4月木曜のブログテーマは「古典」。
その昔、ある宴会の席で「"ありをりはべりいまそかり"って何でしたっけ?」と口にしたことがありました。
時おりふとした拍子に口をつき、古典の文法に関係ありそうだがそれ以上はわからない語呂のよいあの言葉...。「むかし授業で聞いたねえ」という展開になると思った次の瞬間「それはね、」と目の前の先輩2人がとうとうと説明を。ほぼ同時に始まり、ほぼ同じ内容を(当然か)説明し、「...といったことですね。」で終了。
馴染みのない言葉の羅列のうえ、席も席のこととて説明の内容は覚えていないのですが(失礼この上ない態度)、"なんという会社に入っちゃったんだろう"と思ったのだけは覚えています。
そんな(どんな?)会社に在籍のまま、"文法も構文も苦手。登場人物が多いのも苦手。「○○文庫 夏の100冊」といったものをたまに覗いては、あまりに読んでいない本が多いのでがっかり。では読むのかといえば、文法も構文も苦手..."を延々と繰り返す古典・名作音痴の人間が読んだのがこちら。
「『罪と罰』を読まない」
翻訳家、作家、作家であり装丁家の4人が、読まずに語る読書会の様子を収録したもの。お題はもちろん、あの『罪と罰』。
ここまで推理するか、というくらいにわずかな手がかりから展開していくのはさすが。そしてもちろん、それだけでは終わりません...。
ロシア文学で読んだのは『戦争と平和』くらい。それも、あの頃のロシア宮廷はフランス語だったんだよな、程度の記憶しか残っていない人が、この本を笑いながら読んでいいのかははなはだ疑問ではありますが、こういう愉しみ方は古典・名作ならでは、という気もします。
とはいえ何より勘違いしてはいけないのは、この本はプロだからこそ成立するワザということなのですが。