてくれるツール。
ぜひご活用ください。

2018年4月 4日

きょうのデータ部☆(4/4)

新社屋に引っ越して以来、毎年春にはデータ部員を楽しませてくれたシロタエザクラですが、残念なことに病気になってしまい、ヤマボウシという木に植え替えられました。
今年は難しいかもしれませんが、花が咲いたらこのブログで紹介したいと思います。

今、テラスで咲いているのはこの小さいお花。

IMG_20180404_075112.jpg

IMG_20180404_075100.jpg

な、名前がわからない...。

2018年4月 3日

盤上の広い世界

本日は「週刊新刊全点案内」2056号の発行日です。
掲載件数は1586件でした。

今月の表紙はこちら。

p20180403.jpg

最近、クリスマス需要などで、ハウスで育つ苺の旬は、冬に移りつつあるのだとか・・・
しかし、私にとって、苺は、春の果物です。
そして、色と形が可愛いからなのか?見ただけで幸せな気持ちになります!!!
(潰してミルクをかけて食べていた頃が懐かしい~~~!?年齢がバレちゃう)
今の大きい苺は、そのままで充分過ぎる美味しさですね。(Juriさん)


~こんな本がありました~
ボードゲームカタログ202

すごろくや (編)
スモール出版(2018.3)

ゲームといったらデジタルゲームを思い浮かべる方も多いと思いますが、この本で扱うのはアナログゲームに属するボードゲーム。
近年では、一部の図書館でボードゲームを遊ぶ会が開催され、TRCでも企画をしています。
この本では様々なボードゲームを戦略、運、心理戦などといったジャンルに分けて紹介しています。
どんなゲームがあるか見てみると、参加者全員で部品を積んで塔を作るもの、誰かが描いた絵で伝言ゲームをしていくもの...などなど、ユニークなルールやギミックに満ちたタイトルがズラリ。どれもみんなでワイワイと盛り上がれそうで、この世界の奥深さを感じます。

そういえば、私も以前友人に誘われボードゲームを遊びに行った時、知らない人も混ざって一緒に楽しんだことを思い出しました。とはいうものの、戦略系のゲームでコテンパンにされてしまったのですが...。
次にやる機会があれば、ぜひリベンジを果たしたいものです。

2018年4月 2日

いつか行きたい潮干狩...~新設件名のお知らせ2018年3月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

3月は4件の件名を新設しました。そのひとつに「潮干狩」があります。

潮干狩!
それは、以前からやってみたいなぁと思っているのに、なかなか実現していないレジャーのひとつ。去年は、潮干狩に行ってきた、というママ友から大量のアサリをいただき、お味噌汁や酒蒸しで思いきり楽しみました。家族で行って楽しかったよ、という話を聞いて、ますます高まる行きたい気持ち。

今年こそ?!と思い、インターネットで「潮干狩」と検索して見ると、「潮干狩りカレンダー」なるものを発見しました。それによると、潮干狩のベストシーズンは3月下旬からGWまでとのこと。つまり、今が旬!
...そうとわかっても、週末にはすでにいろいろ予定がつまっているし、まだ予定のないGWなんかに行っても、きっと埋まっているアサリより人の方が多いだろうし、となかなか重い腰が上がりません。

そうこうしているうちに、きっとまたベストシーズンを逃し、子どもたちは成長し、家族でのお出かけなんてつきあってくれなくなり...私は一生潮干狩に行けず仕舞い、なんてことになりそうな気がしてきました。
件名「潮干狩」を新設するきっかけとなったガイドブックでも買って、計画立ててみようかな。


潮干狩りの極意
(別冊つり人)

つり人社(2018.4)

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