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根拠と採否 参考資料 ~件名その3

前々回少しふれましたが、件名標目表の使い勝手のよさは、そこに載った件名の数や質に大きく左右されると考えられます。誰も思いつかないような言葉では、検索道具にならないからです。
日本で主に使われているのは、基本件名標目表(BSH)と、国立国会図書館件名標目表(NDLSH)で、前者は最新の第4版に計7,847、後者は2004年度版に16,583語の件名標目が載っています。
それぞれここでは例を挙げませんが、あらゆる分野の言葉があいうえお順に並んでいます。その一つ一つが、意味の上で互いに重ならず、また遠すぎず近すぎず、そして日常的に頻用されるものが選ばれ、全体としてバランスが考慮されているべきで、そうなっているように思います。
しかし、言葉は日々生まれたり死んだり変わったりします。そのいちいちに全部対応するのは無理にせよ、ある程度の時間幅をもって確実に定着する語を無視するわけにはいきません。
件名標目表の改訂はそれほど頻繁でありません。NDLSHはほとんど毎月追録が出るものの、BSHは9年前以来変わっていないのです。


毎日MARCをつくるTRCでは、さらに頻繁に新しい標目の採用を考えています。NDLSHやNDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)にあたってみて、適当なものがあればそこから、なければ独自のものをつくって、採用します。採否は合議でもって決めていますが、その際、BSHの体系を考慮し、学術語より常用語を優先します。そして同義語と類義語の中から、適当なものを参照語としてあわせて採用します。例えば最近の例を挙げると、
 「インサイダー取引」 「医療連携」 「動画共有サイト」 「ワークライフバランス」 「特別支援学校」
といったものをNDLSHから、
 「契約社員」 「ジェネリック医薬品」 「複合カフェ」 「介護タクシー」
といったものをTRC独自のものとして、
新設しました。ちなみに「ジェネリック~」は、標目形として「後発医薬品」も検討されましたが、日常的に使われていそうな形だということで採用されました。
このようにして、新しく生まれてくることばを、現在使用中の件名標目表の体系を考えた上で取り込んでいます。

件名を新設する際には、標目形やその概念の根拠となる資料を参照します。「広辞苑」「平凡社大百科事典」「現代用語の基礎知識」などはもちろんのこと、各分野のレファレンス資料にあたります。コンピュータなら「日経パソコン用語事典」、科学技術なら「岩波理化学辞典」や「マグローヒル科学技術用語大辞典」、哲学なら「岩波哲学・思想事典」、などといった具合にさまざまな資料を使うことになります。
そして、今までに作成したMARCのタイトルやサブタイトル等に多くあらわれる語も考慮して、標目形を決めます。
過去のMARCについても修正します。これは、件名だけ新しくなっても、MARCに反映してなければ意味がないからです。
このようにして、TRCの件名は少しずつ変わっています。毎月初めの週刊新刊全点案内に「新設件名標目のお知らせ」(=写真)として掲載していますので、参照してみてください。
P20080321muta.JPG

コメント (2)

K:

BSHをやめてNDLSHと統合したらいかがですか?

典拠 望月:

Kさん、コメントありがとうございます。
そうですね、BSHとNDLSHが統合していただけると嬉しいのですが…。

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