9月の雑記テーマは「ダークな本」。
怖いもの、悪いもので魅力的な本をご紹介いたします。
約4年前、富山県の黒部ダムの見学ツアーに参加しました。
関西電力の保守道を特別に通ることができる予約制のもので、ヘルメットを被っての見学会はとても印象深いものでした。
途中で案内係のかたが、1冊の文庫本を掲げて、読んでみてくださいと紹介してくれました。
「高熱隧道 改版 」
(新潮文庫)
帰宅して早速読んでみましたが(薦められたらわりと素直に何でも読むタイプ)、記録文学というジャンルをはじめて意識しました。
事件や事実に基づいた文学作品のことで、「高熱隧道」の作者である吉村昭がその代表ともいえるようです。
作品は黒部川第三発電所(1936年着工)のトンネル工事を題材にしたもの。話の中で人がどんどん亡くなっていき、フィクションではない現実の自然の厳しさ、極限状態におかれた人間の狂気や心の闇がもう恐ろしくて恐ろしくて、読了後震えあがってぐったり疲れるぐらい影響されてしまいました。
「赤い人 新装版」
(講談社文庫)
こちらも続けて読んでみましたが、明治時代に北海道開拓にあたらされた囚人たちの話。
タイトルは囚人服の赤い色からきています。
震えます。
未だに読めていないのが「羆嵐」。
「羆嵐 改版」
(新潮文庫)
「熊」じゃなくて「羆」の字なのがまず怖い。
獣害事件として再現ドラマになったものを以前に見てしまい、怖気づいてどうしてもまだ手が出せないでいます。