MARC MANIAX典拠も16回目、いよいよ今回はこれで一旦終了です。東洋人名、西洋人名、団体名と一通りやってきましたので、今日はそのまとめを。
図書では、その本の性格や出版の意図により、同じ人物や団体であっても著者の表示はさまざまです。一番書かれ方がまちまちなのは外国人の表記ですが、日本人でも文字が微妙に違っていたり、団体名でも略称で書かれていたり内部組織まで書かれていたりとやはりさまざま。
しかし!典拠ファイルのお役目である
■資料によって異なる記述であっても統一形を立てることで一つにまとめることができるように。
■同じ書かれ方をしていても、異なるものは異なるものとして区別できるように。
という趣旨の下、私たちは日夜(はちょっとオーバーですが)名前というものにいろいろなフィルターをかけつつ、新たな人名や団体名を登録し続けています。フィルターのまず最初は、これは人の名前なのか団体なのか?です。なにをいまさらとお思いかもしれませんが、最近はそれすら判断できない名前が著者として使われることは珍しくありません。著者紹介やら序文やら後書きやらを必死で読み、どうやら人でよさそうだと判断することも。たとえば「風//著」とある本。こういう名前というのは、個人のペンネームであっても、グループ名でもおかしくないものなので、図書に著者に関する情報がないと全くお手上げです。(ちなみにこの「風」は個人名でした。)
さらには、人ではよさそうだけれど、果たして日本人なのか外国人なのか?でつまづくこともあります。たとえば「マリア」とあった場合、これは日本人がペンネームで使用しているのか、イエス・キリストの母マリアか、はたまた外国人のファーストネームなのか?で悩んだりします。
そしておまけに同姓同名の人物が既に典拠ファイルにいたりすると、付記事項はどうするべきか?と続いていきます。
そうして初めて、その名前の固有の形が決定され、典拠IDが付与されます。これはTRC MARC上ユニークな形として登録され、2冊目3冊目とその人の著作が出れば、同じ漢字形、カナ形、付記事項、典拠IDがMARCに使われていきます。
ところで、典拠IDは固有のものなので、ずっと使われていきますが、例外もあります。それは、別人と判断していた二人が、実は同一人だと判明したような場合です。特に古い本の場合、今の図書のように著者紹介がないものが多く、別人として登録していたら、ある時不意に同一人だとわかる、そんなケースがあります。こういう時には、古い方を生かし、新しい方は、MARCをメンテナンスした上で典拠ファイルを削除します。もちろん削除した典拠IDは永久欠番(!)となり、二度と使われることはありません。
拝し(出てきた名前は大切に扱いましょう)、排し(正しく排列するために統一形の決定は正しく行いましょう)、廃す(それでも間違ってしまったとわかったら謹んで削除しましょう)というスローガンがあるわけではないのですが、典拠班の毎日は、これからもこんな感じで続いていくでしょう、多分。