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ナゾの分類出現?と思ったら~NDCその3

MARC MANIAX分類/件名 第3回。前2回は「まにあっくす」というわりに簡単すぎたよ!というお叱りの声が届いておりますが...(嘘です)、今回はもう少しマニアックに『日本十進分類法(以下NDC)』を見ていきたいと思います。

まずは前回のクイズの答えから。
Q. 121.6は何を表す分類でしょうか?
A. "近代の日本思想"を表す分類です。分解してみますと"哲学(1)-東洋思想(2)-日本(1)-近代(6)"となります。

NDCの細目表(分類記号の一覧表)を見ればのっていますから簡単ですよね。
...ん?細目表にのっているから? じゃあひょっとして"細目表にのっていない分類"というものもあるのかしら?
はい。今回はそのお話をしたいと思います。


細目表にのっていない分類が出現したとき、考えられるのは以下の3つの場合です。



★一般補助表の使用
補助表とは、ある主題を細目表によって表現し尽くせないとき、細目表の分類記号に付加してそれを補う補助的分類表(NDC新訂9版<本表編>「解説」2.7補助表の項より)。
補助表のなかで一つ以上の類で共通して使用可能な補助表を「一般補助表」と呼び、以下の6種があります。

a.形式区分
図書の形式を表す区分。
1~8までに意味を持たせてあり、1は理論、2は歴史、3は参考図書、4は論集、5は逐次刊行物(雑誌)、6は団体、7は教育、8は全集を表す。
原則として全ての分類に対し0を付けて使用可能。例えば日本史年表を表す分類は210(日本史)+032(年表を表す形式区分)で210.032となる。
ただしTRC MARCでは、細目表上に指示がなければ4桁以上の分類には使用していない。また細目表に特別の指示があればそれに従う。例えば公害(519)の歴史は519.02ではなく519.2となる。

b.地理区分
地理を表す区分。地理区分は2類の展開と共通で、1は日本、2はアジア、3はヨーロッパ...となっている。
原則として全ての分類において形式区分02(歴史)に続けて使用することが可能。例えばドイツの医療史を表す分類は498(医療)+02(歴史を表す形式区分)+34(ドイツを表す地理区分)で498.0234となる。ただし細目表上で特別な地理区分を定めている場合は使用できない。

c.海洋区分
海洋気象誌(451.24),海洋誌(452.2),海図集(557.78)の分類に限って使用する。この分類ではbの地理区分は使用しない。

d.言語共通区分
8類(言語)で使用する、言語学の区分。例えば5は文法を表す言語共通区分であり、デンマーク語の文法は849.7(デンマーク語)+5(文法を表す言語共通区分)で849.75となる。

e.言語区分
9類(文学)で使用。8類(言語)の分類記号から冒頭の8を除いたものを、9の後に付加して、各国語の文学を表す分類記号とする。例えばデンマーク語文学は9 + 497(デンマーク語から8を除いた記号)で949.7となる。

f.文学共通区分
9類(文学)の各言語の文学のもとで、文学形式を表す区分。例えば3は小説・物語を表す文学共通区分であり、デンマーク語文学の物語は949.7(デンマーク語文学)+3(小説・物語を表す文学共通区分)で949.73となる。アンデルセン作の物語はこの分類。


★固有補助表の使用
「固有補助表」とは、一つの類の一部分でのみ使用される補助表。細目表の該当する分類の箇所に記載されています。
固有補助表は、a)神道各教派(178)、b)仏教各教派(188)、c)キリスト教各教派(198)、d)各国・各地域の地理・地誌・紀行(291~297)、e)技術・工学(510~589)、f)写真を除く各美術の図集(700~739,750~759)の6種があります。
ただしTRC MARCでは、上記のうちdは元の分類が3桁までの場合のみ使用、eは細目表上に記載があるもののみ使用しています。


★補遺の使用
じつは新訂9版の刊行後に追加された分類もあります。
新訂9版が刊行されたのは1995年でしたから、例えば21世紀の世界史(209.8)などが追加されました。詳しくは日本図書館協会のサイトに掲載されています。


...ふう。字ばっかりの記事に長々とお付き合いいただきありがとうございました。
NDCのお話はひとまずここまでです。

余談ですが。
以前会社の飲み会で、自宅の本をどうやって整理・収納しているかという話題になったとき(仕事柄本好きな人間のあつまりなので共通の関心事なのです)、同じ部署の先輩がサラリと「うちは分類順に並べているよ」と発言されてショーゲキを受けました。翻って我が家は......。分類に携わる者としてかくありたい、と思った出来事でした。(いまだに実現してないけど)

次回は分類を助けて活躍する「別置記号」のお話です。

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