« 今月のかるがも | メイン | 昔の名前でも探せます(相互参照) »

4千万歩

4千万歩は、どのくらいの距離だと思いますか?
日本の海岸線を「2歩で一間」の歩幅で
4千万歩あるき尽くすとざっと3万5千キロ。
約1.8メートルを2歩で、ずっと歩き続けるなんて、
足の短い私にはとても無理。
いや3万5千キロなんて、考えただけでも気が遠くなります。
実測による、日本地図を完成した伊能忠敬は、
足の長い人だったか定かではありませんが、それにしてもすごい。
井上ひさし著「4千万歩の男」は
そんな実直で几帳面な伊能忠敬の伝記。
思い出の本として、今回ご紹介します。

読むきっかけとなった場所が思い出せないのですが、
都内を散策中、伊能忠敬についての文章を目にし、
「ああ~すごい人だなあ」と思ったくらいでしたが、
偶然自宅の本棚に「4千万歩の男」文庫全5巻を見つけました。
時代小説はあまり得意でないので「全5巻か...」と躊躇しつつも
読み始めたところ、ハマってしまいました。 


読み進めていくうちに、「伊能忠敬記念館」の存在を知り、
読み終わったら絶対に行こうと決め、早速行ってまいりました。
忠敬一行の地図を見ながら、思いは江戸時代後期にタイムスリップ。
地道で緻密な作業を目の当りにし、静かな感動を覚えました。
地元では以前から「伊能忠敬を大河ドラマに~」といった
活動もしているようですが、実現するといいですね。
(配役は○○さんいいなあ...などと考えるのも楽しい)

また前述の本が脚色されてより楽しめる、
井上ひさしならではの本とすれば
こちらはもう少し史実に沿った伝記、龍道真一著「白輪」がありました。

忠敬より20歳ほど年下の暦学者・高橋至時を師と仰ぎ、
先に他界した至時と一緒に眠らせてほしいと願ったと云います。
早速、二人のお墓参りにも「徒歩」で、行って参りました。
(ここまで来ると、わが子には「ヘンな人」に映るらしい)
墓前に手を合わせ、感慨にふけっていたところで
雷が鳴り、雨粒が墓石を染め始め...しばし雨宿り。
やがて青空を取り戻し、印象深い一日となりました。

「4千万歩の男」には算学や測量方法などの記述もあり
身体の一部や、木片を使って、長さや距離を測る解説など、
比較的わかりやすいのですが、
映画「子午線の夢」の存在を知り、実演で確認できるかもしれないと、
妙な期待をふくらませ、レンタルビデオ店で探したのですが
DVD化されていないよう...残念。
いつか出会えることを心待ちにしています。
いずれにせよ、全5巻は井上ひさしの構想では
まだ七分の一だったそうで全35巻になったとしても、
読みたかった...無念。

暦学つながりで、さらに1世紀以上遡りますが
渋川春海を主人公とした、冲方丁著「天地明察」原作の
映画がこの秋公開されるとのこと。
こちらも楽しみです。

コメントを投稿

(投稿されたコメントは、TRCデータ部の営業時間内にアップいたします。投稿から掲載までお待ちいただく場合がありますがご了承ください。なお、メールアドレスはTRCデータ部から直接ご連絡する場合にのみ使用いたします。第三者への公開・提供はいたしません。)

2024年3月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

アーカイブ

全てのエントリーの一覧

リンク