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明治時代の裁縫書

本日は「週刊新刊全点案内」1938号の発行日です。
掲載件数は916件でした。


*こんな本がありました*

図書館以外ではなかなかお目にかかれない本と出会えるのも、この仕事の面白いところです。

近代衣服書集成 第9巻~第16巻

増田美子(編・解説)
クレス出版(2015.10)

明治~昭和前期(戦前)に刊行された服飾関係書・裁縫書を復刻集成したもので、第9巻~第16巻には裁縫のテキストがまとめられています。
第9巻が和裁、第10~16巻が洋裁のテキストという構成。

*リンク先の「収録作品一覧へ」をクリックすると目次が見られます

昔のみっちりした活字なので読むのはちょっと大変...ですが、裁縫書だけあってどの本もがんばって図解を入れているので、時代とともに変わる装いを興味深く見ることができます。

まず明治初期。洋裁書の中心は紳士服で、ジャケットやフロックコートの作り方が詳しく解説されています。図解のモデルが口髭を蓄えた西洋風の紳士なのも面白い。ファッション本に外国人モデルを使うのはこの頃からなのですね(写真じゃなくて絵ですが)。
婦人服は、スカートの後ろが膨らんだバッスルスタイルのドレス(よく明治の錦絵で見るスタイル)...まだまだ庶民が洋服を着る時代ではなく、作るのもプロの方でしょう。

明治20年になると編み物の本が登場。作例は守り袋、巾着、帽子など...しぶい。

明治も後期になると、子ども服のテキストも出てきますが、デザインは小公子小公女風。良家のお子様向けなかんじです。ミシンのテキストもこの頃から登場。

大正時代になると、ローウエストのワンピース(モガ!)が登場し、子ども服もスッキリしたシャツやセーラー服、動きやすそうなワンピースなど日常使いのかわいいデザインに。大正から昭和初期にかけてはデザインも豊富になって、洋装が浸透していく様子がうかがえます。昭和16年になると国民服といった戦時色のあるテキストも出てきます。

数年前の朝ドラ「カーネーション」が、ちょうどこんな服飾史をたどっていたなぁと思い出しました。幼少期に「どれむ(ドレス)」にあこがれ、ミシンのかっこよさに惹かれて洋裁師を目指したヒロイン糸子は、こんな裁縫書で勉強したのかもしれません。

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