2009年11月3日発行の『週刊新刊全点案内』は巻頭に「新設件名標目のお知らせ」を掲載しています。
この新設件名は、TRC MARCで件名標目を新たに採用したものという意味で用いていますので、NDLSHから採用したものも含まれています。
10月は17件の件名を採用しました。その中から「外来種」(NDLSHから採用)をとり上げます。
TRCでは、「人為的に域外に導入されて、そこで野生化した動物・植物」(日本大百科事典「外来生物」の項)に与える件名として、BSH4版の「帰化動物」「帰化植物」を使用していました。ところがこの「帰化~」という言い方が少しずつ聞かれなくなってきているようなのです。新刊書籍を検索すると、
刊行年 ~95 96~00 01~05 06~
タイトルに「帰化」
がつく動植物 4 1 3 2
の本
タイトルに「外来」
がつく動植物 2 1 6 9
の本
表のようになります。参考図書類でも「外来~」が主になる傾向が見られました。報道等でも「外来~」が使われるようになっているように思えます。そして今年「外来」がついた本が5冊出たことから、件名の新設あるいは訂正について検討し、その結果NDLSHから「外来種」を採用することになりました。これにあわせ、従来使用の「帰化動物」「帰化植物」を、それぞれ「外来動物」「外来植物」に標目訂正しました。
いま野に咲くタンポポの多くが、外来種のセイヨウタンポポだといいます。ミツバチは、天敵スズメバチとのバランスで、日本種が西洋種に駆逐されずに残る状態と聞きました。
いろいろ問題はありますが、概してたくましいものが勝ち残り生き抜くのが生物界の掟ということでしょうか。そして言葉もまた使用頻度が徐々に変わります。件名も、言葉の変化に気をつけるべきなのでしょう。