うたに猫をさがして
11/12は週刊新刊全点案内2381号の発行日です。
掲載件数は905件でした。
*こんな本がありました*
「猫うた千年の物語」
中村健史(著)
淡交社(2024.11)
和歌、連歌、俳諧、漢詩などジャンルを問わず、猫が登場する詩歌をひっくるめて「猫うた」と呼び、平安時代から明治まで千年にわたる歴史をひもときます。
詩歌の本ですね、と読み始めたのですが、出てくるのが「寛平御記」(宇多天皇の日記)、「枕草子」、「源氏物語」...
すでに平安時代には、猫が鼠をとる存在としてだけではなく、可愛がられる存在でもあった様子が次々と示されますが、なかなか詩歌の話になりません。
それもそのはず、なんと平安貴族は「猫は歌に詠まない」のです。
理由は「歌は雅なもの」で「猫は雅でない」から。
猫が雅でないですと?とモヤモヤする方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう和歌という「ジャンルのお約束」があったよう。
でも新しい表現は「お約束」をあえて破ってうまれてくるもの。
雅な源氏物語の恋と組み合わせてしまえば和歌に詠んでもいいのでは?
雅ではないうたのジャンルがあってもいいですよね?
と時代が下るにつれいろいろな変化がおこります。
「猫うた」の足跡を追っていくことで、詩歌の歴史もたどれる一冊です。