MARC MANIAX 分類/件名5回目で、これから毎金曜日4週にわたって<件名>について書いていきます。
昨年の11月に<分類>の連載がありましたが、その続きと思ってお読みください。
まず「件名標目」とは何でしょう。日本目録規則1987年版改訂3版によると「資料の主題または形式を名辞で表す件名を、目録記入の標目としたもの」であり、"ことば"で主題や形式を表現したもの、というわけです。
直接聞いたわけではないのですが、検索の道具としてそれほど使われていないという噂を聞きます。そもそもなぜ件名標目(以下件名)を与えるのでしょう。分類記号でじゅうぶんではないのでしょうか?
分類記号は、無機的な数字の羅列です。主題検索の道具としては、使う側にある程度の知識が必要になると思われます。これに対し、ことばで主題をあらわす件名は、しろうとでも直感的に手っ取り早く目的の本に達することができると考えられます。「594.3」よりは「編物」の方が親しみやすいでしょう?
また件名の場合、複数付与することで、主題をより柔軟に表現することができます。原則1つしか与えない分類記号とこの点で大きく異なります。とくにTRCでは、主題検索の充実を図るために、1冊の図書に対し最大9個まで与えられるようにしています。
【例】
マネジメント入門―技術者・研究者もよく分かる
分類: 336 件名: 経営管理,技術者
頭のいい人がしているスピード仕事術―よくわからない仕事が丸ごと身につくサクサク片づく
分類: 336 件名: 会社実務,能率
組織の危機管理入門―リスクにどう立ち向えばいいのか
分類: 336 件名: リスクマネジメント
分類記号は同じですが、与えられた件名が違います。タイトルなどから何となく内容が違いそう、とうかがえますが、明確に主題がわかるという点でやはり件名があった方がよいでしょう。また2つめの例など、主題は実務全般ですが、とくに「スピードを上げて仕事する=能率をあげる」ことが書かれているので、「能率」も付与されています。
そして、統制語であるということ。
【例】
さすが!と言わせるmixi徹底攻略術
分類: 547.4833<547.48> 件名: ソーシャルネットワーキングサービス
意外と知られていないSNSの謎を解く
分類: 547.4833<547.48> 件名: ソーシャルネットワーキングサービス
Web3.0への会議
分類: 547.4833<547.48> 件名: ソーシャルネットワーキングサービス
タイトルなどに含まれていなくても、件名「ソーシャルネットワーキングサービス」が付された本、として検索すれば、上のようにきちんとヒットします。これなどインターネットの検索エンジンと比べてみればその威力がよくわかるのではないでしょうか。
しかし件名の利用価値は、個別の件名ではなく、件名標目表が決めるのでしょう。参照語も含め、全体として適当なものが過不足なく配されているかが肝腎です。TRCでは、基本件名標目表(BSH)を基本に、これに国立国会図書館件名標目表(NDLSH)から適宜加え、さらに独自のものもあわせ使っています。このあたりは次回以降説明します。
ただこれでじゅうぶんとは到底言えないのが現実です。使いやすいと感じる人が一番多くなるよう、随時件名を新設する、すなわち標目表を更新する努力を続ける必要があります。一筋縄ではいきませんが、理想に近づけるようやっていく気持ちは大切だと考えています。
次回は、使い方について考えます。