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2013年4月 アーカイブ

2013年4月30日

カラフルつながり

本日は「週刊新刊全点案内」1814号の発行日です。
掲載件数は1736件でした。

*こんな本がありました

色わけいきものずかん

アンドレ・ボス(絵)
学研教育出版(2013.5)


ちょっと珍しいつくりのいきもの図鑑です。
なにが珍しいのかというと、いきものを「あか、みどり、あお、きいろ、ちゃいろ、ももいろ、あかちゃいろ、しろ、はいいろ、くろ、くろとしろ、いろいろないろ」の12の色にわけて紹介しているのです。
同じ種類とか、同じ場所に住んでいるとか、そういったわけ方の図鑑は見たことがありますが、色でわけるというのははじめて見ました。
色の鮮やかさもすてきですが、ふわふわとか、もじゃもじゃとか、ぬらぬらとか、いきものの質感まで伝わってきそうなイラストにすっかり目を奪われてしまいました。


カラフルつながりでもう1冊。
果物のごはん、果物のおかず

フルタヨウコ(著)
誠文堂新光社(2013.4)

果物料理のレシピ本です。果物を使った料理は、実はあんまり得意ではありません。こちらのレシピを見ても、どんな味になるのかちょっと想像がつかない...。
が、さすがに果物。料理の色はカラフルで、眺めるのはたのしそう。眺めるのに飽きたら、思い切って作ってみますか!?

2013年4月26日

キャンプはいかが?

明日からゴールデンウィーク開始ですね。
全国的に晴天が多いと予想されているようです。。
今年はお天気に振り回されて、花見など外でのイベントを楽しめなかったという方も、この連休が挽回のチャンス?
いっそキャンプなんてどうでしょう。

キャンプの本は毎年コンスタントに出てますが、今年は出だしが好調。
昨年を上回るペースで刊行されてます。

小野田さんに学ぶ親子で楽しむキャンプ術
サブタイトルの「ジャングルで30年を生き抜いた知恵」でハッとする人も多いのでは。
小野田さんとは、あの小野田寛郎氏でした。いまは青少年育成野外活動塾を主催されているようです。

芸能人も出してます。親子で過ごすキャンプ...楽しそうです。
つるの剛士の簡単!快適!アウトドアの達人

初心者も臆せずキャンプ。
サブタイトルの「日帰りからペット連れ、テント泊まで、ビギナーでも安心!」にあ、日帰りという手もあったかと思いました。
自然と親しむはじめてキャンプ

こちらは週刊新刊全点案内1814号掲載予定。
キャンプのコツをイラストと漫画で紹介しています。サブタイトル「ひとりでも、女子でも、はじめてでも。」
キャンプ、できちゃいました。

女子もキャンプということで過去はこんな本も出てました。
ガールズキャンプのはじめ方~メルヘンキャンパー兎村彩野の「森あそび」BOOK~
メルヘン×キャンプは思いつかなかった...。

やはり楽しみは外ごはんですよね!
豪快バーベキューレシピ
山ごはんの基本とレシピ
失敗しない!アウトドア料理テクニック 改訂新版(1815号掲載予定)

*次回の更新は4月30日です

2013年4月24日

「同」に注意!(和装本の責任表示(2))~ASで作成するデータについて~

こんにちは。データ部AS・伊藤です。主に和装本を担当しています。

前回
の最後に、名前そのものが「~著」「~撰」というひとの著作をあげてみましたが、実はもっとよく名前に使われる字で、しかもややこしいことになる文字があります。「同」という文字です。

「同」なんて役割表示がある? いえ、そういうものはないのですが、「同撰」「同輯」「同校」というように、役割表示の前につくかたちでよく登場します(「仝~」とも書きます)。どういう意味かというと、「一緒に~した」という意味です。

現代書で言えば、「共著」といった場合と同じような意味ですが、実はもっと厳密な使われ方をします。「同~」とあったら、それはここからここまでは誰が、ここからここまでは誰がという具合に分担が明確では「ない」場合に使われます。分担が明確な場合は、「同」をつけないか、あるいは「合~」と書きます。複数巻から成る著作で、校訂者がたとえば三人いた場合、どの巻も三人で校訂したなら「甲、乙、丙同校」となりますが、巻ごとに担当を分けているならば、「甲、乙、丙校」となるわけです。
ですから、現物に「同~」とあったら、著作全体にかかわるのであれば、必ずそのように転記しなければなりません。「同」の字を省いてしまうと、そのひとが著作に果たしている役割を正確に示せなくなることになってしまいます(ただし逆に、現物には「同~」とついてなくても、実際には分担なしに関与しているということはしばしばあります)。

なお、「同~」とあるのは基本的に複数のひとが一緒に何々したということですが、一人に対して「同」が使われている場合も例外的にあります。たとえば、『農政全書』という本では「徐光啓纂輯 張國維鑒定 方岳貢同鑒」という責任表示になっています。この場合は、「鑒定(かんてい)」については「張國維」のほうがメインで、「方岳貢」のほうは、「同(とも)に鑒(かん)す」ということで、「一緒に」ということではあるにしろ、サブ的に関与した、ということを示しているように思われます。

ともあれ、譚嗣同さんやら張堯同さんやら萬斯同さんやらいろいろいますので、名前の一部なのか役割表示の一部なのか、間違えないように注意が必要です。

2013年4月23日

空想の世界へ

本日は「週刊新刊全点案内」1813号の発行日です。
掲載件数は1286件でした。

*こんな本がありました*

空想の建築 −ピラネージから野又穫へ−展
町田市立国際版画美術館・編
エクスナレッジ

こちらは展覧会のカタログのようです。
版画ということで微に入り細に入り描かれた美しい白黒の世界に魅了されます。
美術展などのカタログはなかなか家にはたくさん置いておけませんが、図書館に所蔵があるとついつい眺めてしまいます。

ところで展覧会カタログにはMARCに会場や会期を入力しています。(会期は注記に入力)
見てみたところ6月16日まで上記の美術館で開催されているようで覗いてみたくなりました。

建築ではないですが空想の建物つながりで風景画家のユベール・ロベールの描く遺跡が好きです。
こちらも去年美術展があったようですね。

2013年4月25日

典拠 異名同人(ダイジェスト第23回)

◆(データ部の妖精からの)典拠クイズ◆
Q:図書によって表記が異なる個人名はどうしますか?
(答えは文中で発表)

こんにちは!ブログダイジェストも、もう23回目。
ワタクシの名前はなんでしたでしょうか。もう覚えていただけましたよね?
はい、どうぞ!
databuko3.gif
ぶー子、データブー子、データ部ーこ、でーた・ぶーこ...。

惜しい!正確には「データぶー子」デスよ!
え?表記が少し違うだけで、合ってるじゃないかって?
確かにまあいいか!といいたいところですが、これが実際ワタクシが本を出したときの著者名表記のバリエーションだったらどうでしょう。

というわけで、今日は、同じ名前なのにちがう書き方をしてきた人の例です。
同じ名前なのにちがう書き方とは?

有名な例ですと、よしもとばななさん。2002年吉本ばななから、よしもとばななへペンネームを変更しました。
同じように「吉本ばなな」も、「よしもとばなな」もちがわないじゃないか、と人間なら思ってくれそうですが、コンピュータはもうちょっと融通が利きません。
漢字がちがうから、そのままだと「吉本ばなな」と「よしもとばなな」を同じ名前という扱いにしてくれないのです。
だから人の手で、すでにある「吉本ばなな」ファイル(統一標目ファイル)に「よしもとばなな」ファイルをつなげる作業をします。

11000108251-0000 吉本/ばなな  ヨシモト,バナナ
11000108251-0001 よしもと/ばなな ヨシモト,バナナ(注)

(注)典拠ファイル上の設定

この「-0001 よしもと/ばなな」を記述形といいます。
図書に記述された形、という意味。
統一標目とは異なる漢字形で書かれているものです。

MARCには、「記述形」のIDと漢字・カナとともに、「統一形」のIDと漢字・カナも付与されます。
このことで、典拠ファイルを通して統一形からMARC検索をすることにより、全MARCを検索することが可能になります。
つまり、「吉本ばなな」「よしもとばなな」の表記にかかわらず、よしもとばななさんのMARC全てが検索できるのです。

もうおわかりですね。
冒頭の答えは
A・統一標目のもとにまとめる!
(同じ人物だとわかるように、1人の人物に対し1つの「統一形」を決め、図書にあらわれるその他の表記形を「記述形」とする)

でした。

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こういった記述形の例は、実はけっこうあるのです。
斎藤さんの斎の字が次は齋(旧字)で書かれたとか、大人向けの本は漢字、子ども向けの本はひらがなと書き分けてるとか。
ちがう形で出てきても、同じ人と見破れるかどうか。長年の経験と勘が大切なのです。

(2007年3月5日掲載の記事より)

2013年4月19日

典拠ファイルとは~ダイジェスト番外編~

昨日はデータぶー子が「人名典拠ファイル」についてお話させていただきました。

「典拠ファイル」の概念って?人名以外にも典拠ファイルってあるの?

このような疑問を持たれた方のために、
今日は「典拠ファイル」自体について簡単にご説明したいと思います。

典拠ファイルとは、
一言でいえば「統一標目を維持管理するためのファイル」です。

「日本目録規則」では以下のように解説しています。
典拠ファイル:
統一標目の形と読み,典拠とした参考資料名,採用しなかった名称からの参照等を記録したファイルで,統一標目を維持管理するためのもの。著者名典拠ファイル,件名典拠ファイル等がある。「1987年版改訂第3版」

TRC MARC(内容細目ファイル含む)は書誌データとこの典拠ファイルを、典拠IDでリンクさせています。
典拠ファイルはコンピュータで管理されており、
典拠ファイルを経由することで、より広範囲で高精度な検索が可能になります。

下記が現在、TRCで維持管理されている典拠ファイルです。

人名(個人名) ファイル
団体名 ファイル
件名 ファイル
学習件名 ファイル
出版者 ファイル
全集 ファイル
シリーズ ファイル

それぞれの典拠ファイルの説明など、詳しくは弊社HPでもご紹介しています。
ぜひそちらもご覧ください。

*来週からはまたデータぶー子のブログダイジェスト連載(人名典拠編)をお送りする予定です。
お楽しみに!

2013年4月22日

典拠 同名異人(ダイジェスト第22回)

◆データぶー子の典拠クイズ◆
Q:漢字・カナともに同姓同名の人名が複数存在する場合はどうしますか?
(答えは文中で発表)

こんにちは!
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パソコンで自分の名前を検索してみたことってありますか?
同じ名前の人...結構いるものです。
でもワタクシ、「データぶー子」と同じ名前を持つ者はいなかったケド...。

ところでこういった、「同じ名前で違う人」。
典拠の場合はどうなのでしょう。

前回、典拠ファイルの統一標目は漢字形とヨミガナ形とID番号で成り立っているとお話しました。
「同じ漢字、同じヨミガナの著者が出てきたらどうするか」
これは、典拠ファイルの件数が多くなると、当然発生する問題です。

この場合、2番目に出てきた著者の見出しにちょっとした工夫をします。
1番目の人と違う、というのがすぐにわかるように、名前のうしろに言葉を補うのです。
それは、たとえばその人の生まれた年であったり、専門分野だったりします。(注)

実際の例。

小森/陽一        コモリ,ヨウイチ
小森/陽一(漫画原作) コモリ,ヨウイチ

上の小森さんは東大の教授で日本文学が専門。下の小森さんは人気コミック「海猿」の原作者。これくらいジャンルが違えば、日々鍛えられている典拠のメンバーのこと、同名異人を混同することはまずありません。
しかし、図書に著者紹介がなかったり、書いているジャンルが近かったりすると、とても迷います。
こういった場合、前に書いた本の分類は何か、図書以外の参考資料に経歴はでていないか、いろんな角度から検討します。
それでもわからなかったときは、最後の手段。出版社に電話して、「この本を書かれた○○さんは、以前こういった本を別の出版社から出したことがありますでしょうか?」といったように確認をとったりしています。

注:個人情報保護の観点から、生まれた年は、その図書か参考資料等に公開されているものに限定しています。出版社に問い合わせしたときは、公開の可否を確認しています。
生没年あるいは職業、専門分野、世系などで区別する、というのは「日本目録規則」の規定によります。


というわけで冒頭のクイズの答えは
A:判別のため、生没年・職業・専門分野等で区別する!
でした。

databuko8.gif

このように区別すると何が便利なのでしょうか?

それは検索する人が望む方の小森/陽一を一発で探し出せるということです。
例えば、TOOLiのMARC検索画面でただ単に小森/陽一を検索KEYとした場合、「いま、憲法の魂を選びとる」「ザ・ラストメッセージ海猿」「漱石論」「天神」...などなど、大学教授と漫画原作者のMARCがまとめて出てきます。
しかし典拠検索画面上で小森/陽一で検索すれば、この二人の典拠ファイルがまず表示されるため、検索した人は、自分の探したい方の小森/陽一を選択すると、その人の著作だけを切り分けて見ることができます。
逆に言うと、
典拠ファイルがなければ同姓同名の人名を区別して検索することはできないのです。

(2007年2月26日/ 2007年12月28日掲載の記事より)

2013年4月17日

和装本の責任表示(1)~ASで作成するデータについて~

こんにちは。データ部AS・伊藤です。主に和装本を担当しています。

現代書と比較して、和漢古書の特徴としてあげられることの一つに、役割表示の表記の多様さがあります。たとえば、編纂や翻訳ではなく著作であることを示す役割表示として、「著」「作」「撰」「述」「記」「學」「傳」「稿」「解」「録」「誌」「造」等々があげられます。

編纂や翻訳ではなく著作である場合、既存の漢籍目録では、現物にどう書いてあろうとすべて「撰」に統一する、という方針になっていることもしばしばです。あまりにも表記が多様なので、そのままだと混乱するということもあるでしょうが、その役割表示を用いることに、著者の意図やこだわりが感じられることもありますので、できるだけ転記したほうがよいという見解もありうると思います。孔子も「述べて作らず」(『論語』述而第七)と曰(のたま)って区別しているのに、どちらも「撰」にしてしまうのはやはり宜しくないかと。

ところでこの「撰」ですが、つねに「著」と同じ意味の役割と考えては具合の悪いことがあります。「新撰組」「新選組」どちらの表記もあるように、「撰」は「選」と同義で「多数のなかから選ぶ」という場合のこともあります。「古今和歌集」や「新古今和歌集」など、いわゆる二十一代集のことを「勅撰集」といいますが、これは天皇・上皇の命によって選んだ歌集で、天皇・上皇個人の歌集ではありません。「~撰」とあっても、その個人の著作ではなく、そのひとが選んだものであることもあるわけです。
なお、「撰集」「選集」という役割表示もあります。その人が選んで集めた、ということですね。これを、現代書にあるケースと混同して、タイトル関連情報としてしまったりしてはいけません。

「撰」について言えば、「撰次」などという役割表示もあります。『傷寒論』という著名な医学書を見てみると、「漢 張仲景述 晋 王叔和撰次」となっています。これは張仲景という人が述べたものについて、後の時代の王叔和というひとが順序(次第)を選択決定した、ということで、意味としてはむしろ「編纂」に近いと言えそうです。

ちなみに、ごくまれにですが、ちょっと注意が必要なケースがあります。『四時園詩集』『歳華紀麗譜』『玉几山房聽雨録』『十七帖述』といったタイトルのものなのですが、どういうことかと言いますと‥‥

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2013年4月18日

人名典拠ファイルとは(ダイジェスト第21回)

こんにちは、データぶー子です。
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読書好きのぶー子はよくお目当ての著者がどんな本を書いてきたか知りたいなと思うことがあります。
でも、その著者名で検索しようとして...もし同じ名前の人がたくさんいた場合はどうなっちゃうの?

たとえば、吉田茂さんの本を検索しようとして、バカヤロー解散で有名な元首相と、歴史作家と、クリエーティブディレクターと、歯学が専門の大学教授の本が一度に表示されてしまい困った、ということはないですか?

ヨミガナでしか検索できない場合はもっと大変です。
吉田繁さんも吉田滋さんもみなヨシダシゲル。
膨大な件数のMARCが検索されてしまいます。

いや、ワタクシが欲しい情報は、この「ヨシダシゲル」さんの本なのよ!

そういう時、図書館にはとても有効なシステムがあるのです。
本の著者を管理するシステム。それは「人名典拠ファイル」なるものによって行われています。
これはTRC MARCとともにTRCの重要な商品のひとつです。

というわけで、今日からしばらく「人名典拠」についてご案内していきます!
...ジンメイ・テンキョ。人の名前の典拠ということか?結局どういうものなの?...
ここで、いろいろと疑問が浮かんだ方。
その気持ちよーくわかります。
普段の生活で耳にすることのない専門用語ですし、「典拠」とかなんだか難しそうな響きですから、最初聞いたときはぶー子も「???」でした。
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人名典拠ファイルとは、簡単に言ってしまうと、
「その図書を書いた人」の名前を見出しにしたファイルです。
MARCと同様、現在はコンピュータ上で使います。

...これだけではイメージしづらいですね。
では、2007年に芥川賞を受賞した青山七恵さんを例にして。
青山七恵さんの初めての本は「窓の灯」でした。
この青山七恵さんが「初めて本を書いた人」だと確認できると、典拠の部署では、まずその名前を見出しにしたファイルを作ります。
そして、「窓の灯」のMARCをファイルの中に収めます。

次に「ひとり日和」の本が出て、MARCができたら、それをまた「青山七恵」ファイルの中に入れます。
つまり、青山七恵さんの著作はすべて「青山七恵」ファイルに収まるというしくみ。
これで、「青山七恵」の著作の本を検索することが可能になります。

ファイルでいう見出しのことを、正式には「統一標目」と呼んでいます。
統一標目は名前の漢字の形だけではなく、ヨミガナの形、そして15桁の固有のID番号で成り立っています。

11000455164‐0000 青山/七恵(アオヤマ,ナナエ)
(ハイフンは便宜的に入れています)

初めて本を書いた人が出るたびに、このファイルは作られます。
その件数がどれだけあるかはTRCのHPを参照してください。
当ブログの目玉企画「日刊新刊全点案内」のコーナーにも、毎日の新規の統一標目件数が「新規著者数」として表示されています。

大変なのは、ほんとに同じ人かどうか見分けること、
そして、本を書くのが日本人だけではないこと。
典拠の部署では毎日が格闘なのです。

(おまけ)
ちなみに冒頭の吉田茂さん、2013年4月現在TRCの人名典拠ファイル上では、同姓同名の人が17人もいます☆

(2007年2月5日/2月19日掲載の記事より)

2013年4月16日

読書家の面影

本日は「週刊新刊全点案内」1812号の発行日です。
掲載件数は1486件でした。

*こんな本がありました*

分類件名を付与していたら、魅力的なタイトルの本に出くわしました。

ひたすら面白い小説が読みたくて  文庫解説コレクション

児玉 清著
中央公論新社(2013.4)

著者を確かめたところ2011年5月16日(って1カ月後が三回忌なのですね...)に惜しくも亡くなられた、俳優・司会者の児玉清さんでした。
本を手に、しばし某クイズ番組でのお姿を思い出し、その後「この本で思い出すべきは某書評番組で進行役をされているお姿だった!」と後悔しながら分類件名を付与させていただきました。
一読書家として、今後も"ひたすら面白い小説"を読み続けていきたい、と思わせてくれる本でした。

2013年4月15日

学習件名について(ダイジェスト第20回)

今日は、先日ご紹介した「件名」とは一味違う「学習件名」について、データぶー子がお伝えします。

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「学習件名」とは、子どもたちが学習課題や自分の興味で何か調べようとするとき、調べようとすることがら(件名)が「どの本」の「どこに」書かれているかをあらわした、いわば「子ども用の件名」です。子ども向けのノンフィクションを対象に付与しています。

たとえば自由研究で、「台風」について調べたいとき、タイトルで「台風」を含むものを検索すると、「台風」を主題とする本以外の小説なども拾ってしまい、どれを読めばいいのか子どもには判断できません。
件名標目の場合、図書内に「台風」に関する記述があったとしても、それが本全体の主題でない限り件名標目として採用していません。したがって、件名「台風」で検索したのに、ほんの数冊しか見つけられなかった...ということもありえます。

しかし学習件名は、「1p以上の記述があれば採用」そして「最大99件まで付与できる」というのが大きな特長です。したがって、「天気のしくみQ&A」のように、タイトルにその語を含んでいなかったり、図書中の数ページだけしか記載されていないような本からでも、「台風」に関する情報を探し出すことができるのです。

何をテーマとして調べ学習や自由研究を進めるかさえ決まっていれば、さまざまな本からその情報を探し出せるというスグレモノ。それが学習件名なのです。

学習件名には、その言葉が出現した「ページ付け」も付与しています。つまり何ページから何ページまでその記述があるか、一目瞭然なのです。
図書館で「どちらの本を借りようか...」と迷ったときには、ページ数の多寡を参考にしてみてくださいね。

2013年4月12日

内容紹介について(ダイジェスト第19回)

こんにちは、データぶー子です。
今回はみなさんにもおなじみ、「内容紹介」についてです。

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内容紹介班は分類/件名部署に属していますが、作業上はほぼ独立。
データ部に実際に見学にこられるお客様に、非常に強い興味をもっていただいているグループです。

内容紹介班は文字通り、内容紹介文を専門に作成しているところ。
105字以内で本の要約、あらすじや特徴等を紹介した、「内容紹介」項目は、TRC MARCの目録情報の一部として提供されています。

理工系の技術書、医学書、美術書...それはそれはひとすじなわではいかない、いろんな分野の本があります。
でも、300冊近くの本が毎日やってくるため、1冊1冊熟読している時間はありません。

効率よく要点をさがしだすために、本を手にとったら、帯やカヴァーそで、表紙、目次、序文、あとがき、広告などを重点的に目を通していき、テーマを表している文章を拾い出して、105字以内にまとめていきます。

一冊にかけられる時間が限られている中で、手際よく紹介文を作成することはなかなか大変。熟練の技あってこそ、なのです。

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一方、児童用内容紹介とは、従来の内容紹介とは別に、児童(小学生・中学生)が読むことを想定して、わかりやすくした内容紹介のことです。絵本を含む児童書を対象に入力しています。

紹介文中の漢字はなるべくその図書の対象年齢にあわせた漢字にし、対象よりも難しい漢字を使用している場合は、ルビをふったり、ひらがなにしたり、読みやすくなるように工夫しています。

例えば、「ジュン先生がやってきた!」という児童書の場合、従来の内容紹介ですと、

「元気もりもり、楽しいこともりもり、やる気もりもりの3年1組! ぶつかりあいながら育つ子どもたちを、パワー全開のジュン先生の活躍とともに描く。」

こんな感じ。それが児童用内容紹介では、

「3年生になったぼくは、いたずらやけんかばかりしているハヤトとまたおんなじ組になって、ちょっとガックリ。だけど、桜(さくら)ふぶきとともにやってきた、新しい担任(たんにん)の風森(かざもり)ジュン先生はカッコイー!ハヤトがいじけているのが心配だけど...。」

どうでしょう? 児童用内容紹介の方が親しみやすく、わかりやすい文章になっていませんか?
通常の内容紹介は選書のための情報として、児童用内容紹介は子どもたち自身が本を選ぶための手がかりとして、お役に立つことと思います。

次回は、学習件名についてご紹介します。

2013年4月10日

きょうのデータ部☆(4/10)

近所に貼られていた「4/6(土)・7(日)桜まつり」の広告に、デカデカと「中止」と書かれていました。
今年の桜には、本当にみんな振り回されたんだなあ...。

データ部はまだ、春の新刊ラッシュに巻き込まれておりますが、気持ちだけは春めいていたい!
ということで、先週に引き続き、春らしい写真をお届けします。

P3230161.jpg

今回はソメイヨシノ。
うっすらピンクが綺麗ですね~。
陽光もステキですが、ソメイヨシノ特有の儚さを感じます。

こちらの写真の提供も、他部署のHさんでした!

2013年4月 9日

標本の世界へようこそ

本日は「週刊新刊全点案内」1811号の発行日です。
掲載件数は1635件でした。


「表紙のきょ、巨大ネズミ?と目があってしまった!」と目録作業中の私をドキドキさせてくれたこちらの一冊。

標本の本

村松美賀子(企画・構成・文)伊藤存(構成・絵と文)
青幻舎(2013.3)

標本といえば「学校の理科室にあったな、でも実はちゃんと見たことないな。」という程度の認識の私。
が、ページをめくるほどに、標本ワールドも面白そうという気持ちに。
いわゆる学問的なテキストや、雑学的なおもしろ生物紹介の本とも少し違う切り口で、京都大学総合博物館のコレクションのうち自然史に関わる部分が紹介されています。

しかし、
「この標本群の目録が見てみたい。どう整理しているのかしら。」
「このラベルの"Date大正?年12月"ってどういうことですか!困るわー。それとも生物学的には年より採取のシーズンが大事ということなの?」
などと思ってしまうのは完全に目録づくりの職業病です・・・。

それにしても1811号にはなかなかに表紙にインパクトのある生きものの本が揃っておりました。
こんなものや
カエル 嫌われ者たちのララバイ

松橋利光(写真・文)
グラフィック社(2013.4)


こんなものも
ふしぎな深海魚図鑑 太平洋をわたってみよう

北村雄一(絵と文)
汐文社(2013.4)

ふしぎな深海魚図鑑 世界でいちばん深い海
北村雄一(絵と文)
汐文社(2013.4)


2013年4月11日

件名について(ダイジェスト第18回)

こんにちは、データぶー子です。
「分類」に続いて、今日お届けするのは「件名」についてのお話です。

databuko4.gif


まず「件名標目」とは何でしょう。日本目録規則1987年版改訂3版によると「資料の主題または形式を名辞で表す件名を、目録記入の標目としたもの」であり、"ことば"で主題や形式を表現したもの、というわけです。

分類記号は、無機的な数字の羅列です。主題検索の道具としては、使う側にある程度の知識が必要になると思われます。これに対し、ことばで主題をあらわす件名は、しろうとでも直感的に手っ取り早く目的の本に達することができると考えられます。「594.3」よりは「編物」の方が親しみやすいでしょう?

また件名の場合、複数付与することで、主題をより柔軟に表現することができます。原則1つしか与えない分類記号とこの点で大きく異なります。とくにTRCでは、主題検索の充実を図るために、1冊の図書に対し最大9個まで与えられるようにしています。

【例】
マネジメント入門―技術者・研究者もよく分かる
分類: 336   件名: 経営管理,技術者

頭のいい人がしているスピード仕事術―よくわからない仕事が丸ごと身につくサクサク片づく
分類: 336   件名: 会社実務,能率

組織の危機管理入門―リスクにどう立ち向えばいいのか
分類: 336   件名: 危機管理(経営)


分類記号は同じですが、与えられた件名が違います。タイトルなどから何となく内容が違いそう、とうかがえますが、明確に主題がわかるという点でやはり件名があった方がよいでしょう。また2つめの例など、主題は実務全般ですが、とくに「スピードを上げて仕事する=能率をあげる」ことが書かれているので、「能率」も付与されています。


そして、統制語であるということ。


 【例】
さすが!と言わせるmixi徹底攻略術
分類: 547.4833<547.48>  件名: ソーシャルネットワーキングサービス

意外と知られていないSNSの謎を解く
分類: 547.4833<547.48>  件名: ソーシャルネットワーキングサービス

Web3.0への会議
分類: 547.4833<547.48>  件名: ソーシャルネットワーキングサービス


タイトルなどに含まれていなくても、件名「ソーシャルネットワーキングサービス」が付された本、として検索すれば、上のようにきちんとヒットします。これなどインターネットの検索エンジンと比べてみればその威力がよくわかるのではないでしょうか。

毎日MARCをつくるTRCでは、頻繁に新しい標目の採用を考えています。NDLSHやNDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)にあたってみて、適当なものがあればそこから、なければ独自のものをつくって、採用します。
TRCの件名は少しずつ変わっています。毎月初めの週刊新刊全点案内に「新設件名標目のお知らせ」として掲載していますので、参照してみてください。
データ部ログにも、毎月第1火曜日に新設件名の記事を掲載していますので、そちらも併せてご覧下さいね。

次回は、内容紹介について取り上げます。

2013年4月 4日

背ラベルの文字のこと(ダイジェスト第15回)

こんにちは。データぶー子です。
今日もデータ部ログのまとめ企画をお届けします!
今回は図書記号についてです。図書館にある本の背に貼ってある、紙のラベルに書かれるなぞの文字。これにはこんな決まりが...。
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2007年9月28日掲載の記事より)


図書記号とは、あっさり言うと、図書館の背ラベルに、分類記号と一緒に書いてあるカタカナのことです。

TRC MARCではMARC上に図書記号の指示を入力しており、基本は「一人目の著者」です。実際の図書には複数の人、いろいろな役割の人が表示されていますので、主たる著者は誰かを特定することが必要になります。「日本目録規則」の標目付則2「単一記入制目録のための標目選定表」を参考にして、判断しています。

〈おおまかな基本〉
  個人著者が2人まで→第1著者
  個人著者が3人以上→タイトル
  役割が「著」ではなく「編」「編集」「監修」など→人数にかかわらずタイトル

図書の主題にも、関係があります。
例えば、AさんのイラストとBさんの詩を組みあわせた本は、分類を画集726.6とするか詩集911.56とするかで、AさんBさんどちらから図書記号を採用するかが変わります。

こちら でお話しした、著者を補記するケース。〔紫式部著〕瀬戸内寂聴訳 では、瀬戸内さんの「セ」ではなく、「源氏物語」の著者である紫式部の「ム」になります。

同じ著者の図書はなるべく一か所に集めたい。しかし、とくに西洋人著者の表記は、図書によって違います。図書にある著者表記がいろいろ...同じ著者なのに読み方がいろいろ...で図書記号もそれにつられていろいろ...になってはいけないので、図書記号を著者から採用する場合は、統一標目のカタカナ形から採用します。
参考:統一標目はこうして決まる

ハイジ(竹山道雄訳)  ヨハンナ・スピリ作
ハイジ(上田真而子訳) ヨハンナ・シュピリ作

→統一標目のカタカナ形「スピリ,ヨハンナ」から、図書記号は「ス」に統一

なぜ「シュピリ」でも「ス」なのか? 図書に書いてある著者名を頼りにしていると、同じ著者の図書が「ス」と「シ」に分かれて配架されてしまいます。


本日の雑談 8 小林よしのり著   ...著者よりコ 
本日の雑談 9 弘兼憲史 西部邁著 ...著者よりヒ?

→同じタイトルの全集なら書架にまとめて並べたい。
図書記号を揃えなくてはなりません。
すべて「ホ」になるよう、タイトルを指示します。


「日本十進分類法」新訂9版 はじめの解説部分(p38~)に「図書記号の指定には,受入順,出版年順,著者名音順など...」と、あります。何が何でも著者の頭文字と決まっているわけではありません。多くの図書館では蔵書数や蔵書構成、配架方針を考慮して独自の規則を持っています。TRCでは上記でご説明した図書記号以外にも、MARCのさまざまな入力項目をもとに、ご希望に応じた図書記号を編集しています。


※「カテゴリー-図書記号」には背ラベルについて詳しい記事がたくさんあります。ぜひ読んでみてください♪
また、図書記号の編集について物流管理部の側からご案内した記事はこちらです。

2013年4月 3日

きょうのデータ部☆(4/3)

今年の桜はあっという間に咲いてしまいましたね。
そして、花散らしの雨が続いて、愛でる暇もありませんでした...。

「今年はお花見しそこなった!」という方のために、
データ部からの贈り物です。

P3230119 blog.JPG

ピンク色が濃い目なのは、ソメイヨシノではないから。
陽光という品種だそうです。

写真の提供は他部署のHさんでした!
来週もお楽しみに~。

2013年4月 2日

ねこの本

本日は「週刊新刊全点案内」1810号の発行日です。
掲載件数は2016件でした。

今月の表紙はこちら。
p20130402.jpg


*こんな本がありました*

ねこを取り上げた本は多いですが、ただカワイイだけではない「ねこ本」をみつけました。


↓こちらは、多摩川の河川敷に住む野良猫たちを紹介したもの。過酷な環境を生きるねこたちは、顔つきや表情まで違ってくるようです。

多摩川猫物語 それでも猫は生きていく

小西修(著)
角川書店(2013.3)


↓次はこちら。我が家で飼っていたねこも、ある日突然、姿を消しました。

猫の伝説116話 家を出ていった猫は、なぜ、二度と帰ってこないのだろうか?

谷真介(著)
梟社(2013.3)


↓こちらは、ねこの手相を紹介した本。肉球からわかる性格...、やってみたいです。

ねこてそ ねことのくらしを楽しくする

暁(著)
ぴあ(2013.4)


わたしはねこ好きなのに猫アレルギーという悲しい体質...(飼い猫失踪後に発症)。いつも近所のねこたちを、じーっと見つめて満足していますが、こんなねこ本を読むのも楽しそうです。


2013年4月 1日

カナ読みのルールその2(ダイジェスト第14回)

こんにちは。データぶー子です。
4月になりました!新年度の始まりですね。このデータ部ログダイジェストもまだまだ続きます。
では第14回、カナ読みのルールその2をどうぞ!
databuko4.gif
2007年8月31日掲載の記事より)


前回は、「こども」も「子ども」も「子供」もカナ読みなら一度に探せる!という話でしたが、今回は、逆にカナ読みの弱点も明かさねばなりません。「日本」は「ニホン」?「ニッポン」?、「硫黄島」は「イオウジマ」?「イオウトウ」??のように、一つの表記に複数の読み方がある場合にはどうしたら良いのでしょうか。

解決のためのひとつの手は、地道ですが、単語ひとつひとつについて統一の読み方を決めていく、という方法です。依拠する資料を決めておけば、統一基準がぶれません。TRCでは、「広辞苑 第5版」「市町村役場便覧の最新版」「コンサイス日本地名事典 第4版」などなどを資料として、統一読みを決めています。これにより、「日本」は「ニホン」、「硫黄島」は「イオウトウ」になりました。

...が、それでもまだすっきりしないところは残ってしまうのでした。依拠している資料の読み方が、我々の日常言語感覚と、少々ずれている場合。多くはありませんが、下記のような例が出てきてしまいます。

茶道  チャドウ 
口腔  コウコウ


これらの言葉では、著者の意図とは違う読み方になってしまっている場合もあるかと思われます。が、320万件のMARCからその言葉をもれなく探すため、MARCがぶれないための苦肉の策なのです。

TRC MARCでは対策として、図書に統一読みとは違う読み方がある場合には、そちらの読み方も同時に入力し、図書どおりの読みと統一読みの2つを同時に持たせるようにしています。


こちらの末尾でご紹介したルビの読み方も同様に考えます。

「妖怪・神様に出会える異界(ところ)」 は 

ヨウカイ/カミサマ/ニ/デアエル/トコロ
ヨウカイ/カミサマ/ニ/デアエル/イカイ

のようにルビの読み方と漢字本来の読み方の2つを持たせ、どちらでも検索できるようにしています。



※カナ読みのルールについて、主なものをご紹介しました。もっと詳しく知りたいときは、このブログの左側にある「カテゴリー-読み方」にまとまっていますのでこちらをご覧ください。

2013年4月 8日

分類について その2(ダイジェスト第17回)

こんにちは。
前回に続いて、データぶー子がお送りする本日のお題は「分類記号」です。

databuko1.gif

分類についての特別な知識がなくても、図書館をよく利用する人であれば、 "2"の棚には歴史や地理の本があって、"9"の棚には文学があって...ということをご存知だと思います。
この数字こそは分類記号の1桁目(第1次区分:類と呼びます)、一番大きな分類のくくりです。

こちら↓が1桁目の一覧表(類目表と呼びます)。図書館の壁によく貼ってありますね。

20071109.JPG


★分類記号のしくみ

分類記号には0~9までの数字が使用され、桁が下がるごとに主題(テーマ)が細分されていきます。一つの桁(区分)が常に10以内に細分されるので、十進分類法と呼ばれます。
どの桁においても基本的には主題を1~9に区分し、1~9に当てはまらないもの(1~9を包括するものなど)に0を割り当てます。
分類記号は3桁以上からなり、桁数をわかりやすくするために3桁目と4桁目の間に小数点(ポイント)を打った形で表示するのが決まりです。
3桁目(第3次区分)までの分類はこちらのサイトなどで見られますよ→


4桁以上ある長い分類。たとえば6桁目まで展開する分類はこんなかんじ
→548.232 半導体記憶装置の分類 ICカード技術についての本などがここに分類されます。


★あの暗号を解読せよ

多くの分類ビギナーが最初に覚える分類。それはたぶん913.6 (キュウイチサンテンロクと読みます)という日本近代小説の分類でしょう。
この数字を分解してみます。

1桁目(類)の"9"は"文学"、
2桁目の"1"は"日本語で書かれた"、
3桁目の"3"は"小説・物語"、
4桁目の"6"は"近代"を意味していて、
全体で"文学-日本語-小説-近代" すなわち "日本近代小説"を表します。
この中で2桁目の"1"は、9類以外の分野でも地理的な意味を表す場合には共通して"日本"を意味します(注:分野によって別の意味でも使用されます)。
3桁目の"3"は、9類の中では共通して"小説・物語"の意味で使用されます。
4桁目の"6"は、日本の歴史を表す分類では共通して"近代"を意味します。

いかがでしょうか。全部を暗記しなくても良いとなれば、少しは気が楽になりませんか?

つづいて「別置記号」のおはなし。

別置記号は「べっちきごう」と読みます。
NDCの定義によりますと

図書は分類記号の順序に,一元的に配架するのが原則であるが,管理運営上,さまざまな理由から同一系列に配架しがたい場合を生じ,別置することがある。

とあります。
実際の図書館では、児童書、郷土資料、参考図書、文庫などが別コーナーになっているのをよく見かけます。

ここでは、TRCで付与している別置記号を紹介します。

A(Annai)...<旅行案内書>旅行ガイドブック,地図
R(Reference)...<参考図書>事典、年鑑など調べるための図書
K(Kodomo)...<児童図書>
B(Bunko)...<文庫>
T(Tenrankai)...<展覧会パンフレット>図録など
M(Music)...<楽譜>


個人向けという理由で『週刊新刊全点案内』に掲載していない図書には、以下のような別置記号もつけています。 

G(Gakusyusankosyo)...<学習参考書・問題集>
H(Hard porno)...<ポルノ>
Q(Quarterly)...<雑誌>
S(Sikakusiken)...<資格試験参考書・問題集>

別置記号は原則一文字だけを使用しますが、KR(児童書・参考図書)とBH(文庫・ポルノ)は重ねて使用しています。

以上、駆け足で分類について説明してみました。

次回は件名のおはなしです。

2013年4月 5日

分類について その1(ダイジェスト第16回)

こんにちは、データぶー子です。
今日から2回にわたって、知らないとちょっと難しい、でも知っておくととっても便利な、分類についてお伝えしていきますね。

databuko8.gif

MARCを作成するなかには、図書の主題(テーマ)にかかわる情報を付与する工程があります。それが「分類」と「件名」です。

「分類」とは、ある一冊の本を、図書館の膨大な蔵書の中のどこに位置づけるのが最もふさわしいのかを決定すること。

TRC MARCでは現在、『日本十進分類法(以下NDC)』の新訂9版および新訂8版に則った分類を付与していますので、そちらにそって見ていきましょう。
もしも分類に取り組もうと思ったら、まず読むべきは、<本表編>冒頭の「解説」です。
NDC9版では、分類の歴史や体系に続いて、実際の分類作業の進め方がかなり具体的に解説されています(「解説」の3章 分類作業の進め方)。

とくに重要なポイントをあげてみましょう。


★図書の内容を把握するためにはどこに注目すれば良いか

まずはタイトルまわりの情報と著者に注目します。本タイトルはもちろんですが、図書によってはサブタイトルの方が内容を的確に表している場合もあります。また、シリーズからその本の読者対象などがわかる場合もあります。ほかの著作がある著者の場合は、そのデータから専門分野などを確認します。
タイトルを確認した後、かならず中身にも目を通します。序文や後書き、目次、解題などに目を通し、必要があれば本文のポイントとなりそうな部分を拾い読みします。
(注:NDCには書いてありませんが、このとき必ず同じようなテーマの図書を検索し、分類を確認することも重要です。)

★分類の基本の考え方とは?

a.主題が複数ある場合: 中心になる主題があれば、その主題に分類します。3つまでの主題が同程度に扱われている場合は、いずれか一つの(例えば最初の)主題に分類します。4つ以上の主題がある場合には、より高次の分類に分類します。

b.主題同士の関係: 一つの主題が他の主題に影響を与えている場合は、影響を受けた側に分類します。ただし個人から多人数へ影響を与えた場合は個人へ分類します。(そのほか因果関係、上下関係、比較についての説明もあり。)

c.理論と応用を扱っている場合: 基本的には応用に分類します。

d.特定の読者や目的を対象とした図書: 基本的には利用目的に分類します。

e.原作とその関連書: 基本的には原作と同じ場所に分類します。(そのほか対訳本、翻案、脚色などについての説明もあり。)

...などなど。
NDCを使う以上はこの「解説」がすべての基本なのです。

2013年4月 2日

描かれた美男~新設件名のお知らせ2013年3月分~

『週刊新刊全点案内』は毎月最初の号の巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
新設件名はTRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。


3月は5件の件名を新設しました。


その中に、「男性(美術上)」という件名があります。
名画絶世の美男同性愛」という本に対して、新設しました。
「女性(美術上)」「児童(美術上)」という件名はすでにあります。
「(美術上)」というのは、美術の分野での、というような限定事項を表すために付記するものです。


「名画絶世の美男同性愛」を書かれた平松洋という方には、「名画絶世の美女」「名画絶世の美女ヌード」「名画絶世の美女魔性」という著作もあります。
こちらには「女性(美術上)」を付与しています。
この件名はもうかなり付与実績があるのに、「男性(美術上)」がこれまで新設されなかったのは、美術作品に描かれた男性をテーマとして1冊をものするような本が、なかなかなかったからでしょう。

今回の本は、さらに、美男(で、同性愛ですが)。
"イケメン"がもてはやされたり、男性の美しさが話題になるような時代に応えたともいえるでしょうか。

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