本日は週刊新刊全点案内1987号の発行日です。
掲載件数は963件でした。
*こんな本がありました*
上條道夫 写真(2016.11 西日本出版社)
明治の五大監獄と呼ばれる近代化計画で建造された監獄のひとつ、
奈良少年刑務所の写真集。
千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島のうち現存する唯一の建物です。
刑務所というとちょっと近寄りがたいイメージを思い浮かべますが、
この煉瓦造りのその姿はどっしりとした風格を感じさせます。
文中の解説によれば、明治政府は欧米列強の近代化の波に追いつくべく
「ある国の近代化ぶりを見るにはその国の一番遅れた部門を見ればいい」という考えに則り刑務所建築の洋風化・近代化に乗り出したそうです。
建造物と制度、両面から新しい風を巻き起こしました。
写真を眺めていてもこれが刑務所?と感じるような厳かな佇まいです。
奈良監獄として1908年に建てられましたが、建物の老朽化のため、来年3月末で閉鎖が決まったのが今年初夏。
そして先月国の重要文化財に指定されることが決定しました。
スクラップアンドビルドが繰り返される昨今、近代化の象徴のひとつとして後世へ語り継がれていってほしいですね。