思い出の本、と記憶をたどって幼児期へ…遡ろうとしたのですが、まずこの峠を越えなければその先は見えず。
ちくま文庫で20冊、到底ひとりでは読み通すことができなかったでしょう。学生時代に参加した自主ゼミで、約1年かけて読破しました。
月に1冊、夏休みなど長期の休みには月に3冊を読む事が課題。月1回開かれるゼミでは毎回担当者がレジュメを作成、あらすじ等をまとめました。また、巻が進むにつれ登場人物が増え、派生する物語がいくつも同時進行することから、人物相関図や物語進行表なども作成。登場人物のひとり・道庵先生の住む長者町を探して東京下谷を散策したことも。なつかしいなー。わたしにとって「大菩薩峠」は思い出の本、というか、思い出を喚起してくれる本、といった方がいいかもしれません。
読み返すことはまずない…と思いますが、このちくま文庫20冊はいつまでも手元においておきたいと思っています。bk1では現在購入不可になっていますが、電子書籍版「大菩薩峠」がありました。
蛇足ながらも…。この小説は著者存命中に完結する事なく、未完のまま。まさかあの1行で終わるなんて…「えっ!これで絶筆!?」と当時絶句したのも懐かしい。ともあれ、この超大作を読み通したことが、わたしの読書体力を培った事は間違いないでしょう。じたばたせずに、物語にどっぷりひたる喜び(と苦しみ)。
今度は映画「大菩薩峠」で机竜之介に再会してみようかな?