こんにちは、新刊水谷です。
今年から祝日になった8月11日、国民の祝日「山の日」にちなみまして、8月の雑記のテーマは「山」です。
山の日。内閣府のホームページを見てみると、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日とのことです。
同所に「国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)」が載っていたのですが、冒頭に
「第1条 自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」
とありました。
...国民こぞって...。そうですね。なにしろ国民の祝日ですものね。
...しかし私、これまで、自発的に山に近付いたことはほとんどありません。
伊吹山を遠くに望む平野に生まれたものの「わー伊吹山が白くなってきたわー寒い寒い」と眺めるにとどまり、ほど近い金華山もお城を見上げるだけ(標高329m、ロープウェーで山頂まで3分なのにもかかわらず)。大学に入って引っ越した先は周囲に山の見えないこちらも平野の中の街。
まあ、山が見えないことをさみしく感じた、ということは多少なりとも山に親しんできたということで...。
...。
ブログのお題にはたと悩み、山、山、山、とぶつぶつ言いながらたどり着いたのがこの本です。
ある意味、究極の登山かもしれません(とこじつけてみる)。
河出書房新社 (1996.7)
シナイ山、オリュンポス山、須弥山、蓬莱の山...シンボリックに、世界の中心としてイメージされる山は各地の神話や伝承に現れます。その、世界の中心たる山に登ろうと企てる人々のお話です。
モデルになった地図上の山とかではなく、「類推の山」と呼ばれるまさに「その山」に、「実際に」登ろうとする、というのがミソです。
ちょっと聞くとスピリチュアルな自己探究の話かという感じですが、そういう高揚とはやや外れた、ほんのりユーモラスでチャーミングな物語です(残念ながら未完)。
尾崎翠の作品にも似た雰囲気がある、といったら少しは伝わるでしょうか...。
古い文庫ですがまだ本屋さんで買えるようです。もちろん図書館でも。
よかったら手に取ってみてください。