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戦争文学と職業病

7月の雑記のテーマは「戦争をテーマとした本・映画・ドラマなど」です。

小学校時代、戦争をテーマとした児童文学を読んだものの、幼心には恐ろしすぎたらしく実はあらすじも記憶に残っていない私。

そんな私でも山川方夫の「夏の葬列」が記憶に残っているのは、とても短い話で、中学校の教科書に載っていたからでしょう。

疎開先で都会っ子の主人公を気にかけてくれる年上の少女「ヒロ子さん」、寂しいながらも呑気な日常に急に現れた爆撃。ラストの二重の絶望感。主人公と一緒に気持ちが浮いたり沈んたり、なんともやりきれない物語です。

中学生だった私は知らなかったのですが、著者の山川方夫はショートショートを得意とする作家で、「夏の葬列」は1962年に『ヒッチコック・マガジン』に掲載された作品だそう。

ヒッチコック! そうおもって読めば、この後味の悪さにも納得。これを教科書に収録しようと考えた人はすごいですね。

中学校の教科書にこの作品が載っていなかった方も読んでみてはいかがでしょう。

「夏の葬列」

集英社(1991.5)

「箱の中のあなた」

筑摩書房(2022.12)


最近のアンソロジーにも入っています。

「5分後に意外な結末ベスト・セレクション」金の巻

講談社(2023.11)


「夏の葬列」でキーワード検索すれば、図書のタイトルに作品名が入っていなくても、内容細目ファイルで作品が収録されている図書が見つかります。電子書籍や、朗読が聴ける視聴覚資料もあるようですね。

ちなみに日々典拠作成している身としては、登場人物の「ヒロ子さん」が、裕子だったのか、寛子だったのか、はたまた時代を考えると紘子? ここも子供同士の関わりでお互いの呼び名しか知らない表現と思いつつ、ちょっと気になってしまう職業病です。

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