先週、典拠ファイルの統一標目は漢字形とヨミガナ形とID番号で成り立っているとお話しました。
典拠ファイルの件数が多くなると、当然発生する問題があります。
それは「同じ漢字、同じヨミガナの著者が出てきたらどうするか」ということ。
この場合、2番目に出てきた著者の見出しにちょっとした工夫をします。
1番目の人と違う、というのがすぐにわかるように、名前のうしろに言葉を補うのです。
それは、たとえばその人の生まれた年であったり、専門分野だったりします。(注)
実際の例。
小森/陽一 コモリ,ヨウイチ
小森/陽一(漫画原作) コモリ,ヨウイチ
上の小森さんは東大の教授で日本文学が専門。下の小森さんは人気コミック「海猿」の原作者。これくらいジャンルが違えば、日々鍛えられている典拠のメンバーのこと、同名異人を混同することはまずありません。
しかし、図書に著者紹介がなかったり、書いているジャンルが近かったりすると、とても迷います。
こういった場合、前に書いた本の分類は何か、図書以外の参考資料に経歴はでていないか、いろんな角度から検討します。
それでもわからなかったときは、最後の手段。出版社に電話して、「この本を書かれた○○さんは、以前こういった本を別の出版社から出したことがありますでしょうか?」といったように確認をとったりしています。
注:個人情報保護の観点から、生まれた年は、その図書か参考資料等に公開されているものに限定しています。出版社に問い合わせしたときも、公開の可否をきちんと確認しています。
生没年あるいは職業、専門分野、世系などで区別する、というのは「日本目録規則」の規定によります。
企画記事:人名典拠