こんにちは、図書館蔵書 小松です。
このところめっきり涼しくなってきましたね。道行く女子学生たちの服装にも、カラフルな重ね着が目立ってきました。
*こんな本がありました*
図書館蔵書は、基本的に図書館からお預かりした本のMARCを作成する部署ですが、新刊書のMARCを作成する場合もあります。そんな中でひときわ目をひいた本がこれです。
「千年の色 単色 源氏物語」
太田 耕嗣
太田工芸(2005.9)
外側は(豪華ながら)地味ですが、この中身はなんとこんなです。
鮮やかですね。ですが、実はまだまだ驚くような工夫をこらした魅力的な本なのです。↓
十二単を代表に、平安時代の貴族の服装には季節やTPOに合わせた色あわせの美意識、襲色目(かさねのいろめ)というものがありました。この本では、それと古代の色彩の復元を2冊セットでまとめてあります。上にあげた写真はちょうど今、そろそろ季節の紅葉を表現したものです。
そうした襲色目や古代の色について扱った本は従来もありました。
しかし、この本の画期的な点は、厳密に復元した色で正絹に染め上げて、それを直接図書に貼り込んでいること。
しかも、こうして美しく貼り込んでいくのも、いまや少なくなった京都の職人さんの手仕事なのだそうです。
写真でしかご紹介できないのがほんとうに残念です。
鮮やかな色が絹の光沢でさらに映えて、ため息の出るような一冊。
メイドインジャパンの絹を使用した、京都工芸意匠協同組合のお墨付きの工芸品です。
この本のHPはこちら。
美しいものを作り出す、日本の伝統技術を保存するために、こうして新しい試みが続けられているんですね。