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2020年9月 アーカイブ

2020年9月29日

きょうのデータ部☆(9/30)

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データ部フロアのパントリーのマークです。
ここで自分のお茶をいれたり
お弁当をレンジで温めたりすることができます。
枠から湯気がはみ出しているところが
ちょっぴりかわいいなと思っています。

2020年9月28日

ミャンマーの国立図書館

こんにちは。今回はいつもと少し趣旨を変えて、私が兼務している国際事業部が仕事で携わっているミャンマーの図書館を紹介します。

ミャンマーには国立図書館が2つあります。
首都ネピドーにひとつと、旧首都ヤンゴンにひとつです。
(ミャンマーの首都は2006年にヤンゴンからネピドーに移転しました)
ネピドーは首都にするために新しく平野の真ん中に作られた都市のため、とにかく道も広く建物も大きいです。(片道10車線の道もあるそうです!)
そんなネピドーにある国立図書館も当然かなりの大きさ。
初めて行ったときは天井の高さに驚きました。
NpdNL.jpg
(写真はエントランス右側のフリースペース)

ネピドーは政府機関が集まっているとはいえ商業都市ではないため、人口が多くありません。そのため図書館の利用者も一日平均20~30人とかなり少め。訪問した際は利用者はおらず、省エネのため閲覧室の電灯は消されていました。
目録カードが最近まで現役だったため、目録カードを入れる引き出しが館内の様々なところにあります。
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ミャンマーの多くの公共図書館では今でも目録カードが現役です。都心の大きな公共図書館は電算化がされていますが、目録カードも並行して使用している図書館がほとんどです。
ミャンマーのMARCは英米目録規則に則り、MARC21フォーマットで作成されています。

続いてヤンゴンの国立図書館。
こちらは軍事政権中に建物を明け渡してしまったため、長い間ヤンゴン郊外にありました。2016年にヤンゴンの中心街に移転が決まり、英国統治時代の建物をリノベーションして使うことになりました。
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TRCはヤンゴン国立図書館の前館長さんと親交があったこともあり、この新しい国立図書館の一室を無償で貸し出していただけることになりました。
日本とミャンマーの文化の交差点となるようなギャラリーにしたいという思いから、Intersection60と名付け、オープンの準備を進めてきました。(60は部屋の大きさが60㎡であることに由来しています)
オープン予定日は2020年4月4日。ヤンゴン国立図書館のオープンイベントに合わせてアウンサンスーチーさんも訪れる予定でした。
Intersection60.jpg

しかし新型コロナウイルス感染症拡大のためオープンは延期、私たちも渡航ができなくなりました。
Intersection60の内装は完成していましたが、中のコンテンツは日本から持ち込む予定だったため、渡航できないとなるとオープンもできません。

そこで、ミャンマーの方々にオンラインでなにか提供できないかと始めたのがVirtual Intersection60です。プラットフォームはミャンマーの方々が一番よく利用するfacebookを選びました。
4月にスタートし、毎日「かお」を作るプロジェクトや日本の文化紹介など、様々なコンテンツを配信しています。
今月に入ってからは、出版社さんより特別に許諾をいただいて絵本のミャンマー語読み聞かせ動画を配信したり、オリジナルのデジタル紙芝居を作成したりと、コンテンツも充実してきました。
「かお」つくりのhomemade face projectはyoutubeにも載せています。
作品も募集していますので、ご興味持ってくださった方はぜひご参加ください。詳しくは動画の概要欄を御覧ください。


日本と比べると、ミャンマーにはまだあまり日常的に図書館を使うという習慣がありません。
国際事業部は今後も、ミャンマーで一人でも多くの方が図書館の魅力に気づいていただけるよう様々な取り組みを行っていく予定です。

2020年9月29日

また今日からはじめよう

本日は「週刊新刊全点案内」2178号の発行日です。
掲載件数は845件でした。


*こんな本がありました*
こころのタイプ別ヨガ  あなたにぴったりのストレスケアがわかる」

ガンダーリ松本(著)
KADOKAWA(2020.9)


新型コロナウイルスで私自身に影響が大きかったのは、約3年続いていたヨガを辞めてしまったこと。趣味の習い事は不要不急間違いなかろうし、行けないのに払う月謝はもったいないし。
それまであまり見たことのなかったYoutubeでヨガの配信は豊富にあることにも気づきました。わざわざスタジオに行かなくても、その日の気分でリラックスしたいのか、肩こりを重点的にケアしたいのか、がっつり汗をかく気でいくのか、メニューも豊富です。
テレビに飛ばせば、インストラクターの先生を見ながらやるのと同じだし!
実質週一だったけど短い時間ならもっと頻繁にできるし!


しかし、細々とでも続いたのは3か月...。うっすら予測はしていました。私はストイックには程遠い、楽な方に流れるヒト。自力でできないから、それをやるための場所へ行き、それをやる大勢と一緒に励むことで、なんとか恥ずかしくない程度に頑張れていたのです。自分で言っていてしゅんとしてきました。一体いくつなんだ自分! 何度でも頑張るんだ自分!


そう思っていたこの頃だったので、まさにタイムリーなタイトルでした。「あなたの弱点にピンポイントでアプローチできる」という文句が更に気になります。

2020年9月25日

四天王~MARCや検索の話~

MARC作成の際、1冊の図書の中で微妙に違う情報に出会うことがたびたびあります。たとえばタイトルが場所によって「ぼくのファミリー」「ぼくのfamily」と食い違っていたり。このような困った状況を合理的に解決するのが、「4情報源」のルールです。データ部では1番基本で大切なこの規則、改めてご紹介したいと思います。

表紙をめくったところにある図書本体の玄関のような「標題紙」、本体の最後の方にある(ことの多い)最も詳細な情報を持つ「奥付」、図書館で書架から探す際ポイントとなる「背」、そして図書の顔と言える「表紙」。この4カ所をあわせて4情報源と呼び、ここから情報を採用しています。

強い力をもつ4情報源ですが、この中でも優先順位が決まっています。
意外かもしれませんが、実は最優先は「標題紙」。標題紙と標題紙裏に最も詳しい情報を載せる伝統がある洋書を参考に、TRCでも「標題紙」が第一の情報源となりました。そして2番手には図書本体の「奥付」が続き、狭い範囲に重要な情報だけを詰めた「背」が3番、目に留まりやすくもデザイン性が高くなりがちな「表紙」は4番手です。近年はカヴァーごとブッカーをかけることが増えたため、TRCではカヴァーも情報源にしています。

このように優先順位をつけることで、場所によって情報が割れてしまっていても整合性をもって対応することができます。2対2など同数の場合は、最も強い標題紙を含む方が勝ち。標題紙vs奥付・背・表紙の場合は、残念ながら標題紙の負けです。数が同じならば優先度順、違うならば多数決で決まります。

本タイトルの選定でバトルが起こった際、採用されなかった方のタイトルも検索で役に立つよう注記へ入力しています。
標題紙・表紙が「ぼくのファミリー」
奥付・背が「ぼくのfamily」ならば、

本タイトル:251A:ぼくのファミリー(ヨミ:ボク/ノ/ファミリー)
タイトルに関する注記:341A:ぼくのfamily(ヨミ:ボク/ノ/ファミリー)(ボク/ノ/family)*アルファベット数字形を含むヨミも付与

となります。
MARC内にどちらの情報も持たせ、注記にもヨミを与えることで、様々な角度からの検索に対応できるのです。

2020年9月24日

記録文学

9月の雑記テーマは「ダークな本」。
怖いもの、悪いもので魅力的な本をご紹介いたします。

約4年前、富山県の黒部ダムの見学ツアーに参加しました。
関西電力の保守道を特別に通ることができる予約制のもので、ヘルメットを被っての見学会はとても印象深いものでした。
途中で案内係のかたが、1冊の文庫本を掲げて、読んでみてくださいと紹介してくれました。

「高熱隧道 改版 」
(新潮文庫)

吉村昭(著)
新潮社(2010.7)

帰宅して早速読んでみましたが(薦められたらわりと素直に何でも読むタイプ)、記録文学というジャンルをはじめて意識しました。
事件や事実に基づいた文学作品のことで、「高熱隧道」の作者である吉村昭がその代表ともいえるようです。
作品は黒部川第三発電所(1936年着工)のトンネル工事を題材にしたもの。話の中で人がどんどん亡くなっていき、フィクションではない現実の自然の厳しさ、極限状態におかれた人間の狂気や心の闇がもう恐ろしくて恐ろしくて、読了後震えあがってぐったり疲れるぐらい影響されてしまいました。

「赤い人 新装版」
(講談社文庫)

吉村昭(著)
講談社(2012.4)

こちらも続けて読んでみましたが、明治時代に北海道開拓にあたらされた囚人たちの話。
タイトルは囚人服の赤い色からきています。
震えます。


未だに読めていないのが「羆嵐」。

「羆嵐 改版」
(新潮文庫)

吉村昭(著)
新潮社(2013.11)

「熊」じゃなくて「羆」の字なのがまず怖い。
獣害事件として再現ドラマになったものを以前に見てしまい、怖気づいてどうしてもまだ手が出せないでいます。

2020年9月23日

きょうのデータ部☆(9/23)

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ここ数日で季節が進んだように感じます。
そろそろ、上着掛けが必要かもしれません。
目印付きのカラフルなハンガーたちの出番がやってきそうです。

2020年9月18日

男と女~分類・件名のおはなし・104~

3歳の息子の一人称が先日「オレ」になりました。
ウルトラマンが好きで、「キングジョーシュトレージカシタム!」とか「ジャグラスジャグラス!」など、知らない人には呪文としか思えないような言葉を叫びつつ走り回る姿はこれぞオトコノコという感じです...うん。オトコノコ。

子どもが、ある一時期にとても強く「男らしさ」「女らしさ」を表出してくるように思います。息子もその時期に入ったのでしょうか。教えたわけでもないのに、と親としては思いますが、案外わたしをはじめ周囲の大人の微妙な反応の違いを察知した結果なのかも。実際に子どもを見ていてもよくわかりません。このあたりを扱った本はあるでしょうか。


NDCに「143.1 両性の心理」という項目がありました。「143 発達心理学」の下の項目で、注記に「*性差の発達心理学は,ここに収める」となっています。
分類で検索したところこんな本が見つかりました。

ジェンダーの発達心理学

伊藤裕子(編著)
ミネルヴァ書房(2000.11)

認知や行動に性差はあるのか
ポーラ・J.カプラン ジェレミー・B.カプラン(著) 森永康子(訳)
北大路書房(2010.11)

とはいえ、「話を聞かない男、地図が読めない女」をはじめ、ここに収められている本は、男女の性差に由来する(と考えられる)コミュニケーション不全を前提として、それを何とかしよう(もしくは仕方がないとあきらめよう)というものが多い印象です。


さらにNDCを見てみると、143.1の下に「[.2] 幼児心理 →376.11」という記載がありました。幼児心理については「376.11」を見よという指示です。幼児のことを知りたいので、こちらもよさそう。
そこで、分類「376.11」に件名「性差」を掛け合わせてみると、次のような本がありました。

幼児の性自認

大滝世津子(著)
みらい(2016.8)

子どものジェンダー構築
藤田由美子(著)
ハーベスト社(2015.9)

なるほど...。疑問の解決に役立ちそうです。

子を産む機械とディストピア

9月の雑記テーマは「ダークな本」。
怖いもの、悪いもので魅力的な本をご紹介していきます。
ホラー系が苦手で、怖い本にはついぞ手をだしておらず......
んん、ダーク、ノワール、暗い本......
と悩んだ末に行きついたのがディストピア文学でした。


侍女の物語


マーガレット・アトウッド(著)
早川書房(2001.10)


こちらはディストピア文学の金字塔ともいえる本であり
多くのリスペクトやオマージュが寄せられている作品です。

読み書きや仕事、衣服に至るまで、女性の自由と尊厳が厳しく管理された基督教超原理主義の「ギレアデ共和国」が舞台のこの物語。

主人公オブフレッド(フレッドの所有物の意)は、支配階級の「子を産む機械」である侍女という役割を担っていました。
「子どもを産めるか」「産めないか」によって女性は選別され、
健康な子を埋めれば安泰な未来が、子を成すことができなければ「不完全女」として収容所送りの未来。

物語は、主人公がオブフレッドとして生きる現在と、ひとりの人間として生きた過去を行き来しながら進行していき、
それが余計にギレアデの異質さを際立たせています。

もちろんすべて架空の物語ですが、現代社会へのアイロニーとも感じてしまう......
心のどこかがちくっとするような、不思議な読後感を得られます。
考察の余地が多分にあるこちらの作品、未読の方は是非この機会に是非!


侍女の物語 グラフィックノベル版


マーガレット・アトウッド(著)
早川書房(2020.9)

先日グラフィックノベル版も刊行されました。
美しいイラストが不思議な構図で綴られた、鮮烈な赤と黒が映える1冊です。
こちらもあわせて。

2020年9月16日

きょうのデータ部☆(9/16)

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今月は社内至るところの張り紙や文字について載せています。
この扉はデータ部フロアの入り口です。
入室前の手洗いと、入室後のアルコール消毒で、感染症対策をしています!

2020年9月10日

闇が舞台の本

9月の雑記テーマは「ダークな本」
怖いもの、悪いもので魅力的な本をご紹介していきます。

というテーマをいただいたものの、自分、怖いもの、本でも映画でもあまり見たり読んだりしないことに気付きまして。
ダークなもの、ダーク...、暗い...、闇。
と連想して思い出したのがこちらの本。

こわれた腕環

おととし亡くなられたアメリカの作家、アーシュラ・K・ル=グウィンによる「ゲド戦記」の2巻にあたります。
ゲドとは人の名前で、魔法使い。ジブリのアニメになりましたが、時代的にはアニメより以前のお話です。

この巻の主人公は「アルハ」と呼ばれる少女。彼女は魔法を信じていない国で、古き墓所に仕える大巫女として暮らしています。そこへ魔法使いのゲドが盗賊として忍び込んでくるのです。大巫女が支配する、墓所の地下に広がる迷宮のまっただなかに。

物語の後半はこの地下迷宮が舞台です。ここは神聖な場所なので灯りをともすことも禁じられています。まさに光のない、まっくらやみ。自分だったら足がすくんで動けなくなってしまいそう。
しかしアルハは、そんな中でも自在に動き回ります。壁を指先でたどり、覚えた道順を思い浮かべながら。闇に包まれたこの場所だけが、彼女の場所であったから。
しかし、暗くて静かだった迷宮の闇はゲドにより、また周りの大人たちにより打ち破られます。それを見たアルハはどういった選択をするのか?ぜひお読みになって確かめてください。

ずいぶんとテーマから離れてしまいました。暦の上ではもう秋ですから、ホラーとか犯罪小説とか、本来のテーマの本にも手を出して読書の秋を楽しもうと思います。

2020年9月14日

いつもと違うミッション-『週刊読書人』書評

『週刊読書人』は、本のプロ、読書通の方が手にする書評新聞、書評専門紙です。

その『週刊読書人』に図書館流通センターが広告を出しています。
ただの広告ページではなく、良書をおすすめする場にしたいと、
「図書館発!こんな本が面白い」と題して、書評を提供しております。

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隔週で8本前後の書評を掲載。TRC各部署の社員や図書館スタッフが、それぞれ推したい本について書いています。

今年2月から始まって、データ部では、すでに18人が執筆、掲載にいたりました。

『週刊読書人』に載るとなれば、きちんとした説得力があり、かつ面白いと感じてもらえるものを書きたい。
気負わずに...と思うものの、やっぱり気合がはいります。

「夏休みの宿題のようだー」といいながら本を選び、じっくり時間をかけて読み、この本の良さをどう伝えたらいいのかと考えながら、文章を組み立てる。
時間もかかるし大変ではあるものの、書き上げたときの達成感、紙面に載った喜びは、いつもの仕事にはない鮮烈さでした。

書かれたものを読んで、あの人にこんな関心があるのか、なんと生き生きと書いていることか、と仲間の知られざる一面に驚くこともしばしばです。

データ部の仕事はルール重視のかっちりキチンとしたものです。
メンバーは、コンディションを保って、たんたんと仕事をしています。
それはもちろん大事なのですが、書評執筆がみんなの眠れる能力を起こす、一陣の風になりそうだと思っています。

2020年9月11日

図書館へまいります ~典拠のはなし~

個人名典拠ファイルただいま約125万件、団体名典拠ファイル約28万件。今回は典拠ファイル作成後の維持管理についてのお話しです。


典拠ファイル作成時には対象の図書を傍らに置いて作業をしていますが、作成後には手元を離れ、データのみが残ります。

しかし!
正確を期して日々励んでいますが、残念ながら、作成後に疑問が湧くことがあります。
「この漢字は誤入力していないか?」
「この人名、実は別の読み方をしている本があるのでは?」
「同姓同名の別人の著作が混ざっているんじゃないか?」
お問い合わせをきっかけに再検討したい典拠ファイルや、30~40年前に作成された典拠ファイルの再確認をしたい、なんてことも出てきます。


そんなとき、ファイル作成の元となった図書現物を確認するのが基本。データ部では現物主義を叩き込まれて育ちます。それゆえ、何か疑問点があれば「まずは図書を見て確認しよう」という展開になります。作成の元となった最初の図書だけではなく、2冊目、3冊目、場合によっては典拠ファイルにリンクしている図書全件が再調査の対象になることも。


目指す図書を求めて、あちらこちらの図書館へ出かけていきます。
国立国会図書館へ行けばほとんどの図書を閲覧できますが、なにせ閉架、1回の出納は3冊まで。ガンガン作業を進めたいとき、力強い味方となってくれるのはやはり公共図書館。個人利用のときはあまり意識しませんが、この時ばかりは図書の収集と保管、という図書館の意義を大いに感じます。また、いろいろな図書館で図書調査をするたび、図書館と一口に言ってもそれぞれに個性があるんだなと、図書館での発見が新鮮だったりします。


図書館での調査開始!
一度に大量の図書予約をしているとき、版違いで同じ本を借りようとしているとき、仕事以外では手に取らないようなジャンルの本を閲覧しているとき、ひたすら4情報源をコピーしているとき...ふと、自意識が邪魔をする。心が叫ぶ。「なんかへんな人ですみません!違うんです!仕事なんです!」。
個人で読みたい本を借りるだけでなく、研究や仕事など、さまざまな用途で図書館利用をされる方は多いと思いますので、これは自意識過剰以外の何物でもないですね(苦笑)。
貸出の大量の図書を前に「こちらすべて今日お持ち帰りになりますか?」など、図書館員の方にお声がけいただくこともあり、図書館現場でのこまやかな気遣いを感じたり(、自意識と戦ったり)しながら、粛々と調査を進めます。


このような図書の再調査、再検討を経て、修正が必要なものが見つかれば、典拠訂正などのメンテナンスが行われます。


個人的に思い出深い図書調査、典拠訂正ですと、大沢晶のカタカナ形訂正でしょうか。翻訳者としてハーレクイン小説の著作が多く、図書館で大量に貸出し、どのように読み方が表示されているかを1冊1冊確認しました。調査する図書の量が多かったことと、せっかくだから1冊読んでみようとハーレクイン初体験をしたりで、印象に残っています。
※大沢晶の典拠訂正については、TOOLi「お知らせ」の「個人名典拠特別訂正[訂正用データ]」内、2014年 10月(第4回)「個人名統一標目(読み)の一部訂正に伴うデータ修正のお願い」をご参照下さい。


書誌データや典拠ファイルは図書館で利用していただくもの。そんな当たり前のことが抜け落ちないよう、利用しやすいデータ作成を目指して、正確に、迅速に、柔軟に、日々取り組みたいと思う次第です。

2020年9月 9日

きょうのデータ部☆(9/9)

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本社中庭に出る扉には、「施錠確認」と書かれています。
お出かけした後で、「あれ?窓のカギ閉めたっけ?」となることはありませんか?
人間が集中して見ることができる範囲は、
なんと指先ほどしかないそうです。
駅員さんの指差し確認は理にかなっているんですね。
私も指差し確認で正確な目録作りを目指します!

2020年9月 7日

学校~新設件名のお知らせ2020年8月分~

先週発行の『週刊新刊全点案内』は、巻頭に「新設件名のお知らせ」を掲載しています。
新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。

2020年8月は5件の件名を新設しました。
うち1件に「フリースクール」がありました。


「フリースクール」は
子供の自主性と発言権の尊重を理念とする私的な学校。(途中略)
日本では、不登校や登校拒否の児童・生徒のために、学校外での学習や交流活動を組織・支援する施設をさす。(以下略)
<ジャパンナレッジ 日本大百科全書(ニッポニカ)>より引用


個々のフリースクールの図書はいくつか出版されていますが、

例:「癒やしの丘で 兵庫県立神出学園の不登校支援

神戸新聞総合出版センター(編)
神戸新聞総合出版センター(2016.10)


全国のフリースクールを紹介する本で現在も刊行されているものは
学びリンク刊「小中高・不登校生の居場所探し」の1冊。
学校案内はたくさんあるのに...意外でした。
こちらは2000年から毎年刊行されていて、最新版は2020年3月に出ています。


小中高・不登校生の居場所探し 2020~2021年版 全国フリースクールガイド」

学びリンク(2020.3)


参照語で「フリースペース」も作成しました。
なお「フリースクール」の件名は、TRCでは
不登校などの児童・生徒のために学校外での学習や交流活動を組織・支援する1990年代頃からの日本のフリースクールに用い
自由教育論、伝統的なフリースクールには「自由教育」を用いる、としています。

必要としている人に届けばいいなと思います。

2020年9月 8日

ダンボール

本日は「週刊新刊全点案内」2175号の発行日です。
掲載件数は935件でした。


*こんな本がありました*


7日間でできる世界一美しいダンボールクラフト

うぷあざ棟梁(著)
KADOKAWA(2020.9)


ダンボールで作るクラフト工作の本です。

初級編は「ブタの貯金箱」。ちゃんとお金を入れることも、取り出すこともできます。
中級編は鍵盤の蓋が開閉可能な「ピアノ型ペン立て」。
そして超上級編は「法隆寺三重塔」。かなりの難易度です。

どの作品もとても精巧で美しく、制作工程の写真も掲載されているので、見るだけでも楽しめます。

ちなみに著者の作品「BEA」(フランス航空事故調査局の建物)は、現在本物のフランス航空事故調査局のエントランスに飾られているとのこと。

「鬼滅の刃」伊之助のダンボールマスクを披露していた方もいらっしゃいましたが、ダンボール工作、流行っているのですね。

この本は作り方を解説した本ですが、作品集の本も見てみたいです。

2020年9月15日

わたしのなかの...

本日は「週刊新刊全点案内」2176号の発行日です。
掲載件数は1058件でした。


*こんな本がありました*

脳のなかのびっくり事典

こざきゆう(文)四本裕子(監修)加納徳博(絵)
ポプラ社(2020.9)


人体には不思議が多いですよね。
自分のことでもあるのに(!)わからないことだらけで、だからこそ興味が尽きないのかと思います。
この本は子ども向けに脳のはたらきを説明したもの。内容をいくつか見てみましょう。


「ヘルメットをかぶるだけで気が大きくなる」
「見たい夢を見ることができるかもしれない!」
「思いこみで食べ物の味が変わる」


どれも面白そうです。


「脳は自分からすすんでどんどんわすれようとする」


えっ。
...それはまずいのでは?
不安になりつつパラパラとページをめくると、どうやら「自分にとって必要な情報を取捨選択して記憶している」ということのよう。
一安心です。


なお、この本は第3弾として刊行されたもの。
第1弾・第2弾はこちらです。


からだのなかのびっくり事典

こざきゆう(文)奈良信雄(監修)加納徳博(絵)
ポプラ社(2018.12)

からだのなかのびっくり事典 もっと!!

こざきゆう(文)奈良信雄(監修)加納徳博(絵)
ポプラ社(2019.8)


最後にもうひとつ。
「水を1ぱい飲むだけで脳が元気になる!」
水を飲んで、午後の仕事も頑張ります。

2020年9月 4日

今日は何の日 ~9月4日は二宮金次郎の誕生日~

日本には実にさまざまな「○○の日」があります。
今日が何の日なのかを調べ、それに関するいろいろを紹介してしまおうというこの企画(不定期掲載)、本日は第14回目です。

お題をもらい、9月4日にまつわる出来事や人を調べていて、
1787年の今日(当時の暦で言うと天明7年7月23日)は二宮金次郎の誕生日だと知りました。

薪を背負い読書しながら歩く姿の像でよく知られている、
「報徳思想」を提唱した江戸時代後期の農政家・思想家です(実名:二宮尊徳)。

私が通っていた小学校にもいました、二宮金次郎...!
本が好きで、登下校中も本を読むのが止められない子どもだったので、"金次郎スタイル"には密かに親近感を抱いていた幼き頃の私。
(※危ないので良い子は真似をしないように)

いつだったか、どこかの県には本ではなくiPadを持っている金次郎がいるとTVで見て「ほぉ~イマドキ...」と感心したことがありました。
一方で、本を読みながら歩いている姿が歩きスマホを彷彿とさせ教育上よろしくないとの理由から座像になった金次郎もいるそうで、これまた「なるほど...」と考えさせられるニュースでした。

私の小学校にいた金次郎はご健在かしら?
そういえばあの本には何か字は書かれていたのかしら?
久しぶりに母校を訪ねてみたくなりました。

2020年9月 3日

時にはハードカバーで

9月の雑記テーマは「ダークな本」。
怖いもの、悪いもので魅力的な本をご紹介していきます。


このお題をいただいたのは8月上旬。
長かった梅雨が明けて本格的に暑くなってきた頃です。
この時期になると決まって思い出す本が、こちら。


屍鬼 上巻

小野 不由美 (著)
新潮社(1998.9)

猛暑に見舞われたある夏のこと、周囲から隔絶された村の日常は、謎の死が蔓延することによって静かに崩れていきます。
発見が遅れて腐乱した死体の凄惨な描写に、思わず目を覆いながら、でも怖いもの見たさでページをめくる手は止まりません。

表紙もまさにダーク。
暗闇から村をのぞき見るような構図は、「次は自分が死ぬのではないか」と疑心暗鬼になっていく村人たちが感じている、得体の知れない恐怖を物語っているかのよう。

初めて読んだときは、作中の舞台と同じ夏まっさかりでした。
クーラーがない部屋で汗をかきながら読んでいるのに、うすら寒くなったのが何年たっても忘れられないです。


ちなみに、この本の印象が強い理由はもう一つあります。

1998年にハードカバー上下巻で刊行された本作品は、2段組で上巻545p、下巻726pという大ボリュームなのです。
広辞苑級を2冊読破してひとつの村の終焉を見届けた達成感は、何物にも代えがたいものでした。

文庫版の5分冊では味わえない、重量を感じながら読むのも一興です。未読の方はハードカバーでぜひ!

2020年9月 2日

きょうのデータ部☆(9/2)

car.jpg

茗荷谷本社の駐車場は、高さ制限3メートルです。
じゅうぶん高いと思っていたのですが、ワゴン車や4tトラックなど、車種によっては2.5メートルほどの高さのものも。
秋の高い空を見上げつつ、車高の高い車を探してしまいそうです!

2020年9月 1日

理解のあり方を理解するために

今日は「週刊新刊全点案内」2173号の発行日です。
掲載件数は1272件でした。


*こんな本がありました*


生命(いのち)を理解する心の発達」

外山/紀子(著)
ちとせプレス(2020.7)


発達心理学は子どもの心がどんな段階を経て育ち、知性や感情、能力などがどうやって発達していくかを研究する分野ですが、本書はなかでも子どものもつ「素朴生物学」が主題。
子どもが生命にまつわる現象をどのように理解しているか、たくさんの詳細な研究を積み重ねて明らかにしていきます。

例えば「怪我はうつらないけど、病気にはうつるものとうつらないものがある」という理解はどんな風に成立していくか? 遺伝で決まりやすい性質と、環境によって決まりやすい性質の区別は年齢によって変わるか? など、様々なトピックが取り上げられています。
子どもの発達段階によって成長、病気、遺伝などに関する捉え方が変化していく様子は非常に興味深いです。

子どもだけでなく、大人が生命をどのように理解しているかも取り上げているため、大人と子どもの認識の共通点、大人になっても素朴な理解を抱いている一面など、意外な発見もたくさんありそうです。

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