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その「ノ」はどこに入りますか?(平安時代の人名のはなしPart1)~典拠のはなし~

大河ドラマ盛り上がっていますね。

見ている横で、家族が「みんな藤原ばかり...」と呟いています。源もいます!(そういう話ではないらしい...)。9月の典拠のはなしは、2週にわたって「光る君へ」の舞台平安時代の人名の話をしていこうと思います。

さきほど家族がつぶやいていた「藤原」。ドラマの中ではだいたい下の名前しか出てきません(ほぼ全員藤原ですから)が、「藤原道長」の「藤原」は、現在の姓や苗字とはややことなり「氏」にあたります。

「氏」は古代の血縁集団に縁の深い地名や朝廷内での仕事にちなんだ名前をつけたもの。天皇から与えられることもあり、藤原氏の氏の由来として中臣鎌足が天智天皇から藤原朝臣姓を与えられたエピソードをご記憶の方も多いでしょう。時代が下ると、氏とは別の姓(かばね、やや今の苗字に近い)を持つようになってくるのですが、平安時代の藤原氏や源氏は、氏が姓を兼ねています。

こうした「氏」を姓として扱う人名を読む場合、慣例的に氏と名の間に「の」を入れて読むことになっています。つまりご存じの通り「藤原道長」は「ふじわら の みちなが」と読みます。

ところが、典拠ファイルで「藤原道長」を検索すると、統一形のカタカナ形は「フジワラ,ミチナガ」...。なぜでしょう?

その理由は日本目録規則にあります。

♯6.1.5.4 姓名の間に「ノ」を入れて読む名称
おおよそ中世までの人名で慣用される、姓と名の間の「ノ」の読みは、原則として記録しない。ただし姓が短い場合に例外的に「ノ」を記録することがある。
(「日本目録規則」2018年版)

姓と名の間にある「ノ」は、姓の一部でも名の一部でもなく宙ぶらりんです。何の気なく「藤原」や「道長」をカタカナ形で検索しようとしたときに、そのカタカナ形が「フジワラノ」や「ノミチナガ」になっていたら検索しづらいでしょう。

この規則に従って、統一形のカタカナ形は「フジワラ,ミチナガ」と「ノ」を抜いた形になっています。「フジワラノミチナガ」で検索したい方もご安心ください。参考資料に「ノ」の含まれた形で掲載されていれば、「ノ」が入った形でも検索ができるように参照形も作成しています。

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