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器の良さを感じるにはもうひと回り必要そう

5月の雑記テーマは「大人になったと思うとき」。
さきのおふたりの内容に深く頷きつつ、私はもっと卑近な例で...。
自分が大人になったなと感じるとき、それはやはり味覚の変化に気づいたときでしょうか。
社会人になって迎えたはじめての夏。それまでは苦いだけでちっとも美味しいと思えなかったビールが、喉やからだにしみ渡る新鮮な感覚を覚えています。
最近は薬味による食べ比べが美味しいなと感じるように。食材そのままの素材の味に舌鼓を打ったあとは様々な薬味で楽しみます。先日行った豆腐料理専門店では丸くて大きな出来立てつやつやのお豆腐をいただきました。程よく冷えた豆腐と茗荷のハーモニーが素晴らしくてその日のうちにまた行きたいと思ってしまいました。
和食の美食家として知られる魯山人、前々から気になっていたら先日本屋さんでさりげなく?食のコーナーに置かれていたので、思わず手にとってしまい通勤の合間に読んでいるのですが。

魯山人の料理王国 北大路 魯山人 文化出版局
「食通閑談 うまい豆腐の話」のなかで、
"薬味 葱の微塵切り、蕗の薹、独活、ひねしょうがのおろしたもの、七味唐がらし、茗荷の花、ゆずの皮、山椒の粉など、こんな薬味がいろいろある方が風情があっていい。"とあります。この一文になんだかやたらわくわくしてしまいました。学生時代はそんな薬味に心躍ることなどなかったというのに。こごみやぜんまいといった少しにがみのある山菜が好きなのですが、大抵はお蕎麦やてんぷらで頂くので、ふきのとうなどを刻んで薬味として食べたことはありません。チャレンジしてみたくなりました。昔はにがいものは苦手だったはずなのに今は好き好んで手を出してしまう...大人になった醍醐味でしょうか。
逆にあんなに好きで、高頻度で通っては食べていたラーメンが、最近すきっ腹に入れるとなかなか食べきれないことが時々あり、ショックを受けています。ラーメンであれば何でも、と思っていたはずがどろりとした重ためのスープのみそやとんこつ味はできるだけ避けるようになってしまいました...年を感じた瞬間です。

魯山人の著作は青空文庫でも読めてエッセイが面白いのでおすすめです。「器は料理の着物」という言葉も興味深い...。

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