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背ラベルのあの文字の話「図書記号」~MARC MANIAX 目録2022⑧~

MARC MANIAX 目録2022の第8回は、目録の記述からすこし逸れて、図書記号のお話です。
図書記号とは、簡単に言うと、図書館の背ラベルに分類記号と一緒に書いてあるカタカナのことです。

TRC MARCではMARC上に図書記号の指示を入力しており、基本は「一人目の著者のカナ読み」です。実際の図書には複数の人、いろいろな役割の人が表示されていますので、主たる著者は誰かを特定することが必要になります。日本目録規則1987年版の標目付則2「単一記入制目録のための標目選定表」を参考に判断しています。

〈おおまかな基本〉
  個人著者が2人まで→第1著者
  個人著者が3人以上→タイトル
  役割が「著」ではなく「編」「編集」「監修」など→人数にかかわらずタイトル
  

図書の主題も考慮する必要があります。
例えば、Aさんの絵とBさんの文を組みあわせた本は、分類を絵本726.6とするか小説913.6とするかで、AさんBさんどちらから図書記号を採用するかが変わります。

前回話題にした著者を補記するケース。〔紫式部著〕 瀬戸内寂聴訳 の場合は、瀬戸内さんの「セ」ではなく、「源氏物語」の著者である紫式部の「ム」になります。


また、同じ著者の図書はなるべく集めて並べたい。しかしながら、とくに西洋人著者の表記は、図書によって違うことがよくあります。図書にある著者表記がいろいろ...同じ著者なのに読み方がいろいろ...で図書記号もそれにつられていろいろ...になってはいけないので、図書記号を著者から採用する場合は、統一標目のカタカナ形から採用します。
(→参考:「MARC MANIAX 典拠」の記事「統一標目はこうして決まる」

ハイジ(竹山道雄訳)  ヨハンナ・スピリ作
ハイジ(上田真而子訳) ヨハンナ・シュピリ作

統一標目
Spyri,Johanna
スピリ,ヨハンナ

→統一標目のカタカナ形「スピリ,ヨハンナ」から、図書記号は「ス」に統一

なぜ「シュピリ」でも「ス」なのか? 図書に書いてある著者名に合わせると、同じ著者の図書が「ス」と「シ」に分かれて配架されてしまうためです。

本日の雑談 8 小林よしのり著   ...著者よりコ 
本日の雑談 9 弘兼憲史 西部邁著 ...著者よりヒ?

→同じタイトルの全集なら書架にまとめて並べたいので、図書記号を揃えなくてはなりません。
すべて「ホ」になるように、タイトルから図書記号を採用します。


「日本十進分類法」新訂10版の使用法4.1『図書記号』には「図書記号の付与法(図書記号法)には,受入順,出版年順,著者記号法などがある」とあります。何が何でも著者の頭文字と決まっているわけではなく、それぞれの図書館で、蔵書数や蔵書構成、配架方針を考慮して独自の規則を持っています。
TRCでは上記でご説明した図書記号以外にもMARCの様々な入力項目をもとに、図書館それぞれのご希望に応じた図書記号を編集して、請求記号として付与する仕組みを作っています。

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