個人名典拠ファイルただいま約125万件、団体名典拠ファイル約28万件。今回は典拠ファイル作成後の維持管理についてのお話しです。
典拠ファイル作成時には対象の図書を傍らに置いて作業をしていますが、作成後には手元を離れ、データのみが残ります。
しかし!
正確を期して日々励んでいますが、残念ながら、作成後に疑問が湧くことがあります。
「この漢字は誤入力していないか?」
「この人名、実は別の読み方をしている本があるのでは?」
「同姓同名の別人の著作が混ざっているんじゃないか?」
お問い合わせをきっかけに再検討したい典拠ファイルや、30~40年前に作成された典拠ファイルの再確認をしたい、なんてことも出てきます。
そんなとき、ファイル作成の元となった図書現物を確認するのが基本。データ部では現物主義を叩き込まれて育ちます。それゆえ、何か疑問点があれば「まずは図書を見て確認しよう」という展開になります。作成の元となった最初の図書だけではなく、2冊目、3冊目、場合によっては典拠ファイルにリンクしている図書全件が再調査の対象になることも。
目指す図書を求めて、あちらこちらの図書館へ出かけていきます。
国立国会図書館へ行けばほとんどの図書を閲覧できますが、なにせ閉架、1回の出納は3冊まで。ガンガン作業を進めたいとき、力強い味方となってくれるのはやはり公共図書館。個人利用のときはあまり意識しませんが、この時ばかりは図書の収集と保管、という図書館の意義を大いに感じます。また、いろいろな図書館で図書調査をするたび、図書館と一口に言ってもそれぞれに個性があるんだなと、図書館での発見が新鮮だったりします。
図書館での調査開始!
一度に大量の図書予約をしているとき、版違いで同じ本を借りようとしているとき、仕事以外では手に取らないようなジャンルの本を閲覧しているとき、ひたすら4情報源をコピーしているとき...ふと、自意識が邪魔をする。心が叫ぶ。「なんかへんな人ですみません!違うんです!仕事なんです!」。
個人で読みたい本を借りるだけでなく、研究や仕事など、さまざまな用途で図書館利用をされる方は多いと思いますので、これは自意識過剰以外の何物でもないですね(苦笑)。
貸出の大量の図書を前に「こちらすべて今日お持ち帰りになりますか?」など、図書館員の方にお声がけいただくこともあり、図書館現場でのこまやかな気遣いを感じたり(、自意識と戦ったり)しながら、粛々と調査を進めます。
このような図書の再調査、再検討を経て、修正が必要なものが見つかれば、典拠訂正などのメンテナンスが行われます。
個人的に思い出深い図書調査、典拠訂正ですと、大沢晶のカタカナ形訂正でしょうか。翻訳者としてハーレクイン小説の著作が多く、図書館で大量に貸出し、どのように読み方が表示されているかを1冊1冊確認しました。調査する図書の量が多かったことと、せっかくだから1冊読んでみようとハーレクイン初体験をしたりで、印象に残っています。
※大沢晶の典拠訂正については、TOOLi「お知らせ」の「個人名典拠特別訂正[訂正用データ]」内、2014年 10月(第4回)「個人名統一標目(読み)の一部訂正に伴うデータ修正のお願い」をご参照下さい。
書誌データや典拠ファイルは図書館で利用していただくもの。そんな当たり前のことが抜け落ちないよう、利用しやすいデータ作成を目指して、正確に、迅速に、柔軟に、日々取り組みたいと思う次第です。