1月の木曜日のテーマは「冬の花」。
10代のころ、山形県の豪雪地帯に住んでいました。冬になれば延々と雪が降り続き、何もかもが雪に覆われてしまうような山奥です。除雪車が通ったあとの道路だけはかろうじて顔を出していますが、その両側は除雪車が掃き出した雪で、2メートル近くのぶ厚い壁ができあがっています。朝起きて雪かきした玄関まわりや生活通路も、一晩たてばまた元通り。そんな場所ですから、雪が解けはじめる4月頃まで、身の周りで自然の花を見かけることはありません。草花たちは、雪の下で、その下の土の中で、忍耐強く春の訪れを待っています。
そんな真冬の豪雪地帯にも、雲ひとつなく晴れわたる日があります。そして、そんな日の朝は、ごく稀に、ある自然現象が見られることがあります。大気中の水蒸気が冷やされて結晶となり、それが太陽の光をうけてキラキラと輝く、ダイヤモンドダストです。青空と雪景色の鮮やかなコントラスト。そこに降り注ぐ無数の光の粒。細かな花吹雪のようにも見える、幻想的で神々しい風景。ダイヤモンドダストを初めて見た時の驚きと感動は、今も忘れられません。
ダイヤモンドダストは、大気中の微細な氷の結晶(氷晶)が光に反射して輝く現象ですが、その小さな氷晶が結合して大きく育ったものが、雪の結晶です。雪の結晶にはさまざまな形状がありますが、もっとも多いのが星のかたちをした樹枝状結晶で、その仲間である「樹枝六花」や「星六花」などは、名前の通り、まさに花の形をしています。
件名の「雪」と「結晶」を掛け合わせ検索すると、雪の結晶に関する本を探すことができます。
あすなろ書房(2009.11)
子ども向け絵本ですが、どのように雪の結晶ができるのかがわかりやすく書かれていて、大人でも楽しめる一冊です。
北海道新聞社(2011.12)
世界中の雪の結晶を偏光顕微鏡で撮影した本です。写真だけ見ると宝石図鑑のよう。本格的な図鑑です。
顕微鏡レベルで見ると雪の美しさにうっとりしますが、現実の雪国生活はやはり大変なもの。私が住んでいた地域では、春の訪れを最初に告げるのはカタクリの花。なので、カタクリが咲く日を誰もが心待ちにしています。
TRC本社がある東京も、1月に入ってぐっと冷え込みました。
ほとんど雪が降らなくても、やっぱり春は待ち遠しいものですね。