~典拠ファイル・4~
先週、人名典拠ファイル大解剖のエントリーの中で、典拠ファイルの中に初出の図書のタイトルとそのMARC No.が記録されていると書きました。
今回はその謎に関してです。
TRC MARCが準拠している「日本目録規則1987年版 改訂3版」(NCR)にはこうあります。
「23.2.1.0 人名は、原則として最初に目録記入を作成するとき、その資料に表示されている形を統一標目とする」
「その資料」というのは、目録(MARC)を作成しようとする資料、つまり図書のこと。
初めてMARCを作った図書に書かれている形を統一標目にするのですよ、とNCRでは言っているわけです。TRCでもこの方法を踏襲しています。
(著名な人の場合はちょっと違います。これはのちほど説明します)
初めてMARCを作った図書に磯野フネとあった場合。
統一標目は
漢字形:磯野/フネ
カタカナ形:イソノ,フネ
となります。
例えば佐佐木信綱と佐々木信綱のように、書き方の違いで、どちらが正しいとかいったものではない場合、初出の図書が基準となります。初出の図書にどう書かれているか、によって変わってくるのです。
そこで、どれを根拠として典拠ファイルを作成したかがわかるよう、図書のタイトルとMARC No.を記録しているのです。
NCRには続いて次のようにあります。
「23.2.1.1 著名な、あるいは著作の多い著者については、統一標目はつぎの優先順位による。」
ア)参考資料等において多く用いられている形
イ)多くの著作で一致している形
歴史上の人物であるとか、資料に掲載されているような人物なら、よく知られているその形を統一標目にした方が便利。TRCでは、図書に書かれた形より上位におく資料を決めており、それらを参照しながら統一標目を決定しています。
図書にある形と同じ資料があれば、その資料を根拠に採用。出典をその資料にします。
例
図書にある形:蜀山人
参考資料にある形:大田南畝
「国立国会図書館著者名典拠録」
「国書人名辞典」(岩波書店)
「日本人名大事典」(平凡社)
「日本古典文学大辞典」(岩波書店)
「コンサイス日本人名事典」(三省堂)
(以上の資料大田南畝であり)
統一標目(11000018648-0000)
《漢字形》大田/南畝
《カタカナ形》オオタ,ナンポ
《出典》国立国会図書館
記述形(11000018648-0004)
《漢字形》蜀山人
《カタカナ形》ショクサンジン
典拠の宝、参考資料。ちょい地味ですが。
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統一標目が決まったところで、MARC MANIAXは典拠から目録へバトンタッチします。
典拠の解説はしばしお休み。
次週、8月3日からは目録に関するマニアック解説が始まりますよ!
余談ですが、今回の用例で、なぜ磯野フネ(@サザエさん)を使ったかというと、先日フネさん役の俳優が出ている舞台を観に行ったからなのです。フネさんの声を生で聞いて感激。
とてもあたたかみのある声でした。