MARC MANIAX目録の第7回、「責任表示」の応用編...というか、
さらに一歩二歩、進めてみます。
★著者が複数いる場合
ひとつの著述区分につき、個人名や団体名が2までのときは並べて記録。3以上のときは「おもなまたは最初の著者」とありますが、たいていは最初の名前〔ほか〕の形で記録します(2.1.5.1D)。目録の世界で3以上は「たくさん」なのでした。
著者 金子勝 アンドリュー・デウィット 藤原帰一 宮台真司
→ 金子勝〔ほか〕著
これでは宮台さんがかわいそう...と思った人のために、目録規則には「一つの責任表示において記録する個人名や団体名の数は,書誌的記録作成機関において,その必要に応じて定める。」(2.1.5.1D別法)ともあります。この目録規則に出てくる「別法」というのは「この方法もアリですよ」という意味です。
TRC MARCでも、2005年から、一定の条件を満たしている責任表示であれば全員を採用することにしました。
★書いた人が省略されていることがある
情報源に表示されていなくても、探し出して補う場合があります。
「源氏物語」のような古典ですと、いまさら「紫式部著」とは書いていない図書が多いです。この場合は〔紫式部著〕と補います。「竹取物語」は著者不明ですから補記はしません。と、有名な作品ならわかりますが「西遊記」「甲陽軍鑑」となってくると、あれっ作者は誰だっけ...? データ部で古典作品のMARC作成のときには、解説文中に著者にふれた部分があるか探したり「日本古典文学大辞典(岩波書店)」など参考書を調べています。
★いろいろな役割の人がいる
著者、編、監修、構成、執筆協力、料理、デザイン、イラスト、指導、...。どの役割まで責任表示として採用するかが悩むところ。情報源の表示のしかたと図書の内容を考慮しつつ判断します。TRC MARCでは、例えば序文執筆者、巻末解説者は採用していません。
★ところで複数の責任表示がある場合、その順番は
基本は図書の表示どおりです。ただし、たとえば先に出てきた源氏物語のケース。〔紫式部著〕 瀬戸内寂聴訳 というふうに、著作の成立過程を考慮して著者を先にします。
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「日本目録規則」で責任表示についての規定は2ページほどですが、データ部の私たちが使っている内部用マニュアルは80ページくらいあります(用例なども含め)。
責任表示は、目録上では検索キーとなる重要な部分。一方、本の作り手にとっては、個性を主張したり、工夫をこらしてみたい部分です。目録規則だけでは解決しないことがたくさんあります。さまざまな表示に対応できるよう、細かいルールづくりをしています。
来週は、責任表示からのつながりで「図書記号」のお話をお送りする予定です。