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2023年2月 アーカイブ

2023年2月28日

植物学の父

本日は「週刊新刊全点案内」2297号の発行日です。
掲載件数は1042件でした。


*こんな本がありました*

最近よく見かける「牧野富太郎」本。連続テレビ小説の主人公のモデルに決定してから、ものすごい勢いで増えています。
今週号にも牧野関連本が2冊掲載されますが、そのうちの1冊がこちら。
高知県立牧野植物園にある、牧野富太郎が作成した植物標本41点を写真と解説で紹介したものです。


「MAKINO 植物の肖像」

菅原一剛(著)
北隆館(2023.2)


私は標本的な植物画が好きで、牧野富太郎やキューガーデンなどの植物画集があると思わずじっくり見てしまいます。思い返せば以前こちらのブログでも牧野本を紹介していました。
次号以降も色々な切り口からの牧野本が続々出版されますので、ぜひ見比べてみてください。

2023年2月24日

絵本の検索あれこれ~MARCや検索のはなし~

何やら本や図書館に関わる仕事をしているらしい...との認識を持たれているためか、友人から「おすすめの本」の相談を受けることがわりとよくあります。

特にここ最近は、小さい子向けの絵本で何かおすすめがあったら教えて~!と連絡をもらうことが多く、
「ひらがなに親しめる絵本」「寝かしつけに良さそうな絵本」「電車が好きだから電車が出てくるお話」など、そのリクエストは様々です。

そこで、TRC MARCを利用しておすすめ絵本を探すとしたらどんな検索ができるかな?と考えてみました。

例えば、上記の例のように探している絵本のテーマがはっきりしていれば、読み物キーワードを利用すれば一発です。
それぞれ、「ひらがな-物語・絵本」「睡眠-物語・絵本」「電車-物語・絵本」といったキーワードで探せます。
「寝かしつけに良さそうな絵本」は、ジャンル「児童書・絵本>絵本>おやすみ絵本」で探すのも良いですね。

1歳の男の子のお母さんから、「まだ何が好きとか分からなくて...とりあえず厚紙の絵本がいいな」という相談を受けた時には、MARCの装丁コード「厚紙絵本」が思い浮かびました。
TOOLiで、装丁「厚紙絵本」を選択して、利用対象を「0~2歳」に絞り、さらに、めくったりなぞったり覗けたりしかけが付いているとより親しみやすそうなので、ジャンル「児童書・絵本>絵本>しかけ絵本」と掛け合わせても良さそう...などと、すぐ頭の中でTOOLi検索を始めてしまうのはデータ部員あるあるかもしれません。

人に本をおすすめして喜んでもらえたら、その本は自分にとっても"特別な一冊"になりますよね。
本を介した人と人とのコミュニケーション。TRC MARCがその一助となれば嬉しいなと、このブログを書いていて改めて思いました。

2023年2月22日

きょうのデータ部☆(2/22)

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今日、2月22日は猫の日*
データ部のどこかにもにゃんこはいないかな~?
と思いつつ探していると、
自席からいつも目が合うかわいい子が典拠班にいることにはっと気が付きました。
猫グッズの思い出エピソードも伺ってさらに癒される。

撮影許可ありがとうございました♪

2023年2月21日

絵本、いわれてみれば

本日は「週刊新刊全点案内」2296号の発行日です。
掲載件数は971件でした。

*こんな本がありました*

「絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか 空間の絵本学」

矢野智司 佐々木美砂(著)
勁草書房(2023.2)


タイトルがずばり「絵本のなかの動物はなぜ一列に歩いているのか」

正直考えたことがありませんでしたが、いわれてみればなぜなのか疑問がわいてきます。
ページをめくる毎に動物が次から次へと登場し、列がだんだん伸びていく、あるいは一カ所に集まっていくパターンはたしかに「絵本あるある」。
また、このパターンに登場するのは人間ではなく動物たちであることが多いように思います。
なぜ順番に一列に?なぜ動物?そしてなぜ最後は...

普段なにげなく手にしている絵本の表現にこういう意図、効果があったとは、と新しい視界がひらける研究書です。

2023年2月16日

いろんな東京、いろんな芸術

2月の雑記テーマは「意外な趣味」です。
ここ最近はもっぱら大喜利と博物館めぐりに土日を費やしています。

実家は博物館にも美術館にも縁がない家庭で、子どもの頃に訪れたのは学校の遠足で3~4回といったところ。大学時代には周囲に美術館が林立するエリアに下宿していたものの、高貴な雰囲気になんとなく気後れし、しかも下宿生のお財布事情ではチケットに手が届かずほとんど足を運ぶことはありませんでした。今思えば非常にもったいない話です。

そんな人間が大人になって突然博物館めぐりにはまったのは、「ぐるっとパス」の存在があったから。
ぐるっとパスは東京を中心とする100以上の美術館・博物館等の入場券や割引券がセットになったお得なチケット。利用できる施設には国立科学博物館のような有名な博物館もあれば、動物園・水族館もいくつかあります。
有効期限は2か月とやや短いものの、価格は2500円とお手頃。週に1館巡っても十分元が取れます。時間に余裕のある大学生なら、100館回るのも不可能ではないかも......!?

とはいえ訪れた先のミュージアムショップでグッズを買ったり、近くのカフェに寄って余韻に浸ったり、意外と交通費がかかったりでお金はたくさん使ってしまうのですが。それらも含めて楽しい時間です。

2023年2月15日

きょうのデータ部☆(2/15)

IMG_5169.jpg

週末はコートがいらないくらいの気候で過ごしやすかったですが、
今週に入って寒さが舞い戻ってきました。
本日は、普段あまり立ち寄ることがないオフィス最上階からの景色を撮影してみました。

2023年2月14日

ほぐされるよりも、ほぐすことを

本日は「週刊新刊全点案内」2295号の発行日です。
掲載件数は920件でした。

*こんな本がありました*

「ねこほぐし」

中桐 由貴 (著)
産業編集センター(2023.2)

こんな本がありました。

寒い日が続くと、何かうまいこと季節の悩みを切り抜ける術はないかしら? とツボや養生法が気になってきます。そんなところに、この本を見つけました。

猫にほぐされるのではなく、猫をほぐす一冊。
マッサージされ、ストレッチさせられて、怪訝そうな顔をしたり、うっとり目を細めたりしている猫の可愛い姿に癒されます。

猫にも人間と同じツボがあるのですね。
「風池」(免疫力が上がるらしい。風邪を引きそうなときに温めるとよいツボ)を押されて、やや迷惑そうな顔がまさに「ツボ」でした。

2023年2月 9日

カメラ目線、お願いします!

2月の雑記テーマは「意外な趣味」...ということですが、興味をもって手を出しては極めることなくいつの間にかブームが去っていく、趣味とまでは言い切れないちょっとの楽しみで日々を生きている私。趣味として語れることなんて...と思ったのですが、ありました。昔からついついやってしまうこと。それは...昆虫の写真を撮ること。


緑が多い場所の隣に住んでいるせいか、テラスの花壇に雑草を覆い茂らせているせいか、テラスに出ると昆虫に会えることが多いです。というより、晴れた休日の昼間などは、今日はいないかな、と昆虫を求めてテラスに出ます。会えると一番テンションが上がるのが、推しのカマキリ。毎年秋ごろには会える確率が高くて、会えたときには必ず記念撮影をします。毎年カマキリの写真を撮り続けて気づいたのは、カマキリは記念撮影時にカメラ目線をくれること!(獲物が近づいてきたのか?と思って警戒しているだけな気がしますが。)

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カメラ目線の昆虫写真、嬉しい!楽しい!


というわけで、今度は花壇に植えたシソを食べつくしたオンブバッタに無理矢理近づいて正面からパチリ。いい顔、いただきました。

IMG-7847.jpg


昆虫だけでなく、ヤモリなども姿を見せてくれることがあります。ヤモリも大好きな私。なんとか写真に収めたいのですが、彼らはとってもすばしっこくて...なかなかポーズを決めてくれません。いつか、いいカメラ目線もらえたら嬉しいな。

2023年2月10日

内容細目と図書の著者~典拠のはなし~

典拠・望月です。

TRCでは論文集や小説集など複数の独立した作品が含まれる図書のMARCに対して内容細目ファイルを作成しています。
そして、内容細目の著者も典拠コントロールしていることを、以前ご紹介しました。
内容細目も典拠しています
(2005年からスタート。それ以前のものは典拠ファイルがないものもあります)

内容細目の著者は、図書から得られる情報が少ないものがままあります。著者紹介がない、カナヨミがない、西洋人の原綴がない、どこの国の人かわからないetc.
所属先と書いた内容くらいしかわからない状態で典拠ファイルを作成するのはなかなか骨が折れる作業です。ヨミがなければ推定をし、同姓同名のときは別人なのか同一人物なのかを判断し、原綴がないときは所属先のホームページなどにあたって探し出す。こうして適切にファイルを作成できるようにしています。

そんな風に典拠ファイルを作成したのち、今度は単著として図書を出版することがあります。典拠班にその図書が来たら、大事な「情報源」の次に確認するのが「著者紹介」。ここに詳しい情報が記載されていれば、典拠ファイルに追加で記録しています。

詳しい情報とは、たとえば肩書、勤務先、専門分野、生年などのこと。同定識別に役立つような情報をピックアップして追加しています。
大学院生だったのが大学の講師になり、准教授になり、教授になり...。研究者の人だと、こんな肩書の変遷を知ることもあります。
→参考「情報追加

また、「情報源」からは、原綴やヨミを確認します。
最初にファイルを作ったときは不明だった情報が、図書から判明したときは典拠ファイルを訂正しています。
→参考「資料昇格

内容細目の著者から作成した典拠ファイルは、のちのち情報が加わって、よりしっかりとした典拠ファイルに育つようなイメージがあります。

2023年2月 8日

きょうのデータ部☆(2/8)

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先日、友人に聞いて買ってみた「はちみつ紅茶」。
ほんのり甘くて身体もぽかぽか、喉にも良さそうです。
午後のひと息ついた時にいただきます。

2023年2月13日

休刊になった雑誌の代わりを探したい~TOOLiで探そう~

購読していた雑誌が残念ながら休刊になり、買い替えを検討されることがあるかと思います。同ジャンルの別雑誌をTOOLiの「雑誌検索」で探してみましょう。

ジャンル検索は「雑誌検索」画面の下半分(親書誌検索)を使います。ジャンルは2つの階層に分かれているので、こんな風に入れてみてください。


カメラの雑誌
階層1つめ「趣味」>階層2つめ「写真・カメラ」
→『CAPA』『デジタルカメラ・マガジン』など34誌がヒット

鉄道雑誌
階層1つめ「乗り物」>階層2つめ「鉄道」
→『旅と鉄道』『新幹線Explorer』など52誌がヒット

料理・グルメ誌
階層1つめ「家庭・生活誌」>階層2つめ「料理」
→『あまから手帖』『dancyu』など78誌がヒット


ジャンルが思いつかない場合は休刊になった雑誌名で検索してジャンルを確認し、そのジャンルで再検索してみましょう。

階層1つめ「趣味」の階層2つめには「園芸・ガーデニング」「ゲーム・アニメーション」「ペット」などがあり見ているだけでも楽しめます。心に刺さる一誌が見つかりますように。

2023年2月 6日

土に還る、とはいうけれど

本日は週刊新刊全点案内2294号の発行日です。
掲載件数は994件でした。今月の表紙はこちら。
 
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お湯が沸いたやかんです。
白湯、お茶、コーヒー、この時期、一日に何度かお湯を沸かします。
(この頃は、電磁だったり、電気ポットだったりもするのかもしれませんが・・・)
静かな台所で、ほんのしばし、ぼんやり沸騰を待ちながら
お湯が沸いてゆく音に耳を澄ませて、ガスの青い火を見ていると
モヤモヤがリセットされて、とても落ち着くのです。 (Juri)


*こんな本がありました*
ルポ日本の土葬 99.97%の遺体が火葬されるこの国の0.03%の世界

鈴木貫太郎(著)
宗教問題(2023.1)


多様性に満ちた「死後」の選択肢がある現代。
ふつうにお墓にはいってもいいし、海に散骨してもいい。遺灰・遺骨を加工して人工ダイヤやアクセサリーにするという話もよく聞きます。(すばらしいアイディアたち!)

しかし、それらにひっそりと共通しているのは火葬が前提ということ。
なんの不思議もなく「死んだら火葬よね」と思ってしまっていたのですが、実は日本にもわずかに0.03%の「土葬」文化があることを、この本のサブタイトルで初めて知りました。

大分県で起こったイスラム土葬墓地問題への丁寧な取材からはじまり、土葬とムスリム文化の関係性や、宗教差別・衛生面での課題までを細かに紐解いている本書。
そもそもの日本の土葬文化にまで触れられており、「そういえば昔はそのまま埋めてたんだよなぁ、土に還るっていう言葉もあるんだし...」と埋葬方法の変遷について思いを巡らせつつ。

多様性を認める現代社会の中で生きるとはなにか・死とはどういうものか......難しいテーマです。

食事スタイル~新設件名のお知らせ2023年1月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

1月は2件の件名を新設しました。そのうち1つが「膳」です。

お料理や食事を指したり、箸を数える時にも使ったりしますが、件名では食事や食器を乗せる「台」や「盤」に対して使用します。

...とここまで書いて、「ああ、あれね」とすぐわかる人ばかりではないのではという疑いがきざしてきました(うちの小中学生の子どもには、説明なしではたぶん通じません)。

料理を運ぶお盆とは違います。
ほら、時代劇の食事シーンとか、昔の宴会とか。座った各人の前に料理をのせた小さい机のようなものがありますよね。大皿から取り分けるのではなくて、めいめいの分の料理を小皿で並べてあります。あの台が膳です。
現在のテーブルと椅子で食事をする環境では出番がありません。

ただ、足のないタイプ(折敷)もあり、そうすると、お店で定食がトレーに載せて提供される場合、そのトレーも「膳」の仲間に入るのかもしれません。

食事という欠かすことができない場面で長きにわたって使われてきた道具。
足の形や塗りの色など、使う人(お客様用だったり使用人向けだったり)や用途(お祝い事か、日常か)に応じてさまざまなものが作られていたそうです。

2023年2月 3日

中学生がやって来た! Part2

1月16日(月)~1月18日(水)の3日間、文京区立茗台中学校2年生の生徒さんが職場体験に来てくれました。
TRCがどんなことをやっている会社なのか、データ部を中心に様々な部署で体験をしてもらいました。

TRCのお仕事について学び...
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目録や分類を勉強しながら本のプロフィールを作成してみたり...
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自分のお気に入りの本にフィルムコートをかけたり...

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他にも名刺交換をしたり、出版者様との打ち合わせに同席させていただいたりと少し緊張する場面もありながらも、楽しみながら体験していた様子でした 。

さらに今回は、実際の新刊図書の内容紹介文の作成にもチャレンジしてもらいました!
作成してもらった内容紹介文は『週刊新刊全点案内』の2293号に掲載されています。

普段から図書館を利用すると言っていた生徒さんたちですが、図書館を支える仕事を体験して、図書館や本をもっと身近に、もっと好きになってもらえていたら嬉しいです。

2023年2月 2日

リングに燦然と輝く

2月の雑記テーマは「意外な趣味」。
自分でもはまるとは思いもしなかった趣味の一つにプロレスがあります。それも日本でなくアメリカの。

元々家族がファンで、オンデマンドのスポーツ番組などが日常的に流れていましたが、しばらくは特に興味を持つこともなく...。むしろなんて危険な、とそっと距離を置いていました。
ところがある日、画面の中にどうにも目が離せない推しを一人見つけてしまったことから、怒涛の勢いで沼にはまっていきました。

一般的な格闘技と違い、勝敗とストーリーが事前に決まっていることがプロレスの特徴です。レスラーたちは日々トレーニングを重ね、それぞれ個性的なキャラクターとギミックを背負ってリングに立ちます。ベビーフェイス(ストーリー上の善人)とヒール(悪役)の抗争が主な目玉で、観客の反応を見て筋書きを直前に変更するなんてことも珍しくありません。技術やパフォーマンスで魅せる人、話術で人気を博す人、他にないキャラクターで注目を集める人など、タイプも実に様々です。推しが何度も負けている相手にムカムカしているうちにファンになってしまうこともよくあります。手のひらで転がされている感が否めませんが、もはやそれも楽しみの一つです。

役者顔負けの演技力と、怪我をしない/させないように細心の注意を払い、鍛え抜かれた肉体を駆使して華麗に大胆にリング上で輝く彼ら彼女らの姿を見に、いつか現地へ観戦に行く夢ができました。
アクション映画やサーカスなどがお好きな方にもおすすめです。

2023年2月 1日

きょうのデータ部☆(2/1)

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今年に入ってからあっという間に1ヶ月が経ち、
2月になりました。
まだまだ寒い日が続きそうです。
2Fのテラスもどこか寂しげ...。
あたたかくなったらテラスでランチも良いですね♪

2023年2月27日

本の本籍「出版者」の話~MARC MANIAX 目録2022⑨~

MARC MANIAX 目録2022も9回目になりました。
「MARCは本の戸籍のようなもの」などとも言いますが、この例えでいくと、名前が決まり(タイトルの話)、親もはっきりした(責任表示の話)ところまで進んできました。
そこで今回は、「いつどこで生まれたか」という問題を取り上げます。本の「本籍」である出版者・出版地、そして出版年月のお話です。

出版者は、実際の本ではたとえばこんな風に記載されています。

タイトル・ページ  TRC
奥付    株式会社図書館流通センター
背     TRC
表紙    TRC図書館流通センター

実はNCR2018の適用を開始する際、出版者の記録はとても悩んだ部分です。
NCR2018では、出版者の情報源は下記のように規定されています。

#2.5.3.1.2 情報源
出版者は、次の優先順位で情報源を選定する。
a) 本タイトルと同一の情報源
b) 資料自体の他の情報源
c) 資料外の情報源

この規定に従えば、本タイトルの優先情報源であるタイトル・ページが、出版者の優先情報源になるケースが多くなるのですが、日本の出版慣行では出版者に関する記載は奥付の表示がもっとも詳しく正確である場合が多いのです。そこでTRCでは、検討の結果、和書の出版表示については奥付を優先情報源とすることにしました。

それでは次に、奥付にズームしてみましょう。
目録として採用すべき出版者・出版地・出版年月は、どこにどんな形で記述されているでしょうか?

ST310026.jpg

NCR2018では出版表示の記録について、これまで蓄積された目録と整合性をとることを考慮して、別法(本則とは異なるがこの記録方法でもOK)、任意省略(記録を省略してもよい)、任意追加(追加してもよい)が数多く用意されていますので、さまざまな組み合わせの記録の仕方があり得ます。
以下ではTRC MARCで採用している規定をかいつまんでご紹介します。

★出版者
出版物の刊行に責任をもつ個人または団体のこと。「発行所」がこれにあたります。
目録に採用する際には、社名の前後に付されている法人組織を示す語などは省略します。(NCR2018 #2.5.3.2 記録の方法 任意省略2)

図書の表示:株式会社図書館流通センター → 図書館流通センター


★出版地
出版者が出版活動を行った住所もしくは所在地のこと。「発行所」の記述とセットで書かれている住所から、市町村名を採用します。

・「東京23区内」のとき...「東京」とのみ入力
東京

・「市」のとき...市名の「市」は省略(NCR2018 #2.5.1.2 記録の方法 任意省略1)。識別に必要でない場合は上位の地方自治体名は記録しない(NCR2018 #2.5.1.2 記録の方法 任意省略2)。
名古屋
武蔵野

・「町村」のとき......図書に表示がなくても町村名のうしろに都道府県を丸がっこに入れて記録 (NCR2018 #2.5.1.2 記録の方法 任意追加2)。
日の出町(東京都)
大潟村(秋田県)


★出版日付
基本的には「対象図書の属する版」が最初に刊行された出版年・月を入力します(NCR2018 #2.5.5.2 記録の方法 任意省略)。
図書には出版年が元号で書かれている場合でも、目録上は西暦に置き換えて記録します(NCR2018 #2.5.5.2 記録の方法)。

図書の表示:平成18年10月6日 → 2006.10

はっきり出版年と書いていないこともあります。そんな時は、発売年・著作権表示年などを採用。
また、そもそも奥付に表示がないこともあります。そんな時は、本文を参考にします。

c2007  (著作権表示年より。c...copyright 小さく「マルc」とあるものです)
2007あとがき (あとがきより。月は入力しません)

図書からはどうにもわからない時もあります。そんな時は出版者に問い合わせたり、やむを得ず諦めることもあります(昔の本は問い合わせも不可能なので)。

〔2007〕 (出版者に問い合わせた場合。月は入力せず、年のみ補記の形にします)
〔出版年不明〕


今回の内容を写真の例を使ってまとめますと、目録の記録は
出版者:図書館流通センター
出版地:東京
出版年:2006.10   となります。


おまけ情報 その1
奥付に書かれている年月日は、必ずしも発売日とは一致していません。かなり前倒しされているものも多いのです。データ部では毎年秋頃に「来年の日付の本がもう来たよ!」というのがニュースになったりもします。

おまけ情報 その2
出版者と関係が深いのがISBN。978-4-の後、次のハイフンまでの数字が、各出版者固有の数字です。ここを見れば、どこの出版者の本か一目瞭然。ISBNについて詳しくは「ISBN・数字の秘密」のブログ記事をどうぞ。

2023年2月20日

背ラベルのあの文字の話「図書記号」~MARC MANIAX 目録2022⑧~

MARC MANIAX 目録2022の第8回は、目録の記述からすこし逸れて、図書記号のお話です。
図書記号とは、簡単に言うと、図書館の背ラベルに分類記号と一緒に書いてあるカタカナのことです。

TRC MARCではMARC上に図書記号の指示を入力しており、基本は「一人目の著者のカナ読み」です。実際の図書には複数の人、いろいろな役割の人が表示されていますので、主たる著者は誰かを特定することが必要になります。日本目録規則1987年版の標目付則2「単一記入制目録のための標目選定表」を参考に判断しています。

〈おおまかな基本〉
  個人著者が2人まで→第1著者
  個人著者が3人以上→タイトル
  役割が「著」ではなく「編」「編集」「監修」など→人数にかかわらずタイトル
  

図書の主題も考慮する必要があります。
例えば、Aさんの絵とBさんの文を組みあわせた本は、分類を絵本726.6とするか小説913.6とするかで、AさんBさんどちらから図書記号を採用するかが変わります。

前回話題にした著者を補記するケース。〔紫式部著〕 瀬戸内寂聴訳 の場合は、瀬戸内さんの「セ」ではなく、「源氏物語」の著者である紫式部の「ム」になります。


また、同じ著者の図書はなるべく集めて並べたい。しかしながら、とくに西洋人著者の表記は、図書によって違うことがよくあります。図書にある著者表記がいろいろ...同じ著者なのに読み方がいろいろ...で図書記号もそれにつられていろいろ...になってはいけないので、図書記号を著者から採用する場合は、統一標目のカタカナ形から採用します。
(→参考:「MARC MANIAX 典拠」の記事「統一標目はこうして決まる」

ハイジ(竹山道雄訳)  ヨハンナ・スピリ作
ハイジ(上田真而子訳) ヨハンナ・シュピリ作

統一標目
Spyri,Johanna
スピリ,ヨハンナ

→統一標目のカタカナ形「スピリ,ヨハンナ」から、図書記号は「ス」に統一

なぜ「シュピリ」でも「ス」なのか? 図書に書いてある著者名に合わせると、同じ著者の図書が「ス」と「シ」に分かれて配架されてしまうためです。

本日の雑談 8 小林よしのり著   ...著者よりコ 
本日の雑談 9 弘兼憲史 西部邁著 ...著者よりヒ?

→同じタイトルの全集なら書架にまとめて並べたいので、図書記号を揃えなくてはなりません。
すべて「ホ」になるように、タイトルから図書記号を採用します。


「日本十進分類法」新訂10版の使用法4.1『図書記号』には「図書記号の付与法(図書記号法)には,受入順,出版年順,著者記号法などがある」とあります。何が何でも著者の頭文字と決まっているわけではなく、それぞれの図書館で、蔵書数や蔵書構成、配架方針を考慮して独自の規則を持っています。
TRCでは上記でご説明した図書記号以外にもMARCの様々な入力項目をもとに、図書館それぞれのご希望に応じた図書記号を編集して、請求記号として付与する仕組みを作っています。

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