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マイケル・ジャクソンは「世界ビール大全」を書いたか?

MARC MANIAX典拠ファイル第8回は同姓同名です。
誰もがパソコンで一度は検索してみるもの、それは自分の名前ではないでしょうか?ご多分にもれず私もやってみました。どうも京都にある病院に勤める方で同じ名前の方がいるようです。

さて、タイトルです。
問題形式になっていますが、答えはYES。あのミュージシャンはこんな趣味もあるのかとびっくりされる方もいらっしゃるでしょうが、それは違います。TRC MARCにはマイケル・ジャクソンという人が2名いるのです。今回のお題、同姓同名に登場していただくのは二人のマイケル・ジャクソン。ファンの方もそうでない方も、まずはご一読ください。

典拠ファイルでは、漢字形とカナ形を対にして固有の形とします。漢字形が同じでも、カナ形が違う場合には標目限定語は付けません。どちらも全く同じ人が二人以上いるときは、後から出たほうの人に、区別のために標目限定語というものを付けます。
二人のマイケル・ジャクソンは、典拠ファイルではこのようになっています。

《典拠ID》    120000143230000
《漢字形》    Jackson,Michael
《カナ形》    ジャクソン,マイケル
《参考生没年》    1942~2007
《職業・専門等》    ビール評論家,アメリカン・ホームブルーワーズ協会顧問,CAMRA運動,ルポライター,編集者 

《典拠ID》    120000143240000
《漢字形》    Jackson,Michael
《カナ形》    ジャクソン,マイケル
《標目限定語・生没年》 1958~
《職業・専門等》    歌手,本名:Jackson,Michael Jesep,元・「ジャクソンファイブ」メンバー

ところでこの標目限定語という、またも堅苦しい名前について少し説明を。
標目限定語には2種類あって、生没年と専門、世系等に分かれています。優先順位としては、まず生没年(生年だけのものが多いです)がわかれば生没年を、わからなければ専門、世系等をつけることになっています。

そして、ここが重要なのですが、同姓同名の人物が二人以上いるとき、というよりはむしろ、ある人物と漢字形カナ形が全く同じ人物が出てきたときに、新しく出た人の方に標目限定語をつける、ということです。

有名じゃない人に標目限定語をつければいいんじゃない?と軽~くおっしゃる方もいそうですが、有名な人から順にTRC MARCに出てくるとは限らないということが問題です。典拠ファイルはあくまでTRC MARCに出てきた人物に限って作成しているので、たとえニュースを騒がせている政治家であろうと、オリコンチャートでトップをとる歌手であろうと、TRC MARCになければファイルもなし。人名事典などと決定的に違うのがこの点です。

それでは典拠ファイルの中身をご覧ください。


アンダーラインの部分、どちらも生没年が入っています。違うのは項目の名前で、参考生没年か標目限定語・生没年かというだけです。典拠ファイルではどちらでも大した違いがないように見えますが、実はTRC MARCに現れる形が大きく違います。
まずは参考生没年のあるマイケル・ジャクソンから。

《タイトル》 世界ビール大全
《著者》     マイケル・ジャクソン//著
《著者ヨミ》  ジャクソン,マイケル
《原綴》       Jackson,Michael

次は標目限定語・生没年のあるマイケル・ジャクソン。
《タイトル》  スリラー
《著者》      マイケル・ジャクソン//歌
《著者ヨミ》   ジャクソン,マイケル
《原綴》        Jackson,Michael
《標目限定語・生没年》 1958~

ミュージシャンのマイケル・ジャクソンがTRC MARC上に出てくるときには、必ず1958~が付いてくるのです。

こうすると何が便利なのか?
それは検索する人が望む方のマイケル・ジャクソンだけを一発で探し出せること。たとえばTOOL-iのMARC検索画面でマイケル・ジャクソンを検索KEYとした場合、ビール評論家とミュージシャンのMARCがまとめて出てきます。たとえばこんな感じになります。「世界のビール案内」「マイケル・ジャクソンの地ビールの世界」「ダンシング・ザ・ドリーム」「世界のウイスキー」「ムーンウォーク」・・・。
しかし典拠検索画面でマイケル・ジャクソンで検索すれば、この二人の典拠ファイルがまず表示されるので、検索した人は、自分の探したい方のマイケル・ジャクソンを選択すると、その人の著作だけを切り分けて見ることができます。標目限定語といわれる所以ですね。同じ漢字形とカナ形の場合には、もう一つの要素を加えることで、どちらかに限定できる、ということです。

昨今の社会保険庁の入力ミス、たとえば漢字だけで管理している時代とカナだけで管理している時代があったとか、生年月日を丸めて入力していたとか、入力する人がカナを勝手に推定していたとか、そんな話を聞くたび、いまさら名寄せ作業をするのはさぞかし大変だと思います。というより、仕事以外で名寄せという言葉を聞いたことがなかったので、ニュースで連日のように聞いたときには変な感慨があったものです。しかしある意味で同じような作業をしているもの同士、その大変さが実感できるだけにちょっと同情したりもしました。

けれどそれは過去のつけというものです。私たちも、同姓同名の別人なのか、本当は前に出てきた人と同じ人ではないのか、と典拠ファイルを作るときにはものすごく悩むものもあります。それでも同一人か別人かを1件ずつ判断していくその細かい作業の積み重ねがあってはじめて、典拠ファイルは有効に機能するのですから。

最後にクイズです。
「新家」という姓には、5通りの読みかたがあります。さあて、なんと読むのでしょうか。(社会保険庁の人が、どうして推定で読んでしまえばいいと思ったのか、こういう名前を見ると、理解に苦しみます。)

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