前回の「典拠のはなし」では典拠ファイルの基本的な機能として
役割その1 同じ人をひとつにまとめる
役割その2 異なる人の区別をつける
をご紹介しました。
今回は「役割その1」を深堀りしたいと思います。
著者名の表記のバリエーションをまとめるということですが、その種類にはどんなものがあるでしょうか。
〇文字種の違い
例:漢字とひらがな
角野/栄子
← かどの/えいこ
大人向けの本と子ども向けの本で使い分ける著者が多いようです。
〇漢字の違い
例:旧字と新字
万/鉄五郎
← 萬/鉄五郎
古い本と新しい本での記述のされ方の違い。また、TRC MARCでの入力文字採用の変遷と関係する場合もあります。
〇翻訳の違い
例:他言語から日本語への音訳
Agee,Jon(アギー,ジョン)
← ジョン・アギー
← ジョン・エイジー
海外の著者の場合、姓のカナ表記一文字目が異なると図書記号は?とヒヤリとしますが、図書記号は統一形のカタカナ形より採用されるため、背ラベルが割れることはありません。
ロサンゼルス・ドジャース
← ロスアンジェルス・ドジャース
地名も時代により音訳のされ方が異なる場合があります。フィリピンは数十年前までフィリッピンと音訳されることもあったようです。
例:他言語への翻訳
藤原道綱母
← THE MOTHER OF MICHITSUNA
菅原孝標女
← THE DAUGHTER OF TAKASUE
本文が英語の図書でこの記述が出現しました。それぞれタイトルは「Kagero Nikki」「The Sarashina Diary」。
個人名ではとても珍しいケースですが、団体名典拠ではよくあること。外国に本部を置く国際的な団体の場合は、各国言語での名称で知られることが多いです。
世界保健機関
← World Health Organization
← WHO
他言語への翻訳となると想像では追いきれないような変化をしますが、典拠ファイルでまとめていますので、どんな表記のバリエーションでもすべての著書を検索することが可能です。
個人名の翻訳形、もっと見つけたくなりました。まるでクイズのようでおもしろいですね。