◆データぶー子の典拠クイズ◆
Q:漢字・カナともに同姓同名の人名が複数存在する場合はどうしますか?
(答えは文中で発表)
こんにちは!
パソコンで自分の名前を検索してみたことってありますか?
同じ名前の人...結構いるものです。
でもワタクシ、「データぶー子」と同じ名前を持つ者はいなかったケド...。
ところでこういった、「同じ名前で違う人」。
典拠の場合はどうなのでしょう。
前回、典拠ファイルの統一標目は漢字形とヨミガナ形とID番号で成り立っているとお話しました。
「同じ漢字、同じヨミガナの著者が出てきたらどうするか」
これは、典拠ファイルの件数が多くなると、当然発生する問題です。
この場合、2番目に出てきた著者の見出しにちょっとした工夫をします。
1番目の人と違う、というのがすぐにわかるように、名前のうしろに言葉を補うのです。
それは、たとえばその人の生まれた年であったり、専門分野だったりします。(注)
実際の例。
小森/陽一 コモリ,ヨウイチ
小森/陽一(漫画原作) コモリ,ヨウイチ
上の小森さんは東大の教授で日本文学が専門。下の小森さんは人気コミック「海猿」の原作者。これくらいジャンルが違えば、日々鍛えられている典拠のメンバーのこと、同名異人を混同することはまずありません。
しかし、図書に著者紹介がなかったり、書いているジャンルが近かったりすると、とても迷います。
こういった場合、前に書いた本の分類は何か、図書以外の参考資料に経歴はでていないか、いろんな角度から検討します。
それでもわからなかったときは、最後の手段。出版社に電話して、「この本を書かれた○○さんは、以前こういった本を別の出版社から出したことがありますでしょうか?」といったように確認をとったりしています。
注:個人情報保護の観点から、生まれた年は、その図書か参考資料等に公開されているものに限定しています。出版社に問い合わせしたときは、公開の可否を確認しています。
生没年あるいは職業、専門分野、世系などで区別する、というのは「日本目録規則」の規定によります。
というわけで冒頭のクイズの答えは
A:判別のため、生没年・職業・専門分野等で区別する!
でした。
このように区別すると何が便利なのでしょうか?
それは検索する人が望む方の小森/陽一を一発で探し出せるということです。
例えば、TOOLiのMARC検索画面でただ単に小森/陽一を検索KEYとした場合、「いま、憲法の魂を選びとる」「ザ・ラストメッセージ海猿」「漱石論」「天神」...などなど、大学教授と漫画原作者のMARCがまとめて出てきます。
しかし典拠検索画面上で小森/陽一で検索すれば、この二人の典拠ファイルがまず表示されるため、検索した人は、自分の探したい方の小森/陽一を選択すると、その人の著作だけを切り分けて見ることができます。
逆に言うと、
典拠ファイルがなければ同姓同名の人名を区別して検索することはできないのです。
(2007年2月26日/ 2007年12月28日掲載の記事より)