こんにちは。
昨年から続けてきた「個人名典拠ファイル入門」も大詰めを迎えまして、今日はいよいよ第10回です。ここまで、典拠ファイルの機能についてお伝えしてきましたが、今日はその内容についてご紹介します。
まず、典拠ファイルの根幹ともいえる部分が「典拠ID」です。
典拠IDとは各典拠ファイル(個人名なら各個人)に付与する識別番号になります。
例)
典拠ID:1112345-0000
※IDおよび桁数は架空のものです。
典拠IDは単なる数字の羅列ではなく意味のある並びになっています。1桁目が「1」なら個人、「2」なら団体。2桁目が「1」なら日本人と漢字文化圏の人、「2」なら西洋人です(団体には国による区別はないので全て1)。
というわけで、例に挙げた典拠ファイルは「漢字文化圏で活動する個人」である、ということが最初の2桁を見ればわかることになります。
最後の4桁は形態番号です。これまでご紹介した優先名称(統一形)は「0000」、記述形なら「00△△」、参照形は「40△△」となります(△△の部分は00、01、02のように作られた順に数字が大きくなります)。
記述形や参照形は同じ優先名称(統一形)の形ちがいですから、下4桁以外が同じ数字のIDは同一人物(もしくは団体)ということになります。
次に大事なのが「漢字形」と「カタカナ形」と、ときどき「標目限定語」。
例)
典拠ID:1112345-0000
漢字形:山田/太郎
カタカナ形:ヤマダ,タロウ
標目限定語(専門世系等):野球
IDだけとは違い、パッと見てわかりやすくなりましたね。
漢字形が大事なのはもちろんですが、カタカナ形も、漢字表記がわからない時の検索や、図書記号に関係してくる大事な要素です。
データベースに同姓同名の人がいる場合は、漢字形とカタカナ形だけでは見分けがつかないので、生没年や専門分野などの「標目限定語」を入力して区別がつくようにしています。
他にも、標目限定語にしなかった生没年、職業や専門分野、この連載でもご紹介した関連情報、漢字形やカタカナ形の根拠、典拠ファイルを作成した図書のタイトルなどなど、いろいろな情報が典拠ファイルには入っています。