思い出の本、と聞いてぱっと浮かんだもの、多くが絵本だったのですが
中でも特にお気に入りだったのがこの本です。
きっと同じようにお気に入りだという方も多いのではないかと思います。
ぴっちという名前の音の響きがなんとなく心地よくてついつい口にしたくなったり。
いろんな動物たちのまねをするぴっちがおかしかったりかわいらしかったり。
池に落ちてぶるぶる震えていたぴっちをりぜっとおばあさんが
あたたかそうな毛布でくるんで拭いてあげるところと
ふかふかの大きなベッドで小さなぴっちが寝ている場面が特に印象に残っています。
いいなあ、あったかそうだなあと羨ましく思いながら絵本を読んでいました。
幸せで愛しい気持ちになれる絵本だと思います。
そしてハンス・フィッシャーの絵がとにかく大好きでした。
「ブレーメンのおんがくたい」の絵本も同じくお気に入りで何度も読み返していた記憶があります。
本棚をごそごそ探してすっかり埃をかぶっていた絵本を取り出していま眺めてみても
迷いのないすらりとした線、ぽんぽんと小気味よく置かれた色合い、程良い余白、
すべてが魅力的だなあと感じます。
またどちらの本にもあった暗闇のシーンは子ども心にどきりとするものがありました。
幼い頃に受けた強い印象は、大きくなってもずっと心に残っているんですね。
全くの余談ですが、いつか猫と暮らすことが人生のささやかな夢のひとつです。