少し前の子ども向け読み物のTRC MARCを見ていると、時折びっくりするようなものに出会います。
「このハードボイルドを子ども向けにするとは!」とか、「1冊にこれとこれを入れてしまうとは豪勢な、っていうか盛り込みすぎでは?」とか、「この人がこんなところで挿絵を描いているとは」とか…。名作ものや、SF、推理のシリーズなどは、その豪華ラインナップに見入ることしばし。
ただ、実際の本を見ながらではなくデータだけなので、どんな翻訳なんだろう、著者本人が手を入れたのだろうか、など想像しながらの仕事になります。
それにしても、乱歩の「怪人二十面相」や南洋一郎の「怪盗ルパン」(正しくはルブランの)、世界のSFシリーズなどに一時期あんなにも熱中したのはなぜなのか。手の甲に赤い輪が出てきたらどうしよう、部屋の隅のカーテンから何かのぞいているのでは、とびくびくしながら読んだものでした。
そして、今となっては筋立てはまったく覚えていなくても、なんとなく記憶に残っている“あの”挿絵のかずかず。心なしかページが黒っぽく透けて見え、気配を察しつつページをめくると…。
作者など関係なく読んでいたSFやミステリーはいったい誰の作品だったのか。そして今だとどう見えるのか。気になりながらも、あの重さを通勤電車で読む気力はなく、かといって、文庫版ではあの重みが味わえず。ましてや電子書籍ではあの愉しみは…。
というわけで、とりあえずはこんな本をのぞいてみようかと思います。