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背ラベルのあの文字の話 典拠ファイル版

「MARC MANIAX典拠」第12回目です。
今回はMARC MANIAX目録第8回でも取り上げた図書記号のお話です。
皆さんは、図書館で本を探すとき、背ラベルを頼りに本を探すことは、あまりないかもしれません。でも、本を戻す際には、背ラベルをまじまじと見ることもありますよね。
そんな時、「あれ?どうしてシュピリなのに、スの記号?」と思ったりすることがあるかもしれません。

同じ著者の図書はなるべく一か所に集めたいということから、カナ読みの統一をしているのでラベルのカナと本に書いてある著者の名前が不一致なんてことは、実はよくあることなのです。

先日、絵本「ゆかいなかえる
(ジュリエット・ケペシュ著 石井桃子訳 1964刊 90刷)
の奥付に、こんな説明がありました。
“今まで著者名をキープスとしていましたが、ケペシュと表記するほうが本来の発音に近いと判断し、90刷より変更”

この場合、典拠ファイルは以下のようになります。(MARC MANIAX典拠11回参照)
12000015463‐0000 Kepes,Juliet キープス,ジュリエット
12000015463‐0001 ジュリエット・キープス
12000015463‐0002 ジュリエット・ケペシュ ← 今回作成
今回の図書がケペシュでも図書記号は「キ」となり、同じ棚に並びます。

確かに今では、西洋人も東洋人も発音に近いカナで書かれているものが多くなりましたが、昔の本は、発音からは程遠いカナで、書かれていることが多かったかもしれませんね。

こんなふうに、同じ人のヨミがまちまちなら、同じ綴りの別人も、典拠ファイルをながめると、いろいろなヨミ方があることに気づきます。
姓 Weirのヨミ:ワイア・ワイヤー・ウィヤー・ウェアー・ヴィア・ウィーアなど
言語が違えば、発音もやはり違ってきます。

今でも、あまりなじみのない言語の翻訳本の著者に、カナ読みがなかった場合、累積ファイルやWebを参考にしています。それでもわからず、ほとほと困った時は、出版者に聞くこともあります。
あらゆる言語が翻訳出版されていますので、「ン」ではじまる名前の人もいます。
東洋人
11000038226‐0000 ン,ブンヒョン 黄/文雄
11000266934‐0000 ン,インテ   黄/英哲 
11000303043‐0000 ン,シンリン  呉/倩蓮    
西洋人
12000151298‐0000 ンゴイ,チロンボ          Ngoi,Tshilombo
12000162267‐0000 ンドゥール,ユッスー        N’Dour,Youssou
12000180682‐0000 ンデゲオチェロ,ミシェル Ndegeocello,Me’Shell
12000189379‐0000 
ンゲームンガーム,チャルームサック Ngemngam,Chaleumsak
12000230816‐0000 ンディアイ,マリー         NDiaye,Marie
上記の西洋人はザイール・セネガル・アメリカ・タイ人…他にもいろいろあります。

余談ですが、登場人物にカタカナの長い名前がたくさんでてきて、最後まで読みきれなかった子どもの頃を思い出しました。ハリー・ポッターをすらすら読んでしまう今の子は、ハーマイオニーとミス・グレンジャーを別人とは思わないのでしょうか…。

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