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2021年10月 8日 アーカイブ

2021年10月 8日

同姓同名はうれしい?~典拠のはなし~

今回の典拠のはなしは、典拠ファイルの機能のひとつである「同姓同名の区別」に関する最近のトピックスをご紹介します。


個人名典拠ファイルで同姓同名の多い名前は、田中実(タナカ,ミノル)、鈴木博(スズキ,ヒロシ)です。ずっとそう思っていました。しかし、ふとしたことがきっかけで検索し直してみると典拠班の定説に異変が!


★個人名典拠ファイル 同姓同名ランキング2021年版(2021年10月8日現在)
1位 高橋徹(タカハシ,トオル)38件 ←new!
2位 田中実(タナカ,ミノル)35件
3位 鈴木博(スズキ,ヒロシ)32件


なんと、高橋徹が田中、鈴木両氏をおさえてトップに躍り出ているではありませんか!
不動の両巨頭と思われた田中実、鈴木博でしたが、2011年頃から作成件数が少なくなり、逆に、高橋徹は毎年着々と新規の著者が出現しファイルが作成されていたのでした。


一般的に自分と同姓同名の人と出会うと、その偶然の一致の不思議さに、驚きとうれしさを感じる方が多いようです。
先日もそのようなニュースを見かけ、ふと思い出した典拠ファイルがあります。


同姓同名というだけでなく、活動した時代、専門とした分野がまったく同じというものです。

伊藤/武雄(イトウ,タケオ)の個人名典拠ファイルは現在9件。そのうち2件が今回取り上げるこちら↓(はなしの便宜上【A】【B】としています)


【A】
110000100640000 伊藤/武雄 イトウ,タケオ
1895~1971 独文学者,四高,金沢大,桃山学院大・教授,専:19世紀文学

【B】
110007848740000 伊藤/武雄 イトウ,タケオ
1909~1977 独文学者,名古屋大・名誉教授,名城大・教授,元・八高・教授


似ている!
伊藤武雄名義で、著者紹介がないドイツ文学の本が出たら、どちらを選んだらいいんだ!?(または、この二人とは別人の新規の同姓同名の著者の可能性もありますね)


事の発端は、1895~1971の伊藤武雄(【A】)に別のドイツ文学者の伊藤武雄のMARCが間違ってリンクされているのではないか?というご指摘でした。図書および人名辞典を調査した結果、【B】の伊藤武雄の存在を確認。新規で【B】の典拠ファイルを作成し、MARCを【A】から【B】にリンクし直すメンテナンスをしたという経緯があります。


調査の途中で発覚し驚いたことには、
「シュトルム選集 第7巻」清和書院 1959年刊(TRC MARC No.93211844)
この本の中で、【A】【B】両方の伊藤武雄さんが翻訳に携わっているという!
なんてことだ!
 「桶屋のバッシュ」という作品は【B】の伊藤武雄の翻訳
 「ハーデルスレーフフースの祭」は【A】の伊藤武雄の翻訳


Wikipedia伊藤武雄の項に、このおふたりを含めた伊藤武雄さん5人がにこやかに同じ写真に並んでいます。みなさん、同姓同名のお互いを認識していて、この偶然を楽しんでいた様子。なんだか微笑ましい。


でも、区別がたいへん!
こんなときにお役に立てるのが典拠ファイル。
同時代同ジャンルの伊藤武雄も、38人の高橋徹も区別して、それぞれの著書を一覧することが可能です。

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