『日経アーキテクチュア』誌上の同名の連載をまとめたもの。
「戦前の建築は大切にされるのに、戦後の建築はあっさり壊されてしまう」という問題意識からスタートした企画なのだそうです。
戦後建築(モダン建築)の魅力を紹介しているのですが、イラスト・文章・写真が三拍子揃ってバランスよく、そのいずれからもモダン建築への愛があふれています。
著者のお二人が、イラストで度々登場していて、その姿・発言もユーモラス。
建築マニアでなくても、それぞれの建築作品の見どころ、面白さ、良さが理解できるようなわかりやすい説明がありがたい。そして、あんなところにこんな建築が…知らなかったよ、見たいよ、の連続。
とくに私が見たいなーと思ったのは群馬音楽センター(アントニン・レーモンド)、かなり雄大な建物です。何席あるんだろ? 群馬といえばオーケストラも有名です。ここで聴いてみたいなあ。
そして本書で紹介されている建築で、私が中に入ったことがあるのは日生劇場(村野・森建築事務所)。初めて行ったときは子供でしたが、その不思議に輝きうねって曲線を見せる壁には驚いたものです。輝きはアコヤ貝だったのか…。
有名建築家による作品もどんどん取り壊しにあっているようです。たしかに時代遅れに見えてしまう建築や、汚れが目立つ建築もある。でも40年もたたないのに壊してしまうのはモッタイナイ。その良さを再発見して、上手にメンテナンスして大切に使っていきたいものですね。そんな気持ちにさせてくれる本でした。
西日本編もあります。