~典拠ファイル・2~
さて、MARC MANIAX第2回目の今回はこの人を例にして、典拠ファイルの隅から隅までご紹介します。先だって公募により新しい芸名が決定した林家木久蔵さんです。長くなるので2つに分けます。
《典拠ID》 11000080826-0000
《漢字形》 林家/木久蔵
《カタカナ形》 ハヤシヤ,キクゾウ
《標目限定語(生没年)》
《標目限定語(専門・世系等)》 1代目
《参考生没年》 1937〜
《職業・専門等》 落語家,本名:豊田洋,2007年9月林家木久扇襲名
《著者紹介》 1937年東京生まれ。都立中野工業高校食品化学科卒業。60年落語家・三代目桂三木助門下に入門。三木助没後、八代目林家正蔵門下に移り林家木久蔵となる。73年真打昇進。
《典拠ID》
典拠ファイルに振られる固有の番号。しかしただの数字の羅列ではありません。数字の位置によりそれぞれ意味があるのです。
■1桁目は典拠種別。「1」は人名を表します
■2桁目はデータ種別。「1」は東洋人、「2」は西洋人です
つまり、典拠IDの先頭2桁が11だったら東洋人、12だったら西洋人のファイルということです。
■3~11桁目は個別ナンバー。作られた順にだんだん数が大きくなります。
■12~15桁目の4桁は形態番号といいまして、ここの数字でそのファイルが統一形か記述形か参照形か見分けることができます。
0000は統一形。0001~4000が実際に図書に表示された形として現れたもの(記述形)。4001以降は直接参照となります。
《漢字形》
統一標目(見出し)がここに入ります。漢字形となっていますが、統一標目がひらがなであればひらがな、欧文の形であれば欧文で書かれます。
林家/木久蔵のように姓と名の間は/(スラッシュ)で区切られます。
姓名の形ではない人はスラッシュは入りません。例:ビートたけし
《カタカナ形》
統一標目のよみがなが入ります。
ハヤシヤ,キクゾウのように姓と名の間は,(カンマ)で区切られます。
姓名の形でない人はスペースでわかちします。例:ビート タケシ
《標目限定語(生没年)》
《標目限定語(専門・世系等)》
この二つはまとめて解説します。
「人名典拠ファイル第3回」で簡単にふれたように、同姓同名の区別はここに生没年や専門分野を入れることで行います。生没年がわかれば標目限定語(生没年)に生没年を、わからなかったときは標目限定語(専門・世系等)にその個人を識別できるような単語を入れます。
例:鈴木/博
鈴木/博(1949~)
鈴木/博(1949~ 経営学)
鈴木/博(フリーライター)
☆MANIAX POINT☆
ここからさらにマニアックな解説をします。《標目限定語(専門・世系等)》に1代目とあります。林家/木久蔵(1代目)ということなのですが、実はこの「1代目」、ついこのあいだまでは入っていませんでした。
息子である林家きくおさんが2代目林家木久蔵名義で本を出し、林家/木久蔵(2代目)が出現したため、林家/木久蔵から林家/木久蔵(1代目)に修正。「1代目」を追加したのです。
実際に襲名をするのは今年の9月。本が出たのは5月。気の早いことです。
《参考生没年》
標目限定語(生没年)に入れる必要がなくても、図書に書いてある、あるいは公刊された資料類にある場合、ここに生没年を入力します。
《職業・専門等》
そのものズバリ、職業、肩書、専門分野を入れるところです。
研究者の例:お茶の水女子大・理・教授,専:数論,エッセイスト
作家の例:小説家,元・整形外科講師
いろいろ肩書のある例:千葉県農業信用基金協会・所属,NPO環境国際総合機構・座長,元・千葉農林振興センター・所長
などなど。木久蔵さんのように、本名、別名、改名情報もここに入れます。
《著者紹介》
ここに入る著者紹介は、普段MARC上で見られる著者紹介と同じものです。
図書にある最新の情報から簡潔に紹介しています。
典拠ファイルの「職業・専門等」の肩書は作られたときのものなので、著者紹介の肩書の方が新しいものだったりすることもあります。
この、「職業・専門等」と「著者紹介」が同じ人かどうか、別人かどうか判断するのに役立つ部分です。なので、最初に「職業・専門等」欄に経歴を入力するときは、区別がしやすい情報をいかにうまくまとめられるかがポイントとなるのです。