9月の雑記、テーマは「手紙」です。
「手紙、手紙ねえ...」と家の本棚をごそごそしていましたら、手紙の文案集を発見しました。
そういえば最近、この類の本のMARCを作成していないような気が。
日本語の書簡・日記の書き方のNDC分類816.6と、件名標目:書簡文をかけあわせてTRCMARCを検索してみると、今年はこれまでに3件の新刊書がありました。
10年前の2008年は20件、20年前の1998年は31件。
人とのやりとりの手段の変化を感じます。
ところで、実用を離れて手紙文案集をめくっていると、これが読みものとしても面白いことに気づいてしまいました。
わがやの本棚にあったのは2001年にでた「使える手紙・はがき文案集」上林山瓊子著(大泉書店刊)でしたが、それぞれの手紙の設定が細かい!
架空の設定ですが、読んでいると、この手紙にいたるまでになにがあったのかと想像が広がってしまいます。
たとえば、「弟の借金の申し出を承諾する」「義弟の借金の申し出を承諾する」「友人の借金の申し出を断る」「めいの借金の申し出を断る」...借金依頼への返書にも実にさまざまなバリエーションが。
それぞれ「実兄に事業の運転資金を借りる」「義兄に大学に払い込む学費を借りる」「友人に携帯電話料金を借りる」「親戚に夫の入院費用を借りる」と対になっているようです。
義弟くん、大学の後期学費54万円を遊びにつぎこんでいます...「お手紙を読んで驚き、あきれています。」そりゃそうだ。でもお義兄さん貸してくれるようです。なんとありがたい。
友人よ、携帯電話料金2か月分8万円を貸してとは...「八万円といえば私の一か月分のお給料の約四〇パーセントです。」ついお給料がいくらくらいか計算してしまいました。大人の算数文章題?
さらに、「デートの約束時間に遅れたお詫び」(売上金不足のチェックのため会社から予定時間に帰れなかったらしい)、「宴席での失態を詫びる」(「けさは二日酔いで会社を休んでしまいました」ですと!?)といった、これも手紙で?と思う例も。
「旅先で自宅の電話を貸してくれた人へ」といった題には、ほかの文例中での扱いも含めて、携帯電話の普及率になんとなく時代を感じます。
ふと、多数の手紙文案・文例集の、同じ目的の項を比較すると面白いのでは、と思ってしまいました。
著者の文体だけでなく、刊行の時代でも特徴がでそうです。
図書館にいけば色々集まるでしょうか?