MARC MANIAX 目録2022、3回目のテーマは「読み」です。タイトルを採ったら次に、その「カナ読み」を付けてみようというお話です。
今回は、「目録なんて作らないし...」という方にもお役に立てるはず。図書館の検索端末で本を探す際に、検索もれを防ぐためのヒントにもなるテーマですので。
「こども」と「子ども」と「子供」、「満州」と「満洲」...。漢字とかなを操る日本では、ひとつの言葉に対して様々な表記が存在します。ちょっと特殊な例ですが、小学生の学年別全集などでは、学年によって使える漢字が限られるため、色々な表記が混ざることも。
【例】
「りかやさんすうがすきになる1ねんせいのよみもの」
「理科や算数がすきになる2年生の読みもの」
「理科や算数が好きになる4年生の読みもの」
こんな様々な表記の本をもれなく探そうと思ったら、漢字を考慮しなくてよいカナ検索が手っ取り早いですね。手作りの目録でも、本タイトルだけでもカナ読みを入力しておけば、検索はもちろんタイトル順に整列させるにも便利なはずです。
「それならカナ読みを入れればいいだけでしょう?」というお声が聞こえてきそうですが...このカナ読み、我々の日常言語感覚でやると、きっと困ることがあるはずです。
まずは、「日本目録規則」に定められた「片仮名記録法」の一部をご紹介します。TRC MARCはもちろん、日本の書誌データが従っているルールですので、知っておいて損はありません。
★日本目録規則2018年版 付録#A.1 片仮名記録法 より
#A.1.1.1 助詞「ハ」「ヘ」「ヲ」は「ワ」「エ」「オ」と記録する。
こんにちは コンニチワ
いずこへ イズコ エ
字を書く ジ オ カク
#A.1.1.5 「ヂ」「ヅ」は「ジ」「ズ」と記録する。
ちかぢか チカジカ
磯づり イソズリ
仮名遣い カナズカイ
ちぢむ チジム
つづり方 ツズリカタ
ヅーフ ズーフ
第3表 数字
注:「十」が他語と結びつき促音となる場合「ジッ」と記録する。
十進法 ジッシンホウ
20世紀 ニジッセイキ
いかがでしょうか。
時々、「づ」の読みが「ヅ」ではなく「ズ」になっている、というお問い合わせをいただくのですが、それはこういった規則に従っているからなのですね。
とはいえ、特にアルファベットや数字の読みというのは難しいもの。
たとえば「1組」は「ヒトクミ」か「イチクミ」か?「8種類」は「ハチシュルイ」か「ハッシュルイ」か?「twenty」は「トエンティー」か「トゥエンティ」か、はたまた「トゥウェンティー」なのか?などなど...。
もちろん、一定基準に沿ったカナ読みを付与してはいますが、その形で検索していただくのもなかなか大変です。
そこで、TRC MARCでは、読みの必要な記述部分にアルファベット・数字が含まれる場合、アルファベットや数字をそのまま転記した「アルファベット・数字を含むカタカナ形」も提供しています。
【例】
タイトル:声優GIRLS U-20 under twenty
カタカナ形:セイユウ/ガールズ/ユー/ニジュウ/アンダー/トゥエンティ
アルファベット・数字を含むカタカナ形:セイユウ/GIRLS/U/20/under/twenty
すべてカタカナで表記する通常の「カタカナ形」に対し「アルファベット・数字を含むカタカナ形」には「20」「twenty」などをそのまま転記します。
こちらを利用すれば、検索で「トエンティー」と打ちこんでしまったためにヒットしない...という悲しい事態は無くなります。
たかが読み、されど読み。なかなか奥が深いですよね。
次回は、じゃあ「一定基準に沿った読み」というのは何?ということで、「統一読みの話」をお届けします。お楽しみに!