« 付箋の使い方@図書館蔵書 | メイン | 春の訪れ »

件名の存在意義と利用法・2 ~件名その2

分類記号との違いをもう一つ挙げることから始めます。
昨年<分類編>で触れましたが、分類の作業をする際には、NDCに掲載されている、影響関係・因果関係・上下関係等の主題間の関係、著者の観点などの規程にしたがって行ないます。つまり、分類する側と分類されたものを利用する側との間で、こう考えましょうという約束が予めされているわけで、これさえおさえれば、目的の主題を扱う図書がある書架がすんなりわかります。しかし実際には、主題の完全な表現とはいえず、うまく分類しきれない領域が残ります。
粗っぽいですが、「お茶」の本はおおよそ4類と5類と6類に排架されます。

【例】
まさかに役立つ健康茶の薬効図鑑
分類: 498.583<498.5> 件名: 茶,健康法
茶をたのしむ
分類: 596.7 件名: 茶
お茶は世界をかけめぐる
分類: 619.8 件名: 茶

タイトルを見ただけで内容の違いが推し量られそうなものも、難しいものもありますが、分類が異なるのにはそれぞれ意味があり、秩序は保たれています。しかしたとえば、大雑把に「お茶」の本を探す人は、まず479(植物)、498(衛生 健康)、596(料理)、619(農産製造・加工)、791(茶道)の棚をさがし出し、その上で棚の間を往復することになるかも知れません。飲む・育てる・製茶するのいずれなのか、あるいはお茶っ葉でなく木としてのお茶を考えるのか、これだけでも最初からはっきりしていればよいのですが、もしそれが明確でないと、不便を感じることでしょう。
つまり、書架の間を歩きまわるのでなく検索機械(利用者端末)を通して、という条件付きですが、分類記号とは違った主題の切り口を探索者にみせるという点でも、件名は意義があります。
最初に「茶」と利用者端末に入力して、どんな分類がふられているかを見て、自分の目的に合ったものをその中から選ぶ、という段階が加わります。当初思いもしなかった本を見つけ出す可能性が生じるわけで、茶の栽培をはじめようとする人が、お茶うけに興味をもつかも知れません。

コメントを投稿

(投稿されたコメントは、TRCデータ部の営業時間内にアップいたします。投稿から掲載までお待ちいただく場合がありますがご了承ください。なお、メールアドレスはTRCデータ部から直接ご連絡する場合にのみ使用いたします。第三者への公開・提供はいたしません。)

2024年3月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

アーカイブ

全てのエントリーの一覧

リンク