« ASが引っ越しました! | メイン | きょうのデータ部☆(11/11) »

明治時代の裁縫書

本日は「週刊新刊全点案内」1938号の発行日です。
掲載件数は916件でした。


*こんな本がありました*

図書館以外ではなかなかお目にかかれない本と出会えるのも、この仕事の面白いところです。

「近代衣服書集成 第9巻~第16巻」

増田美子(編・解説)
クレス出版(2015.10)

明治~昭和前期(戦前)に刊行された服飾関係書・裁縫書を復刻集成したもので、第9巻~第16巻には裁縫のテキストがまとめられています。第9巻が和裁、第10~16巻が洋裁のテキストという構成。

昔のみっちりした活字なので読むのはちょっと大変...ですが、裁縫書だけあってどの本もがんばって図解を入れているので、時代とともに変わる装いを興味深く見ることができます。

まず明治初期。洋裁書の中心は紳士服で、ジャケットやフロックコートの作り方が詳しく解説されています。図解のモデルが口髭を蓄えた西洋風の紳士なのも面白い。ファッション本に外国人モデルを使うのはこの頃からなのですね(写真じゃなくて絵ですが)。
婦人服は、スカートの後ろが膨らんだバッスルスタイルのドレス(よく明治の錦絵で見るスタイル)...まだまだ庶民が洋服を着る時代ではなく、作るのもプロの方でしょう。

明治20年になると編み物の本が登場。作例は守り袋、巾着、帽子など...しぶい。

明治も後期になると、子ども服のテキストも出てきますが、デザインは小公子小公女風。良家のお子様向けなかんじです。ミシンのテキストもこの頃から登場。

大正時代になると、ローウエストのワンピース(モガ!)が登場し、子ども服もスッキリしたシャツやセーラー服、動きやすそうなワンピースなど日常使いのかわいいデザインに。大正から昭和初期にかけてはデザインも豊富になって、洋装が浸透していく様子がうかがえます。昭和16年になると国民服といった戦時色のあるテキストも出てきます。

数年前の朝ドラ「カーネーション」が、ちょうどこんな服飾史をたどっていたなぁと思い出しました。幼少期に「どれむ(ドレス)」にあこがれ、ミシンのかっこよさに惹かれて洋裁師を目指したヒロイン糸子は、こんな裁縫書で勉強したのかもしれません。

コメントを投稿

(投稿されたコメントは、TRCデータ部の営業時間内にアップいたします。投稿から掲載までお待ちいただく場合がありますがご了承ください。なお、メールアドレスはTRCデータ部から直接ご連絡する場合にのみ使用いたします。第三者への公開・提供はいたしません。)

2024年7月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

アーカイブ

全てのエントリーの一覧

リンク