私の思い出の本は、イギリスの女流作家アンナ・シュウエル原作の「くろうま物語」。小学1、2年の頃、親に買ってもらった本です。
美しい黒い子馬が生まれ、成長し、働く場所を転々と変えて、様々な人間や馬に出会い、生死をさまようほどの苦労をしながらも、やがて、穏やかに暮らせる場所を見つける…という、ある一頭の馬の一生をたどるストーリー。
訳書もさまざまあるようですが、私が読んだ本では、主人公の馬の名前は、「くろ」あるいは場面によっては「ぶらっく・びゅーてぃ」。低学年向けの本なので「ぶらっく・びゅーてぃ」と、ひらがなで書かれています。
この本の挿絵が好きでした。
瞬間を切り取ったかのようなドラマティックな絵。
表紙やカラー頁の挿絵では、馬の黒毛が紫がかった黒で描かれており、その艶やかな毛並みに憧れていました。
お正月、帰省したときにこの本を実家から自宅へ持ち帰りました。
大人になってから、初めて読んだ頁があります。
「ご両親や、先生がたへ」と題された大人向けのあとがきです。
優しい眼差しをもって、子どもを本の世界に導こうとしているのが伝わり、なんとも言えない幸福感と懐かしさをあらためて感じました。
実はこの物語は映画化されています。(日本では未公開だったようです。)
DVDを借りて見てみました。
舞台となっているのは、シュウエルが作品を発表した19世紀中頃のイギリスだと思われますが、古き良き時代の英国の様子を、美しい映像で楽しむこともできます。
何と言っても主役の黒馬がカッコいい!
そして、主役馬ブラック・ビューティの声の役者さんは、これまた嬉しいことにオリジナル音声も日本語吹替も二枚目な声です。
このDVDで、ようやくブラック・ビューティの“動く姿”を見ることができました。
馬はその場にたたずんでいるだけで美しい動物ですが、動いている姿は格別ですね。
馬ってやっぱりいいなぁ、と思っていたところ、今春スピルバーグ監督作品「戦火の馬」が劇場公開されるとのこと。
劇場で予告編を見ましたが、なかなか私好みの感じで、わくわくしています。
原作はこちら。
映画を見たあとで、ぜひ読んでみたいと思っています。
また別の馬の一生をたどれるかと思うと、今からとても楽しみです。