4月木曜のブログテーマは「古典」です。
今回は中高生のころにであった古典作品から
私の好きな言葉をいくつかご紹介いたします。
春ですね。
この季節に思い浮かぶのは
春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは
枕草子です。
国語の授業で
先生が「山ぎは」と「山のは」の違いを説明してくれました。
山ぎは は 山際。山の稜線が接している空の部分。
山のは は 山の端。山の稜線。
「山際 は 山のことではなくて空のことをいっています。
だんだん夜が明けて 白く明るくなってくる空、ということですね。
それに対して 山の端 は 山のことをいっています。
菜の花畑に入り日薄れ の歌詞で始まる
おぼろ月夜 という歌があるでしょう。
そのなかに出てくる
見渡す山の端 霞ふかし は
山の稜線に霞がかかっている、という情景なのですよ」
聞きながら 日本の春の風景が
スライドのように次々と浮かんだことを思い出します。
それ以来 私の中の春の季語(?)は 「山際」と「山の端」。
季節を表す言葉ではないのですけどね。
音の面白さで好きなのは
「ひいふっとぞ射切ったる」の「ひいふっと」。
平家物語、那須与一が出てきて扇を射る話、
くらいしか覚えていないのに
この「ひいふっと」は鮮やかに記憶に残っています。
弓道部出身のデータ部員に聞いたところ、
弓の弦が鳴る音は弦音(つるね)、
矢が飛んでいくさまは矢勢(やぜい)というそうです。
弓道用語、音の響きが美しいですね。
そして今でも使うのは
たすけよやねこまたよやねこまたよや
徒然草に登場する愉快なキャラクター・仁和寺の法師が言い放ったこの言葉、
しばらく同級生の間で流行りました。
先生に突然あてられて「助けよや」。
びっくりすると意味もなく「猫またよや」。
助けを求めていながら、
なんとはなしに漂う軽妙さと滑稽さ。
その場に明るさと笑いをもたらす言葉です。
学び舎を離れて長くなる私ですが
今でも何かにゆきづまると
「たすけよや」とつぶやいてみたりするのでした。