奥深い数の世界と出会う
本日は週刊新刊全点案内2081号の発行日です。
掲載件数は1128件でした。
*こんな本がありました*
アリになった数学者
文:森田真生
絵:脇阪克二
福音館書店(2018.10)
今週はどんな本があったかなと、棚に並ぶ本の背を眺めていてなんとなく目に留まったタイトル。
軽い気持ちで手に取ってぱらぱらとページをめくってみたら小さなアリの広大な数の世界に迷い込みました。
人間にとっての数や世界の見え方とアリたちにとっての見え方はまったく異なることにはっとさせられます。
私たちが普段当たり前のように使っている数字。
だが実のところ「1」や「3」そのものはこの世界には存在しない。
その概念を理解することは果たしてできるのか。数の不可思議さをそっと投げかけてくる、流れるような文体の美しさ、心地よさと絵本の色彩もまた瑞々しい感性を呼び覚ましてくれます。
過去の学校生活の中ですっかり数学に対して苦手意識を持ってしまった自分も、そういえばもっと昔、子ども向けに図解された三平方の定理やメビウスの輪だとか、たまごが先かにわとりが先か・・といった命題をあつかった数学の本にわくわくした記憶をふっと思い出しました。
子どもの頃にこんな本に出会っていればまたちょっとものの捉え方が変わったのかも、と思いながら大人になった今でも少し世界が違って見える感覚を覚え、新鮮でした。