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2024年4月 アーカイブ

2024年4月26日

本...についてくる~MARCや検索のはなし~

今週末からはゴールデンウィークですね!
小旅行に出かけたり、いつも行かない街をお散歩してみたり...私にとって旅行に欠かせないのが紙の地図。
道案内をしてくれるスマートフォンの方が便利ではあるのですが、書き込んだり、写真やショップカードを貼ったりと、それ1枚で旅行の思い出ブックを作れるので、紙の地図が気に入っています。

TRC MARCでは、そんな地図をはじめ、型紙やポスターなどの折り畳まれた付録は、「形態に関する注記」にその内容を記録しているので、「このガイドブックに地図はついているかな?」という見方が可能です。
記録の仕方は下記の通り。

付:地図(1枚)


今回はこのような図書についてくる付録についてお話してみようと思います。
先ほど触れた地図ですが、大きな一枚が折りたたまれているときと冊子のときとでは、記録の仕方が少し異なります。

冊子の場合には...
付:道後温泉おさんぽBOOK(16p 22cm)
ドウゴ/オンセン/オサンポ/ブック
ドウゴ/オンセン/オサンポ/BOOK
のように記録しています。

1枚の時との違いは、大きさやページ数があること、そして、冊子のタイトル・ヨミが入っていることです。
なお、冊子の大きさが図書と同じ場合、大きさは省略しています。

ほかに付録としてメジャーなのが、CDやDVDでしょうか。
CD・DVDのような記録媒体が付属しているものについては、「付属資料の種類と形態」にその詳細を記録しています。

DVDビデオディスク(1枚 12cm)
F0;映像資料
F3;ビデオディスク
P9;館外貸出不可(図書)

上記のFから始まるコードは付属資料のキャリア種別・資料種別、Pから始まるコードは著作権に関するコードです。図書館での利用制限が図書や付属資料の盤面に記されている映像資料・電子資料について、図書館で利用できる範囲を記録しています。

ということで、今回は本...についてくる付録についてご紹介しました。
それでは、よいゴールデンウィークを!


2024年4月25日

トウモロコシの香り

4月の雑記テーマは「わたしの新人時代」その3です。

どこの会社でも、誰でも、配属先によって新社会人生活が違ってくるのは言うまでもありません。データ部であってもそれは同様。各チーム異なる形でTRC MARCにかかわっているので、どのチームに配属されるかで、新人時代はもちろん、その後の仕事の仕方が変わってくる感があります。

私が新卒で配属されたのは「図書館蔵書」でした。
文字通り、図書館から蔵書をお預かりして、目録を作成してお返しする部署です。

目録を作成する業務の大筋や、それに使うシステムは新刊でも蔵書でも変わりません。

しかし、新刊になくて蔵書にあるもの...。それは箱。私の新人時代の思い出は、箱に始まり箱に終わると言っても過言ではありません。

図書館の蔵書は箱に入った状態で図書館から送られてきて、MARC作成後また同じ箱に詰めて返送します。

まず箱を開ける時。

図書館で詰めて送られてくるので、箱の大きさや種類はまちまちです。図書輸送に特化した頑丈なケースもあれば、ミカンやリンゴなど特産品の箱、ドラッグストアで見るような箱まであります。更にそこに多様な形態の本が詰まっています。1箱に2,3冊百科事典のような大きな本がドンと詰まっていることもありますし、何の変哲もない普通の大きさの箱に薄い冊子が200冊以上入っていたことも...。やわな段ボール箱が本の重さに耐えられず持った瞬間に底が抜けそうになった時は大慌てしたものです。

箱を開けたら数を数えてヒットチェック(TRC MARCの累積にその図書がないか確認する作業)。累積に該当する図書のMARCが存在した分(ヒット分)は箱に戻し、存在しなかった分(未ヒット分)だけを棚やブックトラックに出してMARC作成作業をします。

そして箱に詰める時。

図書館から送られてきた箱に、本が傷つかないように緩衝材を入れつつ返却する本を詰めてお返しします。この緩衝材がなぜかトウモロコシっぽい香りがしてちょっと好きでした(誰にも同意してもらえませんでしたが)が、箱詰め作業は大の苦手。

送られてくるときにギュウギュウに詰まってきた本は、頭を使わないと同じ箱には詰まりませんし、輸送中に傷つかないようにと詰め物を詰めると嵩が増えるので箱が閉まらないこともしばしば。だからといって箱の中にスペースがあまりすぎると、どんなに緩衝材を詰めても本が中で動いてしまって具合が悪いのです。しかも運ぶ時に重さがかたよって持ちづらい。時々箱から溢れる本を前に途方にくれたものでした。

そのうち目録の作業にも慣れて、箱詰めをすることもなくなりましたが、トウモロコシを茹でたり、コーンスープを飲むと、新人の頃のことを思い出します。

2024年4月24日

きょうのデータ部☆(4/24)

今年もデータ部の胡蝶蘭が咲きました!

P20240424.jpg

以前にこちらでご紹介して以来、今もきれいに咲いています。
お世話しているデータ部員の手腕に感動。
植物を育てるのが苦手な私にはあこがれの存在です。

2024年4月22日

ADEAC2024春の公開情報その3

こんにちは。3週間にわたってお伝えしてきたADEAC春の公開情報も本日が最終回です。
今回は2~3月に大きく資料・機能が追加されたものや画面リニューアルが行われたものをご紹介します。

◇『上三川町立図書館/上三川町デジタルアーカイブ』(3月1日更新)
上三川町出身の創作折り紙作家・吉澤章氏の作品やプロフィールを紹介する吉澤章ORIGAMIミュージアムが追加公開されました。
吉澤章氏は折り紙作品の美術的地位を高め、「国際折り紙研究会」を設立して海外で日本の創作折り紙を広めた人物で、国内外で高く評価されています。
このページでは「クジャク」や「ゴリラ」といった複雑な折り紙作品や、「羊の面」「バッファロー」の折り紙を3D撮影したものをご覧いただけます。

◇『昭島市デジタルアーカイブズ/あきしま 水と記憶の物語』(3月1日更新)
明治から令和にかけての昭島市の写真を集めた「写真でたどる あきしまメモリーズ」のページが公開されました。
年代・エリア別に写真を探せるほか、地図上のポイントからその地点の今と昔の写真を比較できます。
また、「アキシマエンシス所蔵の化石資料」への資料追加も行われています。

◇『泉大津市/泉大津市ORIAMデジタルヒストリー』(3月22日更新)
スペシャルコンテンツ「探検!いずみおおつ」と「泉大津と毛布産業」を公開されました。
「探検!いずみおおつ」は泉大津市の歴史や文化財について学べる、地域学習にうってつけのページです。
泉大津市やアーカイブに掲載されたい資料に関する詳しい解説も載っていて大人でも楽しめます。
バーチャルな泉大津市をゲーム感覚で探検しながら地域について学べる「イズミオオツGOGO!!」というコンテンツもプレイできます。

「泉大津と毛布産業」は「日本一の毛布のまち」である泉大津市の毛布産業について特集したページで、毛布産業の発展した歴史や毛布の製造工程に関する動画・バーチャル展示室を閲覧したり、3Dパノラマで再現された毛布工場の内部を見学したりすることができます。

◇『守谷市/守谷市デジタルミュージアム』(3月25日更新)
画面が大幅にリニューアルされ、使いやすくなりました。
ほかにも、市内の遺跡から出土した考古資料や伝統文化を伝える映像資料の追加、『守谷現代史』『守谷総鎮守八坂神社の祇園祭』といった刊行物のフルテキスト掲載が行われています。
守谷市の歴史や文化についての多角的な情報が掲載されたサイトとして今後も更新されていきます。ぜひ郷土学習等にご活用ください。

◇『さいたま市立大宮図書館/おおみやデジタル文学館 ―歌人・大西民子―』(3月29日更新)
歌人・大西民子氏の全短歌(10,791首)を対象にテーマ検索ができるページが追加されました。
「20代ごろ」に詠まれた「家族」に関する歌、のように時期やテーマを組み合わせて検索ができます。

今回の紹介は以上です。
毎年春の時期は数多くの更新・新情報があり、紹介しきれなかった機関やコンテンツもたくさんありますので、ぜひ色々なデジタルアーカイブをチェックしていただければと思います。

2024年4月23日

辺境フィールドワーク

本日は「週刊新刊全点案内」2354号の発行日です。
掲載件数は985件でした。

*こんな本がありました*
「京大地理学者、なにを調べに辺境へ? 
 世界の自然・文化の謎に迫る「実録・フィールドワーク」」

水野一晴(著)
ベレ出版(2024.4)

世の中は間もなくゴールデンウィーク。ブログで紹介するのに、紀行案内記的なジャンルでよい本がないだろうか、とざっと眺めていた時に目に留まったのがこちらでした。
「旅行案内」ですが、「辺境」です。京都大学名誉教授で地理学者の著者が、1990年代から2010年代に、専門であるアフリカのほかヒマラヤ、アンデス、絶海の孤島などを訪れフィールドワークを行った際のあれこれをまとめたもの。
実際にその地を訪れての調査により土地独自の自然環境と人間の暮らしのかかわりなど、フィールドワークで得られる地理的知見がふんだん。なかなか行けない「辺境」ですが、想像上でも経験できるような気持ちになりました。

2024年4月19日

グループで活動するか、ソロ活動か~分類・件名のおはなし・136~

何冊かの異なる本だけど、共通するタイトルがついているいわゆるシリーズもの。
TRC MARCでは、「全集」と「シリーズ」という2種類に区別しているのをご存知でしょうか?
個人全集や続き物の物語、箱入りのセットで刊行される児童書など、本タイトルに巻数がついているものが「全集」です。
一方、本タイトルは単独で扱うものの共通したタイトルが別についている場合があり、それを「シリーズ」と呼んでいます。
分類・件名を付与する場合、「全集」なのか「シリーズ」なのかが非常に大事になってきます。


「全集」の場合は、原則として全巻に同じ分類・件名を付与します。
全巻に共通する分類を背ラベルに採用することで、その「全集」は図書館の棚の同じところに置かれることになります。グループで活動するのです。

「イラストしごと事典 1 野菜がみんなに届くまで」
「イラストしごと事典 2 自動車がみんなに届くまで」
「イラストしごと事典 3 映画がみんなに届くまで」
→分類・件名は3冊とも、同じ「366.29 職業」を付与しています。


「シリーズ」の場合は、ソロ活動です。「シリーズ」に共通する分類・件名は付与せず、個々のタイトルごとに分類・件名を付与します。

「古生物学者と40億年 (ちくまプリマー新書)」
「君主制とはなんだろうか (ちくまプリマー新書)」
→それぞれ「457 古生物学」と、「313.6 君主政治-歴史」という別々の分類・件名を付与しています。

次のようなものも「シリーズ」にしています。

「ワニのひみつ (飼育員さんもっと教えて!)」
「カバのひみつ (飼育員さんもっと教えて!)」
→それぞれ「487.96 わに」と、「489.84 かば(河馬)」を付与しています。


ただし! グループに属したままソロ活動をするアイドルがいるように、「全集」であっても個々のタイトル(=各巻タイトル)に対応する分類・件名も付与する場合があります。

「イラストしごと事典 1 野菜がみんなに届くまで」
→各巻分類・各巻件名「621.4 蔬菜 流通」を付与しています。

「イラストしごと事典 2 自動車がみんなに届くまで」
→各巻分類・各巻件名「537.09 自動車工業」を付与しています。

「イラストしごと事典 3 映画がみんなに届くまで」
→各巻分類・各巻件名「778.09 映画産業」を付与しています。

各巻分類を背ラベルに採用すれば、グループをバラしてソロの主題で配架することができます。

このような違いがある「全集」と「シリーズ」。
「全集」としてMARCを作成するのか、「シリーズ」としてMARCを作成するのかを常に意識して分類・件名を付与しています。

2024年4月18日

とにかく紙をたくさんめくっていた記憶

4月の雑記テーマは「わたしの新人時代」その3です。

私は中途入社組で最初はパート社員でした。大学で司書課程は修めたものの、教授に「いま多くの自治体では図書館勤務に司書資格を求めていないので、この中で本当に司書職に就く人はいるかいないか」と言われ、前職は図書館とはまるで関係のない職種でした。(データ部あるあるかも)
やっぱり本に関係した仕事をしたいなぁと思い、受けた面接では「たくさんマニュアルがあって、覚えることが多いですが大丈夫ですか?」と当時のチーフに聞かれたことを覚えています。


所属はデータ部新刊目録班。勤務地は現在の茗荷谷駅近の本社ビルではなく、少し離れた場所にある元倉庫と聞くビルでした。荷物用の大きなエレベーターは大人が5~6人寝転がれそうな広さがあったような...、いつも少しワクワクしながら乗っていました。
既に他のメンバーの部ログで登場していますが、画面が暗く文字が緑色の専用端末(目には優しいが、検索できる項目が少なかった)が一人一台あり、ミシン目付きのつながった紙に印刷されてくる連帳プリンター(なかなかな音がしました)はフロアに1台だったような...、大きな窓からはお隣の教育の森公園が見えて、桜や紅葉など良い眺めでした。


確か初日は「このマニュアルをコピーしてね」「大量だから他の人が来たら、間に入れてあげてね」と言われ、少しドキドキしながらコピー機に張りついていました。「覚えることが多い」と言われた通り、マニュアルは厚み約1.5cm×2種(更にたくさんあったことを後々知る)。1日2日読んだ後に、先生役の先輩がTRC MARC作成的に易しい本を選んで渡してくれ、目録入力作業を始めました。マニュアルを調べつつ入力、先生が間違った箇所を訂正してくれ、説明を受け、該当箇所のマニュアルを確認という流れは今も変わりません。


今はシステム上でいつ誰がどのように更新したかをログで確認できますが、当時はできなかったため、打ち出したゲラを大きなホチキスで綴じて保管していました。また、今は図書に挟むタグシートでMARCナンバーは勿論、各作業がどこまで進んでいるか、所在もすぐにわかりますが、そうなる前は図書に挟んだ紙に管理コードやMARCナンバーを書き込んでいました。そこに資料を調査した結果や判断根拠等、いろいろメモもしていたので、この紙も輪ゴムで束ねて保管していました。


思い起こすとアナログな作業が多く、なんと便利になったものかと感慨深いものですが、当時のそれはそれで懐かしく思い出されます。

2024年4月16日

地球からロマンを追う

本日は「週刊新刊全点案内」2353号の発行日です。
掲載件数は1169件でした。

*こんな本がありました*
まじめにエイリアンの姿を想像してみた

アリク・カーシェンバウム(著),穴水 由紀子(訳)
柏書房(2024.4)

もし地球以外の星にも生命がいたら、どんな姿をしているだろうと想像を膨らませたことのある人も多いのではないでしょうか。
動物学者の著者によるこの本は、エイリアンの姿や進化を地球の動物のそれを参考にしながら考えています。
地球の人類が無線を扱い始めたのはほんの150年前だそうです。つまり地球からの無線が宇宙に届くとしてもその範囲はたったの150光年先まで。
たどり着くまでに何千光年もかかる星がたくさんある宇宙に、地球の人類と同じくらいの文明を築き上げている生命体がいたとしても、それを知ることはまだ不可能といえます。
そんな中、我々が知る唯一の生命が育まれてきた星である地球を前提にしてエイリアンについて考えるのは、堅実な方法なのかもしれませんね。

生命こそ今はまだ見つかっていませんが、いてもおかしくない環境の星は見つかっているようです。
果たして一番最初に見つかる地球外生命はどんなものなのか、これからが楽しみですね。

2024年4月15日

ADEAC2024春の公開情報その2

今回は4月に入ってからデジタルアーカイブシステムADEACで新規公開された機関についてご紹介します。

◇『倉吉市/倉吉博物館デジタルアーカイブ』(4月1日公開)
鳥取県中部の倉吉市にある倉吉博物館の所蔵資料を中心としたデジタルアーカイブです。
倉吉市出身の木工芸作家・大坂弘道の代表作「黒柿蘇芳染宝相華文嵌荘花形盒子」や市内各地の野外彫刻、美術・考古・民俗および自然に関する資料など約100点を公開しました。
倉吉市と倉吉博物館が市ゆかりの芸術家の顕彰を目的に主催する前田寛治大賞展、菅楯彦大賞展の受賞作品も掲載されています。

◇『日進市/日進市デジタルアーカイブ』(4月1日公開)
愛知県日進市の社会科副読本を中心としたデジタルアーカイブです。
小学生向け社会科副読本「わたしたちのまち日進」の令和6年度版とその関連資料を公開しています。
副読本に貼ったリンクから関連資料を閲覧できるほか、章ごとの一覧やカテゴリ(地域資料・行政資料・映像資料)からも探すことができるなど、社会科の授業で活用していただくための工夫が満載されています。

◇『東大阪市/東大阪デジタル博物館』(4月1日公開)
東大阪市の所有する貴重な文化財をインターネットでいつでも・どこでも見ることができるデジタルアーカイブが公開されました。
資料は「考古資料」「美術工芸品」「地図・絵図・古写真」「民具・産業」の4つのカテゴリに分かれていて、古代から現代までの貴重な資料を高精細な画像でご覧いただけます。
市内で出土した土器や市指定文化財の「木造阿弥陀如来坐像」等は3Dデータで鑑賞できます。

小学生高学年向けに楽しく学べるコンテンツを揃えた「キッズはくぶつかん」も公開されています。東大阪市のマスコットキャラクター「トライくん」と一緒に資料の紹介を読んだり、地図から資料を探したりすることができます。
ほかにも東大阪市のできごとと日本のできごとを並べて見る年表や、トライくんの出題する資料クイズがあり、郷土学習などにも活用いただけます。

◇『築地本願寺/築地本願寺デジタルアーカイブ』(4月8日公開)
東京都中央区にある築地本願寺が所蔵する貴重な資料を閲覧できるデジタルアーカイブです。現在は動画コンテンツ数点と70年以上の歴史を持つ広報誌「築地本願寺新報」の一部が公開されています。

動画コンテンツのうち1つは大正12年に起こった関東大震災の記録資料で、当時の様子を知ることができる大変貴重な映像です。家財道具を抱え必死に逃げまどう人々、必死に消火活動をする人々、各地からの支援や、懸命に救護をする人々の様子が映しだされています。
ほかにも築地本願寺で行われた法要をはじめとする様々な行事を記録した映像もご覧いただけます。

今回の紹介機関は以上です。来週月曜日の第3回は大きな更新のあった既存公開機関を中心にご紹介する予定です。
それではよい一週間をお過ごしください!

2024年4月10日

びりびりびりっと

新年度ということで、4月の木曜日は「わたしの新人時代」その3というテーマで各人の思い出を綴ります。といっても、もはや朧げな記憶なのですが。

入社してすぐの配属は、データ部新刊目録でした。
新刊図書の目録(MARC)を作成する部署です。
現在も同じですが、ここには毎日書店発売前のピカピカの新刊書がたくさん入荷します。会社で目録を作成した本が、数日経ってから書店の新刊書コーナーに並んでいるのを見かけた時は、ちょっと特別な体験をしているような気分になったものでした。
と同時に、いままで自分が読んでいた本は、出版される本のほんのほんの一部だったんだなぁということも実感しました。もちろん読書傾向が偏っている自覚はあったのですが、世の中に自己啓発本や釣りの本(当時)がこんなに多いとは!

さて。新刊書に囲まれる日々にときめく気持ちは持ちつつも...
大敵がありました。

データ部の新人時代を一言で表すとすれば、それは「修行」。
新人ひとりずつにOJTの先生がつき、やさしく丁寧に指導してもらえたので辛さはないのですが、やってることは毎日ひたすら目録作成修行です。
目録入力→わからない箇所のマニュアル確認→入力→入力→マニュアル→入力→間違えた箇所の修正(赤字)が戻ってきて説明を受け→マニュアル確認→入力入力入力入力→赤字赤字...
という繰り返し自体は良いのですが、しかし、日がな一日黙々と入力作業していると、午後にはどうしても眠くなる...
新人らしく緊張感を保とうと思ってもどうしても眠い...!

そんな大敵、眠気を紛らすアイテムが、当時はありました。
その名は「連帳プリンター」。(「れんじょうプリンター」と音だけで覚えていたので漢字が定かではありませんが、おそらく連続帳票の略ではないかと)

すでに「手書き」時代は終わりパソコン入力になっていましたが、当時はプリンターが独特で、ミシン目の付いた連続用紙にまとめてガガガっと印字したものが出力されていたのでした。
複数の本の目録が連続した用紙に出力されるので、1冊分ずつミシン目を切り離してチェックに回す必要がありました。
ミシン目を切り離すのはちょっと気持ちよく、若干の運動(?)にもなるので、眠たくなると立ち上がっては切り離し作業に精を出していました。気を利かせているふりをして。

そんなわけで新人時代というとミシン目の手応えを思い出します。
いまは普通に1枚ずつ出力されるプリンターなので、新人さんたちはどうやって眠気と戦っているのかしら...そもそも眠そうな感じも見受けられないので、えらいなぁと思っています。


きょうのデータ部☆(4/10)

p20240410.jpg

先週と同じ公園の桜です。
あっという間に満開を過ぎて葉っぱ多めになりました。

本日はとても良い天気で公園でお昼を食べました。
近くにいたママ友親子で仲良くランチしている集団がいて、
子供が「ママ見て~見つけた~鳩のフン!」「こっち来て見て~」とお母さんを呼んでもお母さんなかなか反応せず。
暖かくて良い日でした。

2024年4月12日

「個人名典拠ファイル入門」まとめ ~典拠のはなし~

昨年の夏から始まった「個人名典拠ファイル入門」の連載、いかがでしたでしょうか。
入門の名の通り、個人名典拠ファイルを知っている人だけでなく、知らない人にも
大まかなイメージを持っていただけるような解説になっていましたら幸いです。

復習用にこれまでの記事をまとめました。
下記リンクからお好きな項目へアクセスしてください。

▼個人名典拠ファイルとは
図書の著者や伝記・人物研究など本のテーマとして出現する個人名のデータベースです。
このデータベースは書誌情報のデータベースであるMARCとは別個に存在しています。

一定のルールに則ってひとつの形を見出し=優先名称(統一形)として決定しています。
典拠ファイルの優先名称の決め方

▼個人名典拠ファイルのしくみ
個人名典拠ファイルは主に典拠IDと優先名称である漢字形、カタカナ形から成り立っています。

個人名典拠ファイルには以下のような役割・機能があります。
同姓同名を区別する
異名同人をまとめる
優先名称には選ばれなかった別の形でも探すことができるように参照機能を持たせる(直接参照)
ペンネームの使い分けなど複数の名称を関連づける(相互参照) 
設立者と設立された団体や、音楽・文芸などの創作グループとその構成メンバーを結び付ける

関連(相互参照)や直接参照は、より便利に検索にお使いいただける個人名典拠ファイルならではのしくみです。
図書にある名前だけではなく、自分の知っている名前から図書を探す、ある著者の著書を漏れなく探す、という検索方法は、実はこのような個人名典拠ファイルの機能が支えていて、さまざまな角度から図書に辿り着くことができるようになっているのです。

今回の典拠入門シリーズはこの回をもって終了となりますが、今後も典拠の奥深い世界についてご紹介してまいりますので、お付き合いください。

2024年4月 8日

ADEAC2024春の公開情報その1

ADEACでは今年も年明け以降、数多くのデジタルアーカイブが公開・更新されました。
4/8・15・22の3回にわたって、新規公開や大きくアップデートした機関の魅力や見どころをお伝えします。
今回は2・3月に新規公開された機関についてご紹介します。

◇『新発田市/新発田市デジタルアーカイブ』(2月1日新規公開)
新潟県にある新発田市歴史図書館が所蔵する江戸時代の越後の様子を描いた越後国絵図4点を公開しました。

その中で最も大きな「正保越後国絵図(元禄年間写)」は縦5.4m、横10mもあり、現存する詳細な越後国絵図としては最古・最大です。これだけの大きさのものを公開する為には、広げる場所の確保も大変だったそうです。
この度、高精細にデジタル化したことで、インターネットで自由に拡大・縮小して隅々まで見ることができるようになりました。

ほかには正保越後国絵図を基に加筆された「元禄十三年 越後国岩船蒲原郡絵図」(1)と(2)、天保8年作成の「越後国 村上新発田領 十巻絵図」をご覧いただけます。
これらの絵図を比べてみると、開削された河口・干拓が進み陸化した紫雲寺潟など、江戸時代の終わりまでの新発田市の様子を見ることができます。

◇『北茨城市/北茨城市デジタルアーカイブ』(3月22日新規公開)
茨城県の最北端に位置する北茨城市はかつて炭鉱の町として活況を呈した地域で、自然豊かで風光明媚な海岸線や渓谷美など、観光名所も多くあります。
このデジタルアーカイブではそんな北茨城市を知るための貴重な史料を公開しています。

見どころの1つは神岡上古墳群から出土した七鈴鏡で、360度自由に動かして閲覧できる3Dデータや、鈴の音を実際に聞ける動画などが公開されています。
また、市所蔵の写真と市民公募により集められた写真をテーマ・地区・年代別に検索できるようになっていて、明治40年代から平成までの北茨城市を振り返ることができます。
北茨城市出身の童謡詩人「野口雨情」とソプラノ歌手「ベルトラメリ能子」の貴重資料もご覧いただけます。

◇『泉佐野市/泉佐野市デジタルアーカイブ』(3月29日新規公開)
大阪府の泉佐野市が所有する豊富な資料を広く、末永く伝えていくために構築されたデジタルアーカイブです。
郷土資料や行政資料を細かいカテゴリ別に探して閲覧できるほか、年代や地図といった切り口から探すことができます。

また、写真・映像・ガイドブック・パンフレットといった様々な形で市内の観光資料を見ることができるほか、市内にある文化財や「日本遺産」の情報も掲載されているため、デジタルアーカイブを見た後は現地を訪れてみたくなること間違いなしです。

特殊なコンテンツとしては文永8年(1271年)に建立された国宝建造物「慈眼院多宝塔」のパノラマ映像や、国指定登録有形文化財「新井家住宅」の敷地内パノラマ、ドローン空撮などもご覧いただけます。


◇『菊池市/菊池市デジタルアーカイブ』(3月29日新規公開)

熊本県北部に位置する菊池市は、平安時代から戦国時代まで約450年の間にこの地方で栄えた武士の菊池一族の城下町として栄えてきた地方です。そんな菊池一族にまつわる史料をはじめ、この地域に関する様々な資料を公開しています。
掲載資料は多岐に及び、トップページにあるカテゴリ別の一覧や、地図画面から気になる資料を探して閲覧できます。
トップページ以外には、おもに小学生向けの学習コンテンツとして「菊池市の歴史について知る・学ぶ」のページを作成して、学校の授業などを通して菊池の歴史について学べるようにもなっています。
街並みや伝統行事、祭、明治時代や昭和初期の学校の様子など、地域の歴史を物語る貴重な資料を豊富に掲載しているので、年齢問わず郷土についての調べものにご活用いただけます。

今回の紹介は以上です。次回4/15は4月に入ってから公開された機関についてご紹介します。

2024年4月 9日

見覚えがあるような

本日は「週刊新刊全点案内」2352号の発行日です。
掲載件数は1027件でした。


*こんな本がありました*

「グラウンドカバープランツ大全 植栽デザインのための4000種」

ゲイリー・ルイス(著) 飯島健太郎(日本語版監修・解説) 和田侑子(訳)
グラフィック社(2024.4)


グラウンドカバープランツってなんだ?
素朴な疑問です。本を見てみると、
風景美化の役割を果たす...水や肥料、農薬の使用を減少し、野生の動物たちの生息地にもなる...「地被植物」とも訳されることがある...
なるほど、と思いながらページをめくっていたところ、見覚えのある植物の姿がいくつか。より正確に言えば、「見覚えはある(ような気がする)けれど名前を知らなかった」植物たちです。解説を読んでみると日本でも見られるとの記述あり。自信は無いけれどおそらく見たことがある。きっと勘違いではない...はず。
君たちがグラウンドカバープランツだったのか。
またひとつ知識を得ました。

2024年4月 3日

きょうのデータ部☆(4/3)

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おなじみ会社裏の公園の桜並木です。
今日はあいにくの雨でどんよりとした空模様。
満開まであと少しですね。

2024年4月 2日

私だけのお城

本日は週刊新刊全点案内2351号の発行日です。
掲載件数は1278件でした。
今月の表紙はこちら。
p24040402.jpg

春霞の山里の山並み と 桜咲く風景 のイメージです。
(何処か特定の山々の風景ではありません。)
冬の、カリッとした乾いた空気から
春の、湿気を含んだフワッとした空気に変わり
草の上にでも座り込んで、暫くの間、ぼんやりと眺めていたい・・・!
そんな感じです。
(Juri)

*こんな本がありました*
「世界一居心地のいい部屋の作り方」

toka(著)
KADOKAWA(2024.3)

4月は新生活の始まり、そして心機一転したくなる月でもあります。
ほっとできる場、寛げる空間、好きなものに囲まれる...
皆さんにとっての「居心地のいい部屋」はどのような部屋でしょうか?

私はついつい雑貨やぬいぐるみを収集して部屋に並べてしまいがちで、家族からはガラクタ扱いされますが、帰宅した時にお気に入りを見ると心が満たされて癒しを感じます。
この本の「おわりに」では「部屋は住む人にとっての小さなお城」といった記述があり、部屋は自分にしかわからない快適な場という点からもまさにその言葉通りだなぁと思います。

新年度に入り、私も自分の軸を大切にしながら帰りたくなる理想的な空間をイメージすることから始め、より良い生活が送れる準備をしてみようかな?とひと押しされました。

好みは人それぞれ異なりますが、インテリアや部屋作りのこだわりに加え、暮らしの中の楽しみなども合わせて紹介した一冊となっているので是非参考にしてみてください。

2024年4月 4日

わたしの新人時代

4月の雑記テーマは「わたしの新人時代」その3です。

 入社時の配属はデータ部メンテナンス(今の典拠班の
仕事とMARCのメンテナンスをする部署)でした。部署
のチーフの真ん前にもう1人の新人と座っていました。


 当初は週に何時間かの研修をはさみながら、ひたすら
マニュアルを読み、同じフロアすぐ隣にあった営業部に
かかってくる代表電話を取る毎日でした。そのうち典拠
作業を教わりながら、リスト類が出た時だけリストに赤
をいれていました。普通はデータ部のいろんな部署を回
ってある程度MARCがわかってから配属されるとこなので、
「いきなりで大変ね」といわれた記憶があります。


 それでも新人が配属されたのは、ちょうどMARCを
TRC独自のフォーマットからJAPAN/MARCフォーマットに
切り替えるところだったから。機械的に変換してエラー
になったものの書誌詳細のプリントアウトがどっさり出
力されたのを、確認し赤を入れて、またパンチに出して
(*1)いたと思います。


 リスト類では、アンマッチリスト(出版者の名寄せリ
ストなど)も出力され、生き別れになっているものを調べ、
間違いが確認されたのでメンテをするか、そのままにする
かを判断してました。


 この出版者のアンマッチリストはその後、入力中のもの
でもルーチンでの作業になりました。間違いがないかと一
緒に、出版者コード(*2)も振っていました。


 4桁コードを持たない出版者には台帳に記入して
「カタカナ+数字3桁」を与え、それを端末でMRACに反映し
ていました。主に遡及の行政資料。例:文京区役所、東京
都文京区、文京区○○係...。全てに同じ「フ123」のよう
なコードを与え、コードで文京区が出版したすべてを検索
できるようにしていました。作業自体は難しくはないので
すが、とても手間がかかりました。そしてこの1週間分の
アンマッチリストが出るのが、木曜日の夕方だったので
終わるまで帰れず、毎週木曜日は、今日はどのくらいリス
トがでるだろうとどきどきしていました。


 この頃はPCもなく、端末すらフロアに3台くらい(検索
用と最終メンテ用)で原稿をすべて手書きで書き、ナンバ
リングしてパンチに出さなければならないのに、パンチ会社
への便の時間がきまっていたので、目録を作成する班はどこ
もピリピリしていていました。(特に新刊)。便の時間の
制約がなかった部署自分のでは電話を取ったりFAXを配った
りも大事な仕事でした。
 特に金曜日の午前11:55には協会(*3)の修正のFAXが
こないか、いつも注意していました。時間一杯まで修正
連絡を待っていた届いたら12時までに端末で修正しなけ
ればならないため、大急ぎで届けていました。


どれもこれも、全員がPCを持ち、PCで入力し、ファイルも
最初から作ってしまう現在では考えられないことですね。


念のための注です。
(*1) 自分たちで直接データを直す仕組みが整っていないため
   専門のパンチ会社に依頼してデータを作成してもらい
   それを取り込むこと。
(*2)このころ出版者のヨミはなく固有のコードを入力していた。
  取次が使用していた数字4桁コードの他、カタカナコードが
  ありました。
(*3)昔、日本図書館協会の監修を受けていました。

2024年4月 1日

「カラカラ」といえば?~新設件名のお知らせ2024年3月分~

明日発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

3月の新設は5件でした。
そのうちの1つが「カラカラ」です。

カラカラは、ハヤブサ科の鳥です。北アメリカ南部から南アメリカに生息しています。
この本で件名を新しく採用しました。

「空飛ぶ悪魔に魅せられて 謎の猛禽フォークランドカラカラをめぐる旅」

ジョナサン・マイバーグ(著) 的場知之(訳)
青土社(2024.4)

悪魔とは穏やかでない呼び方ですが、この本で扱われているフォークランドカラカラは人を恐れず、知能が高く、人間の食料や身の回り品も持ち去ることがあるそうで、そんなところから言われたことかもしれません。
また食性が広く、生きた獲物だけではなく動物の産後の胎盤や死体の肉も食べるとのこと。過去には仔羊などを襲ったため害鳥とされ、数が激減したそうです。
人との関わりの近さを聞くと、とても興味をそそられます。

ところで、上記の本を見る機会がなかった私は「カラカラ」がいったい何のことかわからず、辞書サイトで検索してみました。
すると、鳥の他に、
・ローマ皇帝(在位211-217年、正式にはマルクス・アウレリウス・セウェルス・アントニヌス、弟と不仲)
・ポケモン(こどくポケモン、「じめん」タイプ)
・鹿児島県の焼酎用徳利
のカラカラが見つかりました。色々ありますね。

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