東京国立博物館の特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」のポスターを見かけました。
重要文化財の十一面観音菩薩坐像が展示されるそうです。
滋賀県の十一面観音で、学生時代のことを思い出しました。
杉本苑子さんの小説「月宮の人」で印象的に語られる、向源寺(渡岸寺観音堂)の十一面観音立像を、どうしても実際に目にしたくて、夏の盛りに拝観に出かけたのです。
もう御姿はおぼろな記憶にかすんでいますが、お寺までの道中の強い日差しは、妙に生々しく憶えています。
さて、仏像を「日本十進分類法(NDC)」の相関索引で引くと、「仏像(美術) 718」「仏像(仏教) 186.8」とあります。
ところで、NDCは「観点分類法」の典型と言われます。
ここでいう観点とは、「事物や事象そのものでなく,それを研究する方法や取り扱う学問分野の視点のこと」(「NDC10版」用語解説より)です。
そして「観点分類法」とは、「観点を優先する分類法で,事物や事象は,それが研究される方法や取り扱われる観点が優先され,それぞれの学問分野に分散して置かれる」(「NDC10版」用語解説より)。
仏像についての本がある場合、美術の観点から仏像が扱われていると、分類は718、仏教の観点からであれば、分類は186.8が、それぞれ付与されることになるのです。
718という分類は、7類「芸術」の下の710「彫刻」の下位にあります。また186.8という分類は、1類「哲学」(160から「宗教」)の下の180「仏教」、さらに186「仏会」の下位にあります。
とはいえ、実際の仏像についての本では、美術と仏教の観点が判然としているとはいえないこともあり、分類付与に頭を悩ませることもよくあるのです。