こんにちは。AV(録音・映像資料)の岩瀬です。
今日は、私がAVに異動して間もない頃の思い出話を。
それは、バッハ・イヤー(J.S.バッハ:1685~1750の没後250年)を翌年に控えた1999年の秋のこと。まだ来年の話なのに、すでにこの頃からバッハ関連のCDがわんさか入荷していました。
音楽に疎い私でも、さすがにバッハの名前と顔と有名な作品をほんのいくつか...といった程度には知っていましたが、これほどまでに作品数が多く、また、後世のアーティストたちに多大な影響を与え、今なお愛され続けているとは。
とにかく、来る日も来る日も、バッハ、Bach、ばっはぁ...。
何しろ大変だったのは、内容タイトルの入力。今でこそ、入力システムの改善などにより負担が激減したものの、当時は1曲1曲、まったくの白紙の状態から入力しなければなりませんでした。内容タイトルは、CDの解説書の曲目一覧から採用することがほとんどですが、バッハの場合、1曲のタイトルが長い! たとえば、
フラウト・トラヴェルソとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ロ短調BWV1030
(MARC No.99911040「フラウト・トラヴェルソのためのソナタとパルティータ全集」の1曲目)
だとか、
カンタータ第109番《われは信ず、愛する神よ、不信仰なるわれを助けたまえ》BWV109
(MARC No.99911839「カンタータ全集」第8巻の10曲目)
などなど。
もちろん、短いタイトルだって多いのですが、「フラウト・トラヴェルソ」って何? とか、曲の後ろにいつも付く「BWV」って何だ? とか、クラシック初心者には見慣れない言葉ばかり。さらに、内容タイトル標目、つまりヨミも入力しなければならず...。ふぅ~。
ちょうど"ミレニアム"も目前、コンピュータ関連の2000年問題も騒がれ、何となくお祭り気分(?)の中でのバッハ。
かのベートーヴェンが、「バッハは小川(Bach)ではない、海(Meer)である」(もしくは「海よりも偉大だ」)と言ったと伝えられていますが、まさに海の波のように押し寄せるBachに飲み込まれる毎日でした。それはもちろん、バッハ・イヤー本番の2000年が終わるまで続きました。
ご参考までに、バッハが責任表示に含まれるAV MARC件数(録音資料)を調べてみたところ、1999年では213件、2000年では246件でした。その前後の1998年では96件、2001年では122件ですから、どれだけ凄かったかお分かりになりますでしょうか。
そのおかげで、何があってもオドロカナイゾ、と心ひそかに待ち構えていたのですが、2006年にモーツァルト(1756~1791)生誕250年、2010年にショパン(1810~1849)生誕200年、2012年にドビュッシー(1862~1918)生誕150年、そして今年はワーグナー(1813~1883)生誕200年...と、有名作曲家の記念の年を何度も迎えたはずなのに、あのバッハ・イヤーほど大変な思いをしたことはありません。ちょっと拍子抜け。やっぱり、あの年は特別だったのかなあと、今では懐かしい思い出です。